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2011-06
石弘之先生が熊森会員に一番読んでほしい本は、「名作の中の地球環境史」だそうです
- 2011-06-25 (土)
- くまもりNEWS
6月17日 京都でのナラ枯れ対策用炭撒きに同行
- 2011-06-25 (土)
- _奥山保全再生
顧問の群馬県在住宮下正次先生が行われる京都でのナラ枯れ対策用炭撒きに本部調査研究部・京都府支部が同行しました。 (将軍塚、吉田山、建勲神社、下鴨神社)
京都では神社の景観問題などがありますが、人間への直接的被害が感じられにくいナラ枯れについては、あまり深刻な問題として捉えられていないようでした。(動物たちにとっては死活問題ですが)
地域を良く知る京都府会員たちのスムーズな誘導で、東山方面を車で移動。将軍塚に連れていってもらいました。京都盆地が一望のもとに見渡せ、感動でした。観光客が多く歩く道路際にも枯死木が数多く見られ、放置していると、いずれ倒れてきて危険なことになるのではと心配になりました。
神社のコナラやスダジイなどのドングリの木には、カシノナガキクイムシが侵入したあとが見られ、枯死・衰弱した木も多く確認することができました。宮下先生が、一見健全に見える樹木でも、見上げてよく観察すると、梢が枯れていたり、葉の量が少ない・葉の緑が薄い等、全体的に樹木が弱ってきている。虫によって木が枯れるのではなく、木が弱ってきたから虫が片づけに入ったと指摘されていました。なるほど、見上げてみると、京都の樹木にも、そのような弱った木々がたくさん見られました。
日本には、18種のナガキクイムシ科甲虫が生息していますが、大発生しているのはカシノナガキクイムシだけです。カシナガは5ミリほどの小さな虫ですが、ナラ菌と呼ばれる病原菌を幹の中に持ち込み、木を枯らしてしまいます。このカシナガが侵入した樹木には、様々な方法で防除が試みられていました。
プラスチック爪楊枝の挿入 カシナガの拡大を止めることは出来なかったそうです。
化学物質によるくん蒸処理 同行くださったナラ枯れ研究者が、昔の「森林家必携」という本を見ると、カシナガが拡大した時は、伐採してその場で燃やしてしまうようにと書かれているので、そうしたい。しかし、現在は法律で野焼きが禁止されてしまっているので、こんな手間なことをしなければならないと嘆いておられました。
ビニールシート被覆 カシナガは水分のあるところを好むので、幹の下の湿っているところだけ防除すればいいのです。
その他 カシナガの嫌いな臭いを出すクスノキやヒノキノの入った袋を幹の下の方に巻いて、虫が来ないようにする。これには、抜群の効果が見られるそうです。他に、集合フェロモンも合成されていて、これを使うとカシナガの大量捕殺ができるそうですが、ナラ枯れの拡大を止めることには役立たないそうです。
宮下正次先生の話によると、中国などからやってくる酸性降下物質の影響で各地の土壌のPH値が異常に下がっており、戦前に比べて土壌のミネラルも1/3になっている。植物の生育環境が悪化して木が弱っているということです。もう少し詳しく言うと、PH値が5.5以下になると土壌のアルミニウムが溶け出し、リン酸(植物の三大栄養素の1つで、開花・結実に作用する)と結びついてしまうため、植物がリン酸を吸収することができなくなり、カシナガがつかなかったとしても、いずれ衰弱・枯死に至ってしまうのだそうです。
