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2012-05

八幡平クマ牧場に残されたクマたちの飼育員3名を県費で臨時募集⑪ いきものたちの命にやさしい秋田県

5月22日付秋田県北鹿(ほくろく)新聞によると、佐竹敬久秋田県知事は21日、八幡平クマ牧場に残されたクマたちの餌やり作業などを補助する非常勤職員3名を雇用することを決め、とりあえず、6月7月の2か月で210万円の補正予算を組んだと発表されました。内訳は、

3名の臨時職員の人件費2か月分 163.5万円

餌代やガソリン代など2か月分    46.5万円

こうしながら、一方では、1頭でも2頭でも、大切に飼ってくれるところを、冬が来るまで探し続けるということです。6月~10月までの5か月間が勝負です。

このような取り組みに対して、主に県外の人たちからは、生き物たちの命に優しい秋田県を評価する声ががどんどんあがってきているようですが、県内からは、クマなどに税金を投入するな、というお叱りの声も出ているそうで、佐竹知事もやりづらさを感じておられるだろうなと同情します。

本当は、生き物たちの命にやさしい県は、人間社会の弱者に対してもやさしい県となりますから、秋田県民のみなさんにとってもいいことなのですが。

第3セクターで保護飼育する道をさぐる⑩

22日午後、八幡平クマ牧場がある鹿角(かづの)市役所を訪れました。市長さんにお会いして、もし引き取り手がなかったクマたちが残るようなことがあれば、行政にも入ってもらって、お隣の北秋田市が阿仁熊牧場でやられているように、第3セクターでみんなでクマたちを保護飼育するしか、命を救う道がないとお伝えしようと思ったからです。急なことだったので、市長さんにはお会いできませんでしたが、担当者の方に1時間ばかり会っていただくことができました。

鹿角市では、まだ1回もこの問題で会議を持っていないということで、今の段階では、秋田県庁の動きを見ている感じでした。それというのも、八幡平クマ牧場を開設した昭和62年の時点では、今のような動物の飼育に際してのきちんとした法整備が出来ておらず(「動物愛護法」)、鹿角市は当時の経営者から、クマ牧場開設の連絡は受けたが、「水を汚染しないように注意して下さいよ」などと言っただけで、それ以上の権限がなかったといいます。

平成9年に「動物愛護法」が改正され、クマなどの危険動物は、簡単には飼えなくなりました。施設の立ち入り検査などを受けたあと、県知事からの許可が必要です。というわけで、八幡平クマ牧場はいきなり、秋田県の指導を受けることになりました。牧場の設計が、クマの立場に立ってなされていないなど、当時からいろいろと問題はあったと思われますが、すでにクマたちがたくさん飼われていたので、飼育許可取り消しなどの強力な措置は、とれなかったのだろうと思われます。

秋田県佐竹敬久知事は、今回の事件を受けて、現行法では、クマのような特定動物の施設の管理運営、設置基準、飼育基準、施設の閉鎖要件などが甘過ぎるとして、もっと行政指導が強くできるように、国に法改正を求めていくといわれています。まさにその通りだと思います。施設の中に入るのは、物ではなく、私たちと同じように命も心もある生き物たちなのです。しかも、一度飼われたら、動物たちはその檻から生涯出してもらえないのですから、最大限の動物福祉が保障されなければなりません。ちなみに、佐竹敬久知事は、昔の秋田の御殿様の家の出で、県民によると、とても優しい方なのだそうです。

八幡平クマ牧場を、鹿角市ではなく、秋田県と組んで第3セクターにするという手もあります。県関係者によると、それには県民の同意と、秋田県に利益が予測されることが必要なのだそうです。

