くまもりNews
祝 宮城・鳴子温泉の大規模風車白紙撤回 業者はアセスの「準備書」段階まで進めていたが撤退
地元では、自治会「川渡(かわたび)地区親交会」(加賀元会長、160戸)や住民団体「鳴子温泉郷のくらしとこれからを考える会」(曽根義猛代表)などが
(1)風車などの施設建設により災害誘発の危険性がある
(2)鳴子温泉は環境省の国民保養温泉地に指定されており、景観にもそぐわない
(3)建設地周辺は渡り鳥の飛来ルートと重なり、ラムサール条約に登録されている湿地もある
などとして計画は中止すべきだとの反対意見を表明していました。
事業者のアセスでは判明しませんでしたが、ラムサール賞を受賞された日本雁を保護する会の呉地正行先生の指導のもとの市民調査で絶滅危惧種1Aという極めて希少な渡り鳥、シジュウカラガンの飛行ルートであることも確認されました。
熊森も風車完成予想図を示したりして、建設阻止に向けてささやかではありますが自然保護団体として協力してきました。
感謝 釧路湿原メガソーラー拡大に土地買収で対抗しているNPO法人・トラストサルン釧路
トラストサルン釧路は、土地を購入し管理する活動に取り組み、これまでに主に湿原の南部で59カ所、約607ヘクタールの土地を取得したとのことです。(釧路湿原の1/40)
湿原に依存する生物の保護や開発からの保護を目的として、1980年、釧路湿原は日本で初めて中心部の7863haがラムサール条約登録湿地としてラムサール条約に登録され、国際的に保護の重要性が認められた場所です。湿原の中央部やわずかな丘陵地が、1987年に国立公園に指定されましたが、行政に聞くと、国立公園内でも環境省の許可でメガソーラーが設置されているとのことです。
南部湿原一帯には、環境省のレッドリストで絶滅危惧種のキタサンショウウオ、タンチョウ、猛禽類のチュウヒの生息が確認されており、キタサンショウウオは釧路市指定、タンチョウは国指定の天然記念物。チュウヒは激減しており、全国で「135つがい」(日本野鳥の会による推定繁殖つがい数)しかいないとのことです。
南部湿原にあるメガソーラー。(撮影:河野博子)
発電所ができる前、この付近では、タンチョウの営巣やチュウヒの繁殖が確認された
熊森から
太陽光発電施設は現在、建築基準法上の建物にあてはまらないため、開発が抑制されている市街化調整区域でも設置できます。
釧路湿原に太陽光パネルが次々と設置されていくのに、止めることのできない国や自治体って何のためにあるのでしょうか。
かつて原野商法で釧路湿原に土地を買ったものの手放したい人々が多くいるそうですが、行政はそういう土地を受け取ると管理コストと管理責任が半永久的に続いていくから困るとして、受け取りを断っているそうです。
釧路市には、2023年7月に施行された「自然と共生する太陽光発電施設の設置に関するガイドライン」がありますが、2014年6月には96施設だった市内の太陽光発電施設が、2023年12月には631施設と6.6倍に増えているそうで、条例に格上げしないと太陽光発電施設の建設ラッシュが止まらないもようです。
市長さんと市議会議員のみなさん、条例化を急いでください。お願いします。条例には効果があります。利益追求しか考えていない外資や道外の事業者から、釧路湿原を守ってください。
国は、再エネ事業による自然破壊を止めるために、法規制を急いでください。(完)
速報 北海道支部が札幌大通公園で初の街宣
以下、北海道鈴木ひかる支部長からの報告です。
11月9日(土)、札幌大通り公園3丁目で、14時から約2時間、くまもり北海道会員6名が参加して、北海道支部初のくまもり街宣を行いました。
今日と明日、札幌ドームで人気アイドルであるスノーマンの5万人集まるコンサートがあるので、札幌の街は全国からやってきた10万人の若者たちですごいことになっていました。
スノーマンの話も折り込みながら、楽しい街頭演説、考えさせる街頭演説をやりました。
ひぐまの出没、出没したら殺すと言うことだけを考える世の中にするのではなく、もっと原因を考えましよう。
なぜ、ひぐまが出没するのか?