対策として、炭撒き(特に竹炭が良い)による土壌の改善が効果的だと話されていました。炭を撒くことにより、半年から1年かけて徐々にPH値が中和され、土壌が改善し樹木の樹勢が回復するそうです。それにより樹木に抵抗力がつき、カシノナガキクイムシ等の虫に簡単に侵されなくなり健全な状態をとりもどすとのことです。しかし、この酸性説にも反論があるようです。
今回は3本のスダジイに計52㎏の粉炭撒きを実施しました。炭撒きの効果を見ていきたいと思います。
生物の多様性が保たれた森では、カシナガの嫌いな木もあちこちに混ざっている為、ナラ枯れが拡大しても、森は壊滅的な消滅には至らない。しかし、人間がカシナガの好きな木ばかり植えた山だと、ナラ枯れの拡大で一斉に木々が消え、大変なことになっているそうです。やはり、ここでも生物の多様性が大切であることがわかりました。
6月19日 くまもり自然農塾⑤ 田植え
- 2011-06-25 (土)
- _自然農
兵庫県豊岡市但東町 参加者30名
今日は塾生のみんなが楽しみにしていた“田植え”です。
まず、アドバイザーの土手さんに説明を受け、田んぼの草を刈っていきます。草や虫を敵とせず、なるべく自然への変化を加えずに行う自然農では、草刈りも最小限。でも、今年は成長の勢いのいい“い草”がほとんど。草刈りも多めに行います。
蛙の卵を移動中。「あ、ちょっと壊れた‥。」
②苗の準備
次に、苗の準備をします。苗床に移動し、鳥よけの小枝とひもを外します。(どちらもまた来年使います。)
鍬で苗床の表土を3センチ位の厚さで苗ごとすくいとり、パレットに移します。土を3センチ以上の厚さですくうと、土が多すぎますし、3センチ以下だと苗の根を切ってしまいます。この3センチという厚さや鍬の刃を入れる角度に、みんな施行錯誤しながら苗をすくっていきます。
③苗を植える
いわゆる慣行農法では苗を3本位づつ一緒に植えますが、自然農の田植えは1本植え。その方が十分に分けつして、のびのび丈夫に育ちます。
すじ間は40センチ、株間は30センチ。昔ながらの農具でしるしをつけて、それに合わせて植えていきます。
今年の苗は高さ20センチほどに成長していて、どれも生き生きしており、苗の状態としてはベスト!震災で被災された東北の方々においしいお米が送れるように、1本1本丁寧に植えました。
田んぼのいきもの
この日は、おしりに白い丸いものをつけた8ミリほどの小さいクモがたくさん田んぼを行き来していました。卵がたくさんつまった白い袋を大事におなかに抱えています。足が速く、水陸お構いなしに走り抜けています。かわいい子グモがたくさん生まれるといいですね。
田植えビフォー・アフター
慣行農法と違って、水を張らない自然農の田植えは、田植え前と田植え後の違いがほとんど分かりませんが、きっとこれから、すくすくと育ってくれることでしょう。
今日も、たくさんの命に感謝しながら作業を終えました。皆さんおつかれまさでした!
2011年6月25日(土)世界的な環境ジャーナリスト 石 弘之(いし・ひろゆき)先生講演会in兵庫県西宮市
- 2011-06-20 (月)
- 企画・イベント | 東北大震災・福島原発 | 講演会
●「人類史とは、自らを破滅へと導く歴史だった」 石弘之
講演会チラシ(PDF)
参加お申込みフォーム
世界的な環境ジャーナリストで熊森新顧問の石弘之先生に、兵庫県で講演していただけることになりました。
先生の生の声が90分間聞けます。その後、会場の皆さんと30分間語り合う時間を予定しています。
大変貴重な機会です。これからの人類の歩むべき方向を真剣に考えておられる若い人たちに、ぜひ聞いて頂きたい内容です。
ご家族、ご友人などお誘い合わせの上、どうぞご参加ください!学生無料!