クマを守ることは森を守ること、森を守ることは水源を守ること ⑨

このツキノワグマの子どもは、2010年愛知県豊田市で有害捕獲罠にかかった母子グマの子どもです。あのとき、豊田市の職員のみなさんが、この母子グマ の命を何とか助けてやろうと決意し、ここまで必死の思いで連れてきたのです。残念ながら、母グマはここにきてしばらくして死んだ ということで、子グマだけが残っていました。豊田市の若い職員のみなさんの「生きよ」という祈り、強い愛情がいっぱいに詰まったクマたちです。オスは「あいち」で、メスは「とよ こ」という名前です。

コンクリートと鉄格子以外何もないところで毎日外を見ているだけなのは、自分には耐えられないだろうなと 思って、近くに落ちていた小枝を入れてやると、死んだような眼をしていた子グマたちが、突然目を輝かせて、小枝をかじって遊び始めました。近くにたくさん 生えていたフキの葉を入れてやると、一瞬にして喜んで食べてしまいました。

ヒグマにも、フキの葉をやってみましたら、ヒグマたちもみんなうれしそうに食べ ていました。ここも、当協会の太郎と花子のファンクラブのように、お客が持ってきた食料を自由にクマたちに与えられるクマ園にしたら、楽しいだろうなと思いました。万一の事故がないように、職員が立ち会わねばなりませんが。

この牧場の周りの山からは、大量の水が湧き出していました。ちなみに、ここには、野生のツキノワグマたちが棲んでいます。

地元の青年に聞くと、何度も山でクマに会っているそうです。においが強烈で、犬の体臭の10倍ぐらいのにおいがするからすぐわかる。よく、ブワッ、ブワッというなき声が山の中からしてくるが、クマだということでした。私たちが知っているクマは、野生でもにおわないし、なき声などめったに聞いたこともありません。秋田のクマと、兵庫のクマはちがうのだろうかと不思議に思いました。

クマを守ることは森を守ること、森を守ることは水源を守ることです。

住民と生き物の命を大切にする秋田県⑧ 

八幡平クマ牧場飼育員死亡事件のあと、秋田県は5月7日から、①地元住民の安全と、②残されたクマたちの給餌作業や牧場の施錠確認の為に、秋田市の秋田県動物管理センターの職員3~4名を、1日おきに現地に派遣し続けてきました。行政としては、本当にすばらしい対応だと思います。県職員のみなさんは、片道3時間往復6時間使って現場に通い続け、黙々と作業に励んでおられました。東北人のねばり強さを感じました。従業員を全員失ってしまった牧場経営者の方は、県や県職員の方々の応援に大変感謝されていました。

21日秋田入り1日目の夜、私たちは経営者の方と夕食を共にし、じっくりと話し込みました。4年前、破たんした牧場に残されたクマを助けようとして自らも破たんしていった4代目経営者の苦悩が痛いほど伝わってきました。国民の一人として、なんとかこのような善意の人を支えねばならないと思いました。明日は、県生活環境部の職員の方と、県から頼まれた獣医さんが来られるということで、私たちは5月22日、再び牧場をおとずれました。

<みんなでクマを見まわる>

NPO法人の方々や獣医さん、県庁の職員の方が、残されたクマたちが他の牧場に引き取ってもらえるように、1頭1頭ずつの特徴を記録した台帳を作ってくださったそうです。大変な作業をしてくださっているのがわかりました。何とか引き取り手が現れますように。

秋田県の会員が、「秋田ではクマは神様だったのです。今でも、クマを大事に思っている人がたくさんいます」と教えてくれました。県知事さん以下、みんな一生懸命になって、残されたクマの命を助けようとしています。秋田のすばらしい文化にふれた思いがしました。

人もクマも獣舎も、想像を超える疲弊ぶり 八幡平クマ牧場からSOSの大声が聞こえる 5月21日⑦

八幡平(はちまんたい)クマ牧場は、十和田八幡平国立公園内にあり、周りは自然がいっぱいの風光明媚な所にありました。先日、1頭のヒグマが亡くなり、今またもう1頭のヒグマが、仲間からのいじめにあって亡くなろうとしているということでした。