風力発電による自然破壊も原因の一つですよ。
北海道で夏、クーラーが必要になって来たのはなぜですか。
原因を追及しないのですか?
森は夏の気温が暑くなり過ぎないように、気温調節をしてくれるところですよね。
北海道の森を再エネで伐ってしまえば、夏、北海道の気温がさらに上がってしまいますよ。
皆さんは、日々の生活に追われて、考える気力を無くしてはいませんか?
自然災害が増えたのは、人間が自然を破壊したのが原因です。
石狩ではものすごい数の洋上風力発電が計画されていますが、そこから出る低周波音が、北札幌市民の体に影響を与えるようになるというシュミレーションがでていますよ。ご存知ですか?
この話になると、意外と若い人たちが振り向いて関心を示してくれました。
こうして、用意したチラシ100枚がなくなりました。
街頭演説をして良かった!
信号待ちの人とか、結構多くの人たちがこっちを向いて話を聞いてくれていました。
がんばれと言ってくださる方や、そうだそうだとうなずいてくれるおばあちゃんたちもいました。
「くまもり協会だって」と話している人や、熊森の新しい旗をスマホで撮っている人もいました。
チラシをもらいに来てくださった人たちは、家に帰って中身を読んでくださると思います。
翌日のアメリカの国立公園のガイドであるスティーブ・ブラウンさんとのコラボ講演会に参加してくださる方も、何人か増えました。
行政の方も参加してくださいます。
北海道はもうすぐ雪になります。
街宣、大成功でした。😀
風車ができたらヒグマが出て来たと稚内の酪農家が証言 くまもり北海道が稚内で学習会
広大な土地を持つ北海道は東北と並んでメガソーラーや風力発電など、再エネ事業の草刈り場となっています。
再エネは、火力発電の何百倍もの土地が必要ですから、北海道のや東北の山間部や大地が狙われるのです。
道北の稚内ではもうすでに稼働している大型風車が188基もあります。
この1年間で44基増えました。
今後も続々と風車計画があがっています。
なんともかとも、もう信じられない思いです。
下の図は、稚内を中心とした道北地方のアセス中、建設中、稼働中の風力発電です。
クリックして拡大してから見てください。作成時のもののため、現時点と異なるものもあります。
佐々木邦夫氏Facebookより
こんな稚内で、10月13日、熊森北海道支部が風車学習会を開きました。十数名の方が集まってくださいました。
以下、北海道鈴木ひかる支部長からの報告です。
・
稚内に来ると、山の尾根筋にずらりと風車。ものすごかったです。
稚内の山々の尾根に林立する風車群 クリックしてください。
地元で昔から代々酪農を営んでおられる方にインタビューしました。
風車ができたらヒグマが山から出て来た、電波障害が起きて携帯電話が使えなくなったと訴えられています。
すでに稼働している稚内の風車の騒音を録音してきました。
風車の音
この風車の騒音や振動、人間の耳には聞こえない超低周波音などに耐えかねて、山から出て来るヒグマなど森の動物たちを責められますか。
北海道庁は、ヒグマの大量捕殺を計画しています。
稚内風車に関する新聞記事です。
町を上げて風車推進の中では、稚内市民もいきなり反対の声を上げにくいと思います。
風車の真実を学ぶ市民学習会を市内各地で順次持っていくことが、まず必要だと思いました。
熊森本部から
北海道鈴木直道知事は、再生可能エネルギーの積極導入に熱心です。
北海道の自然を大破壊をして、東京などの首都圏に電気を送ろうとしています。
北海道の大地を愛する者ならできないのではないでしょうか。
稚内も市長以下、ほとんどの市議が風車推進派だそうです。
日本は、産業構造上、地方がどこも疲弊しています。
膨大な利益を得ることになる発電業者からのおこぼれのお金をたった20年間もらうために、地方はふるさとの大自然破壊行為を許すのでしょうか。一度壊してしまった自然は元には戻りません。
