くまもりHOMEへ

ホーム > アーカイブ > 2011-12

2011-12

12/31 激動の2011年

激動の2011年が幕を閉じようとしています。国が、いっそう悪い方向に、どんどんと動き出した年になったと感じます。後世の国民は、あの時どうして、当時の国民が声をあげ、国に立ち向かわなかったんだろうかというのではないでしょうか。

先日、一流大学を出て、大手会社に勤めている若者と話す機会がありました。朝は8時に出社、夜は、深夜12時まで、時には、午前3時まで働いているということでした。これだけ働いても、残業代はつかないそうです。深夜3時まで働いた日は、帰宅して1時間の睡眠をとって、また朝、8時には出社なんだそうです。これでは、世の中のことなんて考える余裕もないし、ボランティア活動に参加する気力も生まれませんね。もちろん、みんながこうではないでしょうが、これでは、若い人たちの社会参加は望めません。国家の大損失です。

お金に目がくらんで利権に狂ってしまっている官僚、政治家、彼らに加担する事しか書けない記者クラブ・・・疲れ切っている国民には、彼らをただすエネルギーももはやない。これでは、国土を戦争や放射能汚染から守り、豊かな自然を復元させていこうとする国民の力は湧いてきません。

来年は、少し余裕のある暮らしをされている方々、リタイア組など、もっともっと動けるボランティアを熊森に集め、さらにさらに国にしっかりとものがいえる団体を育てていきましょう。

今年1年、熊森を応援してくださったみなさん、実践活動に参加してくださったみなさん、本当にありがとうございました。

●熊森は、今、職員をあと2名程度募集しています。森や動物の悲惨な現状に、胸が痛んで耐えられない思いをされている方がおられましたら、是非、ご応募ください。ネット匿名者による誹謗・中傷・虚偽満載の熊森風評など無視して、ぜひ、熊森本部を訪れ、ご自分の目で当協会を見てお確かめください。随時見学会や面接を行っています。

12月18日 第5回くまもり東京シンポジウム 於 一橋大学

3・11のため、一時期今年のくまもり東京シンポジウムの開催が危ぶまれたこともありましたが、東京を中心とした関東会員のみなさんの開催決意があり、年末ではありましたが、今年も熊森東京シンポジウムの灯をともし続けることができました。

一橋大学は、国立の駅から徒歩数分で、便利かつ環境のいいところにありました。会場周辺には、ボランティアスタッフのみなさんが寒さの中、そろいのジャンパーを着て、にこやかに立って迎えてくださいました。

会場入り口では、館内でのボランティアスタッフのみなさんが、生き生きとして忙しく動き回っておられました。

今年の参加者は200人。これまでと比べると人数は少なかったのですが、みなさん、安田喜憲先生のスケールの大きな文明論やエネルギッシュな目からウロコのご講演に、聴き入っておられました。

渡部康人氏や宮下正次氏の発表も、タイムリーで、とても興味深いものでした。

このシンポジウムの内容は、次回会報で、会員の皆さんにお伝えする予定です。お楽しみに。

福島県で、被曝牛たちを捕殺から守る「希望の牧場」に取り組んでおられる、衆議院議員高邑勉氏(山口県)も駆けつけてくださり、あいさつをしてくださいました。

また、体に障害のある女性も、クマを殺さないでという内容の、胸がいっぱいになる作文を書いて車いすで持ってきてくださいました。

たくさんの人たちのおかげで、本当に参加してよかったとみなさんが喜ばれるような、いいシンポジウムになりました。準備してくださったみなさん、参加して下さったみなさん、本当にありがとうございました。

クマサミット:保護策検討を 国、県に調査要望--美作 /岡山

毎日新聞 12月17日(土)16時23分配信

全国で出没が急増しているツキノワグマとの共生を議論するクマサミット(美作市など主催)が16日、美作市の美作文化センターであった。鳥取や兵庫など 約30市町村の関係者ら約400人が参加。シンポジウムで首長が集落に迫るクマへの不安を訴え、生息数や生態の科学的調査をして保護策を検討するよう国や 県に求めた。
サミットでは大井徹・森林総合研究所鳥獣生態研究室長が講演。クマの大量出没の原因は山のドングリ類の不作で、残飯や柿を狙い、荒れた里山を通って人里 に近づくようになったと指摘した。全国の人身被害は80年代の年平均約10人が00年代に50人に増え、「生息地が広がったのが一つの要因」と話した。
環境省がクマの生息数の調査に乗り出したばかりで、まだ調査方法は確立されていない。シンポジウムでは、兵庫県佐用町の庵逧典章町長が「民家の納屋にク マが寝ていたこともあり、クマの出没は尋常ではない」と強調。西粟倉村の道上正寿・前村長は「東中国山地にクマがどれだけいるか情報がないまま住民に保護 を求めるのは難しい。しっかり議論しないまま、殺処分となると批判ばかりになる」と悩みを話した。
一方で、市町村がクマの調査や殺処分をするには力不足という意見も出た。美作市の安東美孝市長は「私の身近にも木の上にクマが座るクマ棚がある。岡山、鳥取、兵庫3県でクマを管理するセンターを設置し、捕獲されたらそこで飼育してほしい」と訴えた。【井上元宏】