クマ牧場に着くと、いきなり現地におられた新聞記者さんたちから、質問攻めにあいました。

記者「熊森は、どうしようと思ってやってこられたのですか」

くまもり「今来たばかりでまだわからないことだらけですが、とにかく、残された28頭のクマを殺処分しないで、終生保護飼育する方法を見つけるために来ました。いったん生き物を飼ったな

 

 

ら、最後まで責任を持って世話しなければならないのは、人として当然のことです。28頭ものクマを貰ってくれるところなど考えられないので、とにかくここで寿命まで保護飼育するしかないと思うのです」

この後、経営者、応援に来られていた県の職員3名、そして私たち2名の計6名は、月水金に与えているという残飯を、病院など4か所の施設まで取りに行きました。施設が遠いのと、残飯がいっぱい入った重いペール缶を運ぶのが大変なのとで、しゃべる力も失うほど疲れました。

しかも、41年間使っているというトラックはおんぼろで、リフトの油圧機が半分つぶれていました。まず支援すべきは、このトラックだとわかりました。(5月25日、熊森支援済み)

いただいた残飯入りペール缶を13缶積んで、牧場に帰ってきたのが午後3時半。時間がないため、大急ぎで走り回って給餌です。

 

ましな檻もありましたが、全体的に、施設は予想をはるかに超えて老朽化していました。残飯を、大きなスコップですくって餌箱に投げ入れるのですが、鉄製の餌箱が錆びてぼろぼろで穴が開いていたり、飲めそうな水がない檻があったり、真っ暗な檻にずっと閉じ込められたままの母子グマがいたりして、胸が痛みました。「とりあえず、この母子グマを日光が当たる所に移してやってください」と経営者に頼みました。(5月25日経営者によって解決済み)

経営者の方が、「熊森さん、6頭のツキノワグマだけでも助けてやりたい。お願いです。飼ってやってください。わたしは、両手をついてでもお願いしたい」と言われました。「飼えるものなら、とっくに飼ってあげていますよ。残念ながら、今の熊森はまだまだ小さくて、逆立ちしても、クマたちを飼う力などありません」くまもりが、正直に答えました。

20年も勤めておられたベテランの飼育係の方々を、事故で失って1ヶ月。八幡平クマ牧場では、経営者も、応援に派遣されている県の職員も、残されたクマたちも、施設や獣舎も、みんな疲労困憊しきっているように感じました。全てに緊急の支援が必要です。

本当に、来てよかったと思いました。現地に来なければ絶対にわからなかったことが、次々と見えてきました。何を支援すればいいのか、次々と具体策が浮かんできて、来る前よりも希望が湧いてきました。

この施設を、クマたちが快適に暮らすように改修するのは、気が遠くなるほど大変だ。1頭でも2頭でも、大切に飼って下さるところを見つけて、貰ってもらうようにすることが先決だ。この日の朝と夜とで、考えが変わりました。

この日の夜、わたしたちが秋田県に来ていることを知った県内の熊森会員から、携帯の留守電にメッセージが入っていることに気づきました。明日、早朝、県内会員が応援に駆け付けてくれることになりました。明日はレンタカーを借りようと思っていましたが、これで土地勘のある秋田の会員と、大きく動けます。

今は、全国どこに行っても、多くの町で、現地の熊森会員が車で応援に駆けつけてくれるようになりました。組織のありがたさをかみしめながら、眠りにつきました。(続く)

ひともクマも放っておけない 八幡平クマ牧場を熊森本部が急遽訪問 5月21日⑥

クマは、広大な山野を駆け巡って初めて生を全うできる動物です。そのため、クマは、人間が飼えるような動物ではありません。人間がクマを飼うことを許されるのは、クマを保護するためにやむをえなかったときだけです。戯れに、又は、お金儲けの為にクマを飼うことを、当協会は認めておりません。飼えば、必ずクマが不幸になるからです。