風車で命を奪われることになる鳥や獣や昆虫などは、どうなってもいいのですか。
未来の子供たちのことは考えないのですかと問いたいです。
自然の大切さを理解できるトップが、行政側にも企業側にもほとんどいないことが、日本社会の深刻な問題です。
風車には、バードストライクや騒音低周波音による風車病、山崩れなど、様々なデメリットがあります。
風力発電は製造から、発電中ずっと必要なバックアップ電源まで考慮すると、火力発電以上に二酸化炭素を出すともいわれています。
このようなことは国民には伝えられていません。
マスコミは、風力発電の負の側面や私たち国民の電気代から徴収されている再エネ賦課金を使って、どこの国が、どんな事業者が再エネで莫大な利益を得ることになるのかしっかりと伝えてほしいです。
ネットの時代ですから、国民のみなさんも、その気になって調べたら、今行われている再エネの嘘がわかってくるはずです。
要は、この国の未来に責任を持とうとしている大人がどれだけ我が国にいるかという問題だと思います。
再エネは、我が国の存続にかかわる重大問題です。やるなら、都市部と屋根置きまでにとどめるべきです。
再エネ業者に道徳心を失わせ、地元行政を狂わせている再エネ賦課金を即時廃止は見直すべきと考えています。(完)
祝 準備書段階まで行っていた山形県米沢市栗子山風発計画が白紙撤回に!
今回の本部東北遠征時、米沢市の会場に「米沢の子供の未来と豊かな自然を考える会(以下、考える会)の方たち5人が参加してくださり、栗子山風力発電計画をどのようにして白紙撤回に持ち込んだのか発表してくださいました。
山形、福島両県にまたがる奥羽山脈の栗子山(標高1217m)で、JR東日本エネルギー開発が高さ168mの風車10基、発電最大出力3万4000キロワットの風力発電事業を計画して、環境影響評価配慮書を提出したのは2019年です。
しかし、多くの市民はこの計画を知らず、知ったのは2023年9月の環境影響評価準備書段階での住民説明会の時でした。
環境アセスメント段階:①配慮書→②方法書→③準備書→④評価書
説明会で事業者が提出した内容は、実際には予定地から3キロのところにイヌワシの巣が見つかっていたのに、「国の天然記念物イヌワシの巣は、風車建設予定地から10キロ以上離れており、風車に衝突する可能性は20年に1羽未満」と書くなど、データを改ざんしたものでした。(10月にデータ改ざんが発覚)
署名など集めたこともなかった素人ばかりの米沢市の女性5人は、大きな自然破壊を伴うこの計画に危機感をいだき、11月に考える会を結成。今年1月から本格的に活動を開始しました。
チラシを作って配布しながら計画の白紙撤回を求める署名を集め始めました。
下は、そのチラシの裏面です。クリックで大きくなります。
チラシの内容は以下です。
1、イヌワシやクマタカがバードストライクにあう。
2、低周波音によって、頭痛、めまい、睡眠障害が引き起こされる。
3、尾根を削るので、山の保水力が失われ、土砂崩れや水質汚濁の危険性がある。
今年3月には、考える会と市議会議員20名が意見交換会。
風車10基のフォトモンタージュを示すと、驚きの声があがりました。
福島県側から見た栗小山風力発電計画
近藤洋平米沢市長は、市民全体を対象にした説明会を早急に実施するよう業者に求めます。
8月に開かれた住民説明会には2日間で300人~400人の住民が詰めかけました。
この説明会は、まさに、業者の不誠実さを市民の目に焼き付けるものとなりました。
9月には考える会が市議会に提出した「栗子山風力発電事業の白紙撤回を求める請願」が、賛成多数でで採択されました。
市長は事業者の本社を訪れ、「全面白紙撤回」を求めました。
しかし、事業者があきらめなかったため、考える会は9月末、「事業の白紙撤回を求める署名」約7000筆を経産省と環境省に提出。
経産省が厳しい意見を出したため、業者は(勧告により)スケジュールの大幅な遅延とコストの増大が見込まれ、事業が成り立たないことが明らかになったとして、ついに、風力発電計画の断念を発表。今年9月27日。