熊森より

美作市のクマサミットに、岡山県支部をはじめ本部からも少数が参加しました。12月の熊森本部は、非常に多忙で、クマサミット出席者による報告会がまだ持てないでいます。約30市町村の関係者ら約400人出席とはすごいですね。来年には、当協会内で報告会を持って、このクマサミットの熊森評価をしたいと考えています。

信じられないその③ 群馬県八ツ場ダム工事再開決定

以下、産経ニュースより

野田佳彦首相は23日、首相公邸で政府・民主三役会議を開き、政権交代後に建設を凍結していた八ツ場(やんば)ダム(群馬県)の建設再開を正式決定し た。民主党の主要公約は総崩れとなりつつある。

以下、熊森より

考え1  今、八ツ場(やんば)ダムに回すお金があるのなら、困窮を極めている福島県民に回すべ

きだ。

考え2  これまで国が、地元に期待を抱かせていたお金を、地元におろすことまでは国民として認める。ただし、取り返しのつかない国土大破壊となるダム本体工事だけは、しないでほしい。

「コンクリ―トから人へ」のマニフェストには、熊森も大いに期待していました。このマニフェストまで放棄して、まだ政権についておこうという国会議員たちの感覚が、国民としては信じられません。奥山保全・復元のためには、どうしても、ダムでない治水が必要なのです。

元ダム村におられた京都大学名誉教授で当協会顧問の今本博健先生に、ダム建設にあたって政治家におりるダム利権の莫大な金額をこっそり教えてもらいました。納得。

八ツ場(やんば)ダムに賛成、反対の国会議員名を、マスコミは大々的に発表して下さい。国民は、次の選挙まで覚えておきましょう。以下は、今本博健先生の渾身の著作です。全国民に読んでいただきたいです。

信じられないその② 武器輸出三原則の大幅緩和

以下、毎日新聞より

政府は27日、武器輸出三原則の大幅緩和を発表。国際協力目的での防衛装備品の他国への供与▽友好国との武器などの共同開発--を幅広く解禁した。個別案 件ごとに「例外」を設けていた従来の緩和方法を超え、事実上の三原則の転換に踏み切った。政府は、先端防衛技術の欧米との共有や、開発・生産コスト削減な どのメリットを強調する。だが、公開の場での十分な議論のないまま、平和国家・日本の理念である三原則を一気に緩和したことへの批判の声も上がっている。

以下、熊森より

戦争は最大の自然破壊です。人類が生き残るために、自然保護団体としては、地球上から武器を失くさねばならないと考えています。わが国が、武器輸出三原則の大幅緩和を発表するだなんて、信じられません。しかもあまりにも突然の方向転換です。国民には、考えたり反対したりする時間もありません。マスコミは、賛成した議員、反対した議員、それぞれの名前をきちんと発表してください。国民は、次の選挙の日まで、メモっておきましょう。

信じられないその① 原発輸出法案国会通過

12月になってから国が次々と出した判断には、国民として、自然保護団体として、もうついていけないのまでの乖離を感じています。

その①

12月8日 ヨルダン、ロシア、ベトナム、韓国との原子力協定を結んで、これらの国に日本が原発を輸出できるようにする原発輸出法案が国会を通過したそうです。

東電福島第1原発の事故の収束の見込みもついていないというのに、他国に原発を売りつけるだなんて。一体、国会議員のみなさんの思考回路がどうなっているのか、全く理解できません。

自然よりも利権、利権のみに心を奪われているのでしょうか。

当協会顧問のある衆議院議員が国会で反対演説をしてくださったのを知り、うれしかったです。他に、少数ながら反対してくださった党や議員のみなさんがおられます。この方たちの名前をしっかり覚えておき、次の選挙に生かしたいですね。

12月10日 鳥取市でクマとの共存を考えるシンポジウム

この日のシンポジウムには、鳥取市福祉文化会館2階会場いっぱいに、数十名の参加者がありました。まず最初に、長野県軽井沢町のNPO法人ピッキオ職員玉谷宏夫氏と広島県役場職員の栗栖浩司氏から、講演がありました。

熊森の自然観や動物観とどこがちがうのか、少しわかってきました。一つの現象に対しても、人にはいろんな考え方や見方があるものだと、改めて思いました。違いがあっても、相手への敬意を失わずに、耳を傾けることが、人としては大切です。このような舞台の上の短い時間だけでは、どこからこのような違いが生じているのか、わかりませんでした。現代人はみんな忙しいのですが、じっくり話し合える機会があればと思います。