当協会は、野生グマの保護活動や奥山保全・再生活動に全力を挙げて取り組んでおり、連日手がいっぱいです。八幡平クマ牧場に取り残されている29頭のクマたちのことは、心配でずっと気になっていましたが、残念ながら食料援助を少しするぐらいしか余力がありません。事件後直ちにトウモロコシ粉を200キロ送ったものの、餌は足りていると言われたので、それきりになっていました。秋田県庁やNPO法人が関わってくださっているということで、何とか助けてやってもらえるようにと祈るような気持でいました。

飼育員が亡くなられたあと経営者と県庁職員が飼育作業に入っているが、少人数であり作業が大変だということを聞いて、秋田県と岩手県の熊森会員のみなさんに、どなたかボランティで飼育補助に駆け付けてあげていただけませんかと連絡をしたところ、ある会員の方から、「行ってきましょうか。ただし、雪の具合はどうかきいてもらえませんか」という電話が入りました。

初めて牧場経営者に電話をしたところ、長話になりました。この方は、平成20年から八幡平クマ牧場の第4代目経営者となられたそうです。当時破たんした八幡平クマ牧場を親子4人で見に行って、クマってかわいいなと、家族一同、クマたちにほろっとしてしまったのだそうです。他に本業があるので、残されたクマたちを助けてやろうと思われたそうです。しかし、クマ牧場の経営は、昭和62年開設当時のクマで大儲けできた頃とは世の中が変わってしまっており、本業からの収入を注ぎ込んでも注ぎ込んでも赤字が膨らむ一方。完全に破たんして、追い詰められ、閉園を宣言したところに、今回の事件。

いつの世でもそうですが、こういう時、高見の見物を楽しんでいるだけの心ない人々からの誹謗中傷が追い打ちをかけます。熊森も、何度もそのような悲しい経験をしたことがあるので、身につまされました。経営者の方は気丈に話されてはいましたが、クマたちを貰ってくれる所は全く見つかっておらず、本業と29頭のクマの世話との2足のわらじもあって、参ってしまっておられるのが伝わってきました。

ひともクマも放っておけない。

「熊森本部がまず、急遽秋田に行きます」というと、「来てくれるのか。うれしいよ」経営者の方が、電話の向こうで笑顔になられたのが感じられました。東電だって、銀行だって、破たんしたら国から助けが入る。それが人間社会じゃないか。面倒を見てくれるクマ牧場を探して、1頭でも多く保護してもらって、どうしても残ったら八幡平で終生保護飼育するしかないだろう。熊森に何ができるだろうか。まず行ってみよう。クマ29頭だなんて、とてつもなく大変な問題だけれど、相手はクマなんだから、やはり熊森が動かなくてどうする。取るものもとりあえず、5月21日早朝、本部からの2名が、神戸空港から秋田に向かいました。(続く)

日本の山地利用の実態が、飛行機から一目瞭然にわかる新緑の季節 5月21日

この季節、飛行機から日本列島を見下ろすと、人工林と自然林の割合、間伐されて手入れが行き届いている人工林と、間伐もされず放置されている人工林、この2つの違いがはっきりとわかります。秋田に向かう道中、飛行機の下ばかり見ていました。

山地の濃い緑が、スギやヒノキなどの針葉樹の人工林です。薄い黄緑色の部分は、今まさに落葉広葉樹が芽吹いている最中で、自然林です。

自分がクマなどの森の動物だったら、人間によってここまで多くを針葉樹にされてしまったなら、本当に生きづらいと思いました。「クマたちの棲める森は戦後増え続け、山は良くなる一方。何ら動物たちは困っていません」と、いつも言われる行政とつながっている大学の研究者のみなさんに、「これでもですか」と見せたいものです。


秋田県の山の人工林率は、50%です。人工林率が高すぎます。(ちなみに、兵庫県の人工林率は42%)