短期間の活動で、風力発電を白紙撤回に追い込んだ考える会の共同代表のひとりは、「まるで山の神様が守ってくれたのではないかと思うぐらい、ラッキ―なことが続いた」と言われていました。
熊森も会報発送の際、会員に署名用紙を同封するなど協力しました。熊森会員から送られてきた署名には、寄附金同封や激励の言葉などもあり、皆で感激しましたとのことでした。
10月末、考える会から、熊森にもお礼状ハガキが来ました。
熊森から
5人の女性の中の一人は、学校では今、子供たちに再エネ推進を無条件でいいこと大切なことと教えているので、子供たちの中には私たちは再エネを止めた良くない人たちという見方もあることを知って、ショックを受けたと言われていました。
今は事の重要性がわかっておられない人もいるでしょうが、米沢市の森を守った皆さんは、後の世で米沢市の偉人としてきっと讃えられると熊森は思います。
「野生動物を環境破壊から守ろうの会 風力発電の嘘 クリーンエネルギー風力発電の闇」と名乗る人が、栗子山風力発電白紙撤回を祝って、考える会に、おめでとうの歌をプレゼントしたそうです。私たちもいっしょにおめでとうと歌ってあげたいです。
5人の女性の皆さん、本当によくがんばられました。(完)
再エネ森林破壊を止めねば日本がなくなってしまう 危機感でいっぱいの本部が初の東北遠征
2020年菅首相が所信表明演説で「2050年カーボンニュートラル」を宣言され、この国策実現に向かって、大規模森林伐採を伴うメガソーラーや風力発電など、再生可能エネルギー事業計画が東北や北海道で次々と目立ってきました。
クマたちが棲む奥山水源の森の保全・再生活動だけでも大変だった熊森ですが、再エネ名目の森林破壊を止める活動にも全力で取り組まねばならなくなりました。
2021年には、再エネ問題に取り組む全国の仲間たちと情報交換しようと全国再エネ問題連絡会を結成し、熊森は共同代表と事務局を引き受け、日本の国土を守るため、これまで手薄だった東北や北海道にまで活動を広げていきました。(本来国土保全は、国がすべきことです。しかし、悲しいことに日本国は私たちの税金を使って国内外の投資家や海外の会社に、カーボンニュートラル名目で日本の国土破壊を許し大儲けさせているというのが、現実です)
私たちは各省庁を訪れ問題点を伝えたり、国会議員を訪れ法規制を訴えたり、皆で必死に動いてきましたが、再エネ推進国策には膨大な予算と膨大な人員が付けられているため、小さな民間団体が必死で動き回ったところで、限界があります。その割には、結構各地で事業を止めるなど市民活動の成果を上げてきた面もありますが。
しかし、がんばってもがんばっても、新たな再生可能エネルギー事業計画が次々と出て来ます。
これはひどい福島市先達山メガソーラー工事現場60ha 雨の日に泥水が流れだす
事業者は東京の「AC7合同会社」
(熊森も加盟している全国自然保護連合機関紙表紙写真より)
こんなことを放置していたら、日本は文明を支えてきた水源の森を失って、稲作ができなくなっていくことでしょう。
クマを初めとする森の動物たちはもちろん、漁業にも大きなデメリットを与えます。各地で山崩れなどの災害が多発するようにもなります。日本文明の終焉です。何とかこれらの再エネ森林破壊を止めねばならない。
この地域で、すでに熊森の支部活動が展開されているのは、宮城県、秋田県、青森県、北海道です。現在、未組織の福島県、山形県、岩手県にも、なんとか早急に支部を立ち上げねばなりません。
無謀とは思いながらも、兵庫県本部は支部のない所で講演会をセットして歩くという東北3泊4日の計画を立てました。
会場は、福島県(郡山市、福島市)、山形県(米沢市、山形市)、岩手県(盛岡市、花巻市)の6ケ所です。
JR郡山駅前では初の街宣も実施。
福島のみなさーん、大都市の電気のために福島の森を犠牲にすることはない!