[講演会タイトル]
「自然災害と地球環境―東日本大震災を考える」
[講演趣旨]
「災害は人命や財産に被害を及ぼしてはじめて災害になる。南極でいくら大きな地震がきても、災害にはならない。年々、被害が拡大しているのは、地震や 噴火や異常気象が増えているのではなく、災害の被害を受けやすい海岸地帯、山ろく、乾燥地帯などで人口が増加しているためだ。さらに人の開発によって自然 が傷めつけられ、土砂災害や洪水をなどが起こりやすくなっている。今回の東日本大震災や原発事故から、自然災害と環境の関係を考えてみたい」
[主催] 日本熊森協会本部
[日時] 2011年 6月25日(土)
(受付13:30 講演会 開始14:00~16:30)
定刻5分前には、ご着席完了願います。
[場所] 兵庫県西宮市民会館 大会議室 101
TEL: 0798-33-3111
阪神電車西宮駅「市役所口」改札北へすぐ。
車の方は、市役所東向かいの公共有料駐車場をご利用ください。
[受講料]
熊森会員 1,000円
一般 1,500円
学生 無料
参加を希望される方は下記電話、FAX、又はEメールにてお申込みください。定員になり次第、申し込みを締め切らせて頂きます。
[日本熊森協会本部]
TEL: 0798-22-4190
FAX:0798-22-4196
Eメール:contact@kumamori.org
6月12日 本部第6回森再生チーム活動 皮むき間伐調査地づくりなど (兵庫県宍粟市)
- 2011-06-18 (土)
- _奥山保全再生
昨年から皮むき間伐をおこなっている場所で、今後の調査のためのプロットづくりなどを、9名でおこないました。
まず、入山前に、塩、米、酒を入り口にまき、皆で手を合わせました。
山に入ることで小さな虫を踏んだり、これからスギの皮をむいたりして、生き物の命を断ってしまいますので、そのけがれを清めるとともに、作業の安全と成果を山の神様にお祈りしました。
山とそこで生きている命に、感謝と畏敬の念をもって作業にあたることは、活動の大切な一部です。
皮むき間伐予定の場所を、10m×10mのマス目に区切っていくことから始めました。
マス目の完成後、この日は、その中に生えているスギの本数や直径などを計測し、記録していきました。
その後、赤いテープでマス目を区切った(上写真)うち1つの区画で、皮むき間伐を実施。今後の変化を追っていきます。
さらに別の1区画では、間伐前と後との比較ができるように、チェーンソーを使って強度間伐をしました。
さて、昨年皮をむいたスギの中に、まだ元気で枯れなさそうなものを多く見つけました。形成層(木の生きている部分)がしっかり切断できていなかったようです。
元気な木は、樹液をたくさん出すことで、少々の傷なら自分で治す力をもっています。スギがなんとか生きようとしているようで心苦しかったのですが、ノコギリを使って、切れ目をしっかりと入れ直していきました。
みなさん、おつかれさまでした。この日は初めての試みも多く、みなさん新鮮な気持ちで作業されたようです。
さて次回は7月2日(土)、今回つくったマス目を使っての皮むき間伐。
写真後方にあるのは、強度間伐+植樹をした場所。下層植生が年を追うごとに豊かになってきています。
この場所も、見学できます。みなさま、ぜひご参加ください!