飛行機が高度を下げると、そこの人工林が間伐されて下草が生えているか、または放置されて林内が真っ暗で砂漠化しているか、そこまではっきりわかります。地上を歩いて山地利用の全体像をとらえるのは大変ですが、この時期、飛行機を使って調査すると、何もかもが一目瞭然であることがわかりました。

結論:日本の山は、人工林を造り過ぎました。しかも、人工林のほとんどが間伐遅れで、下草が生えていません。かつて、林業家は、下草が生えていない山は山ではないと言って、下草が生えていないことを恥じて、間伐に精を出したものです。国内林業不振の今は、昔話ですが。

(写真は全て、画質を落としてあります。本当は、もっとはっきりわかります)

自然エネルギー推進も自然破壊につながるという指摘

武田邦彦氏の書かれた「もうだまされない!身近な科学50のウソ」PHP文庫には、日本では、自然エネルギーへの転換もまた、環境破壊を進めることになると書かれています。化石燃料である石油を掘り起こすことは、地球を傷つけることです。原発もダメ、化石燃料もダメ、自然エネルギーもダメ。いったい何から電気を得ればいいのか。戦前までの、薪、炭の生活に戻るしかないのでしょうか。

どちらにしても、解決策は、現在の便利すぎるエネルギー大量消費生活を抑制し、地球人口を平和的に適正規模に落としていくことしかないでしょう。

<自然エネルギーへの転換が環境破壊を引き起こすという武田氏の指摘>

自然エネルギーを使う=地熱以外は、太陽エネルギーを使うこと

太陽電池・・・佐世保市でのシュミレーションによると、佐世保市の使用電力の8%を太陽光発電で賄おうとすると、市周辺の動植物のほとんどが死滅する。(理由)日光が当たらなくなるから。兵庫県豊岡市では、山に巨大な太陽光発電を設置するという計画があるようですが、太陽電池の下は、日光が遮られ草木も枯れます。山崩れの災害発生を助長するのではないでしょうか。太陽光発電は、人家の屋根だけという小さな面積に留めておくべきでしょう。

水力発電・・・ダムが国を滅ぼす。ダムの弊害。魚の死滅。

バイオマス発電・・・トウモロコシなどの食料からエタノールをつくるなど、食料をエネルギーに回すので、食料不足を招くうえ、効率がとても悪い。

風力発電・・・風車によって風の力を弱めることになるので、周辺の地面がじめじめし始め、植物の成長も悪くなる。風は無駄に吹いているわけではなく、風が大地に当たることによって、動植物や地球環境が保たれている。

ちなみに、スウェーデンのように人口密度の極端に小さな国では、自然エネルギーだけでまかなうことは可能。他に自然がたくさん残されているので、大した自然破壊にはならないそうです。

疑わしい、関電の夏の電力不足 

マスメディアはこのところ、関西電力の今夏の電力不足予測発表を、関電発表として一方的に報道しています。しかし、我が家には、昨年の3・11以降、関電から3回も、ガスぶろを電気に変換するとお得ですという強力なお誘いの電話がかかってきています。全家庭に電話してオール電化を進めているのでしょうか。

本当に電力が不足しているのなら、この時期にこのような勧誘は、不謹慎ではないでしょうか。関電は、自ら電力が足りない状況を作り出して、大飯原発再稼働をもくろんでいると疑われても仕方がない行為だと思います。

関電の電力が不足というのは嘘だと断言している専門家たちもいます。ある日の数時間が危ないだけだと言っている専門家もいます。なぜ、マスメディアは、以前のように、反対意見がある時は、それも横に並べて報道してくださらなくなったのでしょうか。今のような、政府発表、企業発表だけの一方的な報道では、「原発再稼働やむをえなし」と洗脳されそうで、テレビも新聞も見たくなくなります。

日本国民は、戦時中、「欲しがりません、勝つまでは」と、倹約生活に耐えに耐えた国民です。夏のしかも、ある日の昼間だけ電力が足りないのなら、一斉にテレビを消すなど、いくらでも節電に協力できる国民です。お知りおきください。