東北配布チラシ表
東北配布チラシ裏
地元会員の皆さんらが一生懸命友人知人に声掛けくださったこともあって、各会場には会員や会員外の方々約20人ぐらいが集まってくださいました。森山名誉会長が2時間半、東北向けの講演を行いました。
10月11日夜 郡山
10月12日朝 福島
10月12日夜 山形
10月13日朝 米沢
10月13日夜 盛岡
10月14日朝 花巻
会場に集まってくださった皆さんの多くは、最後まで食い入るように聞き入ってくださっていました。今回の遠征で、新たに31人の会員が誕生しました。元々の会員の方たちと協力して、この後、何とか支部結成まで進めてほしいと、本部は祈る思いです。
熊森は、国の政策であっても、間違っていると思うことにはしっかりとノーの声を上げます。国のお金に頼らない完全民間団体だからできることです。
日本の自然や水源、国土を守るには、このような団体が増え、大きくなる必要があることを、国民の皆さんにご理解いただきたいです。
9月24日奥山保全トラストと熊森が三重県大台町大森正信町長らを訪問
三重県の人工林率は64%と高率です。
そんな中、大台町の広大な山林676ヘクタール(池ノ谷:一部人工林を含む、父ケ谷:全山自然林)が売りに出され、当時のNPO法人奥山保全トラスト(現在:公益財団法人 奥山保全トラスト)は、何とか三重県に残された自然の森を守りたいと、全国民に寄付を訴え、2010年に見事、トラスト地としての購入に成功しました。
当時、ご寄付くださった方の多くは、地元を初め東京や名古屋など都市市民の皆さんで、都市の力が中心となって守った森と言ってもいいかと思います。
三重県大台町池ノ谷トラスト地
今回、本部は公益財団法人 奥山保全トラストの職員や、トラスト地の整備を毎年続けている熊森三重県支部の方たちと、久しぶりに大台町役場を訪問しました。
町長は大森正信さんという方になっていました。
大森町長は、「みなさんに大台町の水源の森をトラストしてもらって、本当にありがたかったです。中国が買いに来てたんです。」と、大喜びで私たちを迎えてくださいました。
あれから14年たっていますが、地元の皆さんに今もこんなに感謝されているのだとわかり、うれしかったです。
大森町長が私たちの訪問を喜ばれて、くまもりの森山名誉会長と固く握手(中央)
この日、大森町長、西尾副町長と共に、林野庁近畿中国森林管理局三重森林管理署の皆さんにも入っていただき、大台町の奥に広がる広大な久豆(くず)国有林と大杉谷国有林(どちらもスギやヒノキの人工林になっている)の今後について話し合いました。
大台町、奥山保全トラスト、三重森林管理署、熊森協会のみなさん
大森町長さんは、大台町としては全部元の天然林に戻してほしいと思っていると、森林管理署に強く申し入れられました。
昔の山や川をよくご存じの町長さんは、「昔は山から大量の清らかな湧水が湧き出し、宮川はすばらしく豊かな川だった。魚をはじめ生き物がいっぱい溢れていた。今は水量も激減。もっと水を流してくれと下流から言われるが、うちも水が必要だから、全てに応じられない。
宮川にダムを造ったことも失敗だった。ダムを造ってから、川の豊かさがすっかり失われてしまった。
宮川ダムを撤去したいと思って調べたら、ダムの部分の土地は今や大台町のものではなく中部電力のものになっており、できないことが分かった」と残念そうに言われていました。
広大な国有林に造ってしまった奥山人工林を今後どうするかは、林野庁の本庁が判断されるそうですが、林野庁としても地元の意向は無視できないとのことです。当面、林野庁としては国有林に至るまでの奥山道路の補修をしたいそうで、この予算が下りるのに5年ぐらいかかると言われていました。