6月4日 本部第5回森再生チーム活動 雪で倒れた、植樹地金網柵と苗木起こし (兵庫県但東町)
- 2011-06-18 (土)
- _奥山保全再生
この日の主な活動は、冬の大雪で倒れてしまった、植樹地のシカ除け用金網柵の補修でした。
(5月15日撮影 写真左側が植樹地)
ここの金網柵が倒れてしまったのは初めてです。珍しく冬の積雪が多かったからでしょう。雪解けがとても遅かったので、下草もまだあまり生えていませんでした。
倒れていたのは、斜面の中腹で雪の重みの影響を受けやすい箇所。金網の支柱は、曲がったり、根元からちぎれたり折れたりしていました。雪の力はすごいです。
この日は14名で活動。新たに支柱を立て直したり、曲がっている支柱に添えて、補強したりしました。
静かな林内に、金網を引っ張るみんなの声が響きます。
大変な作業ですが、柵の中では、植樹後4年目を迎えた苗木たちが、すくすくと育っていて、力が湧いてきます。
(作業後。写真左側が植樹地)
自然の力もすごいが、あっという間に金網柵を起こし終えた、みなさんの頑張りもすごかったです。
各自が進んで作業を探して協力してくださり、どんどんはかどりました。
後半は、倒れた苗木を起こしました。みなさん、本当にありがとうございました。
(バックの明るいところが植樹地)
積雪の多い奥山で、金網柵やネット柵をボランティアの力で維持するのは、なかなか大変なことです。今後試験的に、(頂芽を動物たちに食べられないように、柵をしなくてもよいように)背丈の大きな苗木を少しずつ植えてみてはどうか、という案も出されました。
6月5日 自然農④ あぜ塗り
- 2011-06-18 (土)
- _自然農
兵庫県豊岡市但東町 参加者14名
この日はうす曇りで涼しく、あぜ塗りには最適のお天気になりました。
あぜ塗りの前にまず、苗床の確認をしました。前回はほとんど芽がでておらず、みんなを心配させていた苗床でしたが‥
こんなに順調に育っていました!どの苗も鮮やかなグリーンの芽を、元気よく地面から突き出しています。これで今年も無事に田植えができそうです。
元気に育っている苗に一安心したところで、あぜ塗りにとりかかります。
まず、あぜを作るあたりの草だけを刈っていきます。刈った草は田んぼの中に置いて置きます。
次に、草を刈ったあたりの土の一部を水と混ぜて、足で練ります。これがなかなかの重労働で、どろに深く長靴がはまると、力いっぱい引きぬいてもなかなか抜けません‥。
練った土を、クワで上手に、あぜにするところに塗っていきます。これが乾くときれいなあぜになります。
作業のあとは、山の水で道具をきれいに洗います。道具を長く大切に使うことも、自然を守る事につながります。
そして、この日も田んぼはいろんな花や生き物でいっぱいでした。田んぼの周りにはいたるところにトキワハゼ。ほたるぶくろのつぼみやどくだみの花。田んぼにはおけらややごがたくさんいました。
田んぼも畑も、たくさんの命に支えられています。自然への変化をいかに最小限に抑えるかを考える事が自然農ではとても大切です。
京都府芦生原生林に生息する昆虫が、かつての1割までに激減
- 2011-06-15 (水)
- _野生動物保全
高島市朽木のトチノキ巨木林保全に取り組む「巨木を育む豊かな森と水源の郷(さと)をつくる会」(青木繁会長)は、実が満足にならなくなったトチノキの 再生へ、開花期の今、ミツバチによる授粉促進作戦を展開している。自然環境の変化で授粉に不可欠な昆虫が激減し、ピンチヒッターとしてミツバチを起用。結 実回復で巨木林を元気にする一方、ハチミツ採取を軌道に乗せて地元活性化につなげるなど“一石数鳥”の効果を期待している。
朽木名産トチ餅の材料は、元来地元で豊富に取れるトチの実だったが、実が十分にならなくなり他産地から取り寄せている。背景に、シカの食害を原因とする 動植物の生態変化が指摘されている。トチノキは虫媒花で、授粉には昆虫の活躍が不可欠だが、朽木に隣接する京都府の京大芦生(あしう)研究林内の調査で は、生息昆虫が1割にまで激減しているという。
育む会はミツバチ授粉に着目し、巣箱2箱とセイヨウミツバチ1群(約1万匹)など養蜂用具一式を用意。開花が遅れていた県内最大のトチノキ(幹回り約 7・2メートル)などの授粉をさせている。巣箱は約1・3キロ北の育む会会員、伴正男さん(78)宅前に設置し毎日、元気に飛び立つ。巣箱内の板には巣が 形成され、ミツもできていることがわかり、食用採取も可能と分かった。
青木会長は「安曇川源流域でミツバチが集まる花はこの時期、トチノキが主なので授粉はうまくいっていると思う。ミツバチにしっかり働いてもらい作戦を拡大したい」と夢を膨らませている。