「鳥獣被害防止特措法」(農水省平成19年)の改正(平成24年)に伴う「基本的な指針の改正案」(パブリックコメント終了)は、鳥獣捕殺推進一辺倒。ああ、人間がますますダメになっていく。

平成20年施行「鳥獣被害防止特措法」(農水省)は、以下の3つのことがらを進めるために作られた法律で、多額の国家予算がつけられました。
①野生鳥獣の有害捕殺促進
②野生鳥獣による農作物被害防除推進
③野生鳥獣の生息地復元 (当協会の強い要望と必死の運動で入れられた一項)

しかし、③野生鳥獣の生息地復元については、施行以来4年間、予算措置は毎年ゼロ!。何もなされなかったのです。これでは、法文条項の存在に意味もなく、国民に対する詐欺です。

にもかかわらず、自民党鳥獣捕獲緊急対策議員連盟(会長 武部勤元幹事長)が中心になって、さらなる鳥獣捕殺推進への暴走を促す法案を、昨年、国会に提出しました。

<自民党鳥獣捕獲緊急対策議員連盟とは>

(議連主旨) わが国は、シカ、イノシシ等による農林業や生態系への甚大な被害、クマによる生活環境への恐怖などが、全国各地で深刻な社会問題となっている。自然を守りつつ各種被害の防止や地域の安全安心を確保するため、根本的な解決方法として、捕獲による個体数調整が重要である。猟友会の育成と鳥獣の保護管理が適正に運営できるような法整備に取り組む。

鳥獣捕獲緊急対策議員連盟
顧問 伊吹文明・大島理森・二階俊博・山東昭子
会長 武部勤
副会長 小坂憲次・河村建夫・森英介
幹事長 林幹雄
副幹事長 谷公一
常任幹事 岸田文雄・高市早苗・遠藤利明・浜田靖一・塩谷立・脇雅史・吉田博美
事務局長 鶴補庸介

この議連が元になって国会に提出された自民党案の内容は、鳥獣捕殺をさらに促進するための過激な内容で、さすがに警察などからも反対意見が強く出され、最終的には自ら撤回され、有害捕殺鳥獣の食肉化推進など、一部意を汲んだ形で、「鳥獣被害防止特措法」の平成24年改正が国会で成立しました。(2012、3、30当協会ブログ参照)

今回はそれに伴う「基本指針な指針」の改正で、当然のことながら、野生鳥獣の生息地の復元など一切考えず、鳥獣捕殺をさらに促進する内容です。野生鳥獣から見れば、人間はますます悪魔になっていく一方でしょう。

農水省が5月24日締切でパブリックコメント(パブコメ)を募集しておりましたが、パブコメに応募することすら馬鹿馬鹿しく感じられたことと、多忙過ぎたために、みなさまにはパブコメ募集のお知らせをしておりませんでした。熊森本部からのパブコメは、一応、農水省担当部署に送付しました。

<なぜ、パブリックコメントへの応募が、馬鹿馬鹿しいと感じたか>

日本の行政は絶えず担当者が変わるからでしょうか。このたび、パブコメ担当者に問い合わせの電話をしましたが、担当者は法文の内容を把握することすらされておりませんでした。

このようなところに、国民が大変な思いをして法文を読んでパブコメを提出したところで、「今後のご参考にさせていただきます」という返事が返って来るだけでしょう。もしかしたら、パブコメを読むことすらなされないのではないかと感じました。「一体、あなた方は何のためにパブコメを募集しようと思われたのですか」と、思わず担当者に尋ねてしまいました。黙っておられましたが、おそらく、「パブコメをとりました」と言うためだけでしょう。

日本のパブコメは、至る所でこのように形骸化されてしまっています。パブコメで多くの国民から同様の意見が出ても、まず採用されることはないというのが実態です。こちらのほうを、大問題にしていくべきだと思います。

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