大森町長さんに、「捕殺に頼らないクマ対策の提案書」を手渡して別れました。後から思うと、大森町長さんは私たちが提案書に書いたことを全部わかっておられたので、手渡す必要はなかったです。昔の大台町の山や川をを知っておられる町長さんの存在は大きいと思いました。
熊森から
「捕殺に頼らないクマ対策の提案書」について
<三重県のクマは保護対象>
広大で最高に豊かな森があって初めてのクマの生存が可能となります。戦後の林野庁の拡大造林政策によって、大半の山を人工林にしてしまった紀伊半島では、クマの生息は難しく、環境省は残り少ない紀伊半島のツキノワグマを絶滅の恐れのある地域個体群に指定しています。これを受けて三重県ではクマは保護対象であり、ずっと捕獲が禁止されてきました。
<今年、人身事故発生>
今年の8月14日夕方、音のする物を持たずに三重県の熊野古道をひとりで下山中の大阪の70代の女性がクマとばったり出会い、人身事故が発生しました。(クマに襲われたのではなく、事故です)
<三重県知事がクマを駆除対象にすると言い出す>
これを受けて、三重県の一見勝之知事は8月22日の記者会見で、県内のツキノワグマを「駆除の対象」に改めるよう、環境省に申し入れることを明らかにしました。知事に当選されるほどの方ですから、立派な方なんだろうとは思いますが、自然生態系の方の知識は不足のようです。
<知事や三重県議会議員の皆様に、三重県のためにもクマやクマの棲む森の保全・再生の必要性を伝えたい>
この日の午前中、私たちは三重県議会の大物議員を訪れ、クマのためにも人のためにも、クマを駆除するのではなく、奥山の自然再生が急務であると申し入れ、「捕殺に頼らないクマ対策の提案書」手渡しました。知事や議員の皆さんに自然界の仕組みについて伝える機会を作っていただきたいです。(完)
今秋も、兵庫県本部フィールド部隊はクマ防除現場に駆けつけています
9月以降、今年もクマの目撃情報が増えてきて、「クマの防除対策をお願いしたい!」と兵庫県クマ生息地のいくつかの地区からご依頼が入り始めました。
兵庫県は今年、ブナ、ミズナラ、コナラすべてが×という14年ぶりの大凶作の上、カキも不作です。10月末まで気温が高く、クマたちもどうしたものかと戸惑っていると思われます。その結果、今年9月末までの兵庫県クマ目撃数は605件と、昨年の同時期268件より大幅に増えています。今年9月末までの兵庫県のクマ捕殺数は78頭と、すでに今年度の捕殺上限を超えてしまっています(昨年度同時期の捕殺数は21頭)。今年、兵庫県のクマ狩猟は中止ですが、有害駆除は今後も続きます。
地区の皆さんは、「クマは来てもいいけど、人身事故が起きないようにしたい」とおっしゃって、クマ対策に取り組まれています。しかし、地元は過疎化や少子高齢化がすすんでおり、限界もあります。
そこで熊森本部職員に引率された都市部の会員を中心としたくまもりフィールド部隊が、助っ人として地元に入り、地元の方たちと一緒に作業をします。
人が利用しない集落近くの柿や栗の木はクマが来ないように伐採する
伐採木は、小さく切って邪魔にならないところへ置く。
人が利用する柿の木は枝打ちした後、トタンや畔シートを巻いて、クマが寄り付かないようにします。
ツキノワグマは臆病で、人間から身を隠せるような草場の中を移動することが多い。
そのため、草刈りはクマを寄せ付けない重要な対策のひとつです。
背丈よりも高い草は刈払い機を使って、木の周りや障害物周辺は、鎌で丁寧に手刈りしていきます。
手刈り部隊のボランティアさんが、野生動物の糞を発見!
(クマっぽい糞ですね…)
シカなどが通った跡もありました。
↓草刈り前
↓草刈り後
同じ場所とは思えないくらい、とても綺麗になりました!