後半の初めは、鳥取県庁担当者からの発表でした。今年、鳥取県は、クマが増え過ぎているという民間調査会社からの調査報告を受けて、東中国山地の3県のなかで唯一、クマの個体数調整を開始すると新聞に発表済みでした。しかし、熊森は、鳥取県に対して、個体数調整捕殺の導入撤回を求めていました。理由は以下です。

①人工林率54%で、しかも、その多くが放置された人工林である鳥取で、クマが増え過ぎられるはずがない。

②去年、多くのクマたちが山から出て来たのは、数が増え過ぎたからではなく、なぜか山がありえないような大凶作だったからだ。その証拠に、今年は、目撃数も捕獲数も激減している。個体数調整の導入は、過剰防衛である。

③他生物の生命も尊重されるべきで、可能な限り殺さない対応が求められる。

この日、鳥取県庁担当者は、個体数調整の導入実施を検討すると言う文言に押さえて発表されました。これは行政としては、メンツを考えればなかなかできないことです。鳥取県行政担当者を讃え、拍手を送りたいと思いました。

このあと、熊森協会から森山会長も参加して、シンポジウムが始まりました。4つの違う立場からの声が出されて、バランスのとれたシンポジウムになったと思います。このような会には、必ず、奥山を歩き続けている熊森協会が出席すべきであると思いました。

最後に、熊森鳥取県支部長が、福島原発事故を引き合いに出して、これまで人間のやってきたことを、クマ対応についても見直すべき時ではないかという、人々の胸に響く発言をされ、閉会となりました。

12月10日 大盛況、岩手県滝沢村での宮澤顧問講演会

日本一広い村、岩手県滝沢村、もちろんクマの生息地です。ここから、熊森に講演依頼が来ました。

当日は、村長さんら120名の方々が集まってくださり、宮澤正義先生の、研究者としての専門知識がいっぱい詰まった講演に、みなさん喜んで聴き入っておられたそうです。参加者のみなさんは、熊森協会って、こんなにも深く研究していたのかと、驚かれたそうです。

ある参加者の感想

自然との共生について、新たな視点を持つことができました。私は、宮澤先生の背筋がピンとした滑舌の良い話しぶりと、84歳とは思えないバイタリティに敬服すると共に、心の底に流れる「やさしさ」に感動いたしました。本日は、本当にありがとうございました。

宮澤先生のご感想

滝沢村のみなさんには、村長さんをはじめ大歓迎を受け、本当に感謝です。こんな話初めて聞いたと、みなさん大いに喜んでくださいました。クマのことには少ししか触れられなかったけれど、クマのことがよくわかったとみなさんが言ってくださいました。こんなに喜んでいただけるのなら、これからは、百姓仕事を減らして、元気なうちに、もっと全国を語り歩かなければならないと思うようになりました。今回の講演会では、岩手県会員のMさんに、大変お世話になりました。ありがとうございます。

●ちなみに、先生には、ある県の森林組合から、次の講演依頼が来ているそうです。熊森にも、信越地方のクマ生息地の行政から、講演依頼が来ています。今のような、殺すだけのクマ対応ではいけないと、人々が感じ始めてきたのかもしれません。


12月8日 第13回 本部クマ部会

白熱議論が続く、12月の本部クマ部会。

今年の2月末、わたしたちは、兵庫県主催のシンポジウムに出席して、兵庫県立大学の若い研究者たちの発表を聞きました。かれらの現状認識は、この7年間でクマが6.5倍にも激増したとか、生息地には食料が充分ある等々・・・19年間、クマと森を調べて来た当協会の見解と、ことごとく正反対のものでした。

わたしたちは、どうしてこのような違いが生じるのか、兵庫県立大学の若い研究者たちと、とことん意見交換をしてみたいと願っています。

当協会の会報69号(2011年秋号)に、但馬の山を数十年間歩き続けておられる地元の元高校生物学教師の言葉が載っています。

熊森Q :兵庫県のクマが増えているという人がいますが、どう思われますか。

先生A : 増えてなどいませんよ。何年度の基礎データと比較したのですか。現地に入り、クマの痕跡調査をしたのですか。集落に出て来た数は、生息環境のエサの豊凶との相関関係と見るべきです。もっと現場を歩いて判断してもらわないとだめですね。

くまもり通信70号無事発送完了しました

年末のお忙しい中、4日間のべ40名以上の方がボランティアでお手伝いくださり、くまもり通信70号の発送が無事終了しました。今回もみなさん素晴らしいチームワークで、仕事の早さに圧倒されました。
今回の会報も力作です。会員の皆様には、ぜひご意見ご感想をお寄せいただければ嬉しいです。
皆様、本当にありがとうございました。心よりお礼申し上げます。
p.s 会員のみなさんから、応援用の果物やお菓子など、まごころのこもった差し入れがいくつも届けられました。発送作業に精出す会員らにとって、どんなにありがたく元気が出たことか、いつものことながら、本当にありがとうございました。
本部スタッフ一同

フィード

Return to page top