ボランティアの皆さんは、お住まいもバラバラ、年齢層もバラバラ。
皆さん、「地元の方の役に立てることを精一杯やろう」と一生懸命がんばってくださいます。
ちなみに今年の最年少は中学1年生の男子!
高枝のこぎりで、一生懸命カキの木の枝を切ってくれました。
現在進行形のクマ防除対策!
クマが冬眠するまでまだまだ続きます。
クマ防除ボランティアに参加ご希望の方は、ぜひ本部までご一報ください。
また「今年の最年少記録更新したい!」という若い力も大募集中です!
熊森本部 0798-22-4190
10月27日投開票 衆議院選立候補者へアンケート❗(秋田・大阪・兵庫・山口・島根・愛媛)
- 2024-10-25 (金)
- _国会・行政
くまもりでは、これまでも選挙などの機会に意識調査のアンケートを実施してきました。今回は、本部がある兵庫県や大阪府、秋田県、山口県、島根県、愛媛県などの立候補者に向けて以下3つの質問をいたしました。回答の締切は10月19日でしたが、その後も回答いただき次第随時更新してまいりますので、ぜひご参照ください!
Q1. 奥山水源の森の荒廃について
戦後、簡単に伐り出しができない奥山に大量に造成されたスギやヒノキの人工林が、近年、放置され大荒廃しています。保水力を失った放置人工林による湧き水の減少や、大雨のたびに起こる土砂災害が深刻な問題となり、生息地を失い、餌を求めて人里に出てくる野生動物たちと人との軋轢も増えています。
水源保全のためにも、野生動物を奥山に戻し獣害を軽減させるためにも、行き過ぎた人工林を災害に強く保水力豊かな天然林に早急に戻していくべきですが、利益を生みにくい天然林化事業はほとんど進んでおらず、強いインセンティブが必要です。当選されたら、奥山の放置人工林の天然林化の推進にご協力いただけますか。
ア.大いに協力する イ.協力する ウ.どちらともいえない エ.協力できない
Q2. クマをはじめとする野生動物との共存・鳥獣被害対策について
クマとの軋轢が各地で問題となっており、クマを指定管理鳥獣にして、捕殺強化の動きが進んでいます。これまで、野生動物の科学的計画的頭数調整政策(ワイルドライフマネジメント)によって、野生動物の有害捕殺に莫大な予算がつけられ、捕殺行為の利権化も問題となっており、被害は計画通りに減っていません。
鳥獣被害は、集落や畑を柵で囲む、追い払いを行うなどの防除対策と、生息地の再生により、人と野生動物の棲み分けを復活させることに重点を置いて解決すべきです。当選されたら、野生動物の大量捕殺ではなく、棲み分け対策を推進する政策へ転換していくことにご協力いただけますでしょうか。
ア.大いに協力する イ.協力する ウ.どちらともいえない エ.協力できない
Q3. 森林や自然を破壊する再生可能エネルギーについて
政府の進める再生可能エネルギー推進策によって、国内外の投資家が大規模な森林破壊を伴うメガソーラーや巨大風車などの事業を次々と計画しています。森林破壊は水資源の枯渇、土砂災害の増加につながります。当選されたら、森林破壊を伴う再エネ事業の規制のための制度改革にご協力いただけますか?
ア.大いに協力する イ.協力する ウ.どちらともいえない エ.協力できない
【大阪府】10月24日現在
【兵庫県】10月21日現在
【秋田県】10月21日現在
【愛媛県】10月21日現在
【山口県】10月24日現在
【島根県】10月24日現在
令和6年度兵庫県ドングリ類は14年ぶりの大凶作
2024年9月12日兵庫県庁環境部 自然鳥獣共生課 発表
(以下、概略)
兵庫県立森林動物研究センターが実施した今年のドングリ類(堅果類)の豊凶調査によると、14年ぶりの「大凶作」であることが判明しました。
兵庫県のクマ生息地域の多くで、今秋のツキノワグマの出没数は、過去5ヶ年平均の2~4倍になると予測され、冬眠前のクマが餌を求めて人里へ大量出没する可能性が危惧されます。
兵庫県に於ける今年度のクマの目撃・痕跡情報数は8月31日現在449件。
同時期としては平成13年度に統計を取り始めて以来の過去最高値。
この時期の過去最高は平成22年度の386件。(以上)
以下は、兵庫県資料を熊森がピックアップ表示
令和5年兵庫県のクマ目撃地
(色が濃くなるほど、目撃数が多い)
兵庫県のクマは北部に多く生息し、南西部にも生息しています。
令和6年堅果類の実り(ブナ、ミズナラ、コナラ)
今年は、クマの生息地にほとんどドングリの実りがないことがわかります。
もっと詳しくお知りになりたい方は、以下の兵庫県資料をご参照ください。
熊森から
保水力抜群の巨木の奥山水源の森は、これまでクマを初めとする全野生動物たちが無料で造ってきてくれました。人間は彼らに深い感謝の気持ちを忘れてはならないと思います。清らかで滋養豊かな水が豊富に湧き出してくる森あってこその日本文明です。
クマたちの大量出没を考える時、私たち人間がまずしなければならないことは、生息推定数の計算ではなく、クマたちの生息地に、「飲み水と餌があるか」のチェックです。お店のない野生動物たちは、1日中その日の餌を探して歩いています。彼らの行動を左右するのは生息数ではなく餌です。
生息数が多くても、山に十分な餌があると里に出てきません。生息数が少なくても山に餌がなければ、最後の1頭が駆除されるまで次々と出てきます。
熊森のドングリ解説
ブナ
ツキノワグマは冷温帯の動物で、冬ごもり前に一番好む餌はブナです。しかし、ブナは豊凶が激しくて凶作年の実りはゼロです。ブナに頼っていては、凶作年餓死しますから、クマは他のドングリもあてにして生きてきました。
ブナは年平均気温が6℃~12.5℃の間でないと生きられないため、兵庫県では高い山が連なる鳥取・岡山・兵庫県境の狭い範囲にしか残っていません。近年、気温高温化が激しいためか、見るからに樹勢が衰えてきており、実っても、シイナと言って殻だけで中身のない実がほとんどです。もはやクマはブナに頼って生きることはできません。
ミズナラ
ブナほど豊凶が激しくないミズナラは、冬ごもり前の食い込み期にクマが一番あてにしてきた大きなドングリです。しかし、近年の気温高温化によって暖温帯から冷温帯に上がってきたカシノナガキクイムシによって、この虫に対抗する機能を持っていなかったミズナラは、一気に大量枯死してしまいました。(ナラ枯れ)
枯れ残ったわずかな木々に実りがあったとしても、以前と比べると木そのものがないのですから、採食できる量は激減しています。
その他のドングリ類
ミズナラほどではありませんが、ナラ枯れでそれなりに木が枯れてしまっています。
結論
昨今のクマは冬ごもり前に大量に必要な脂肪のたくわえを、何によって得るのでしょうか。
昨年、豊岡市では、それなりにコナラのドングリが実っている場所もあったのですが、なぜかクマたちが食べている形跡はありませんでした。
兵庫県のクマたちは、飲まず食わずで4~5か月暮らす冬ごもりのために、今後、何を食べて行けばいいのか、大変な飢餓状態となって苦しんでいると思います。
戦後の拡大造林政策によって、兵庫県のクマ生息地の多くはスギとヒノキの放置人工林に覆われ、下草も生えず荒廃したままです。
森林環境譲与税や県民緑税を使って、林業に適さない場所に作ってしまった人工林は伐採し、早急に野生動物に餌を提供できる天然林を再生してやるべきです。
熊森は、他の都道府県の状況も調べて、クマの保全とクマによる地元の被害防止対策を同時に考えています。
そのための全国的な調査や研究を、無償又は有償で手伝ってくださる方を募集しています。
将来的には職員登用の道もあります。
調査研究が好きな方得意な方は、ぜひご応募ください。