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「ツキノワグマ 福島県内に最大3384頭生息か」という記事の真相

福島県は、「クマの捕獲許可権限を県から地元市町村に降ろして、クマをもっと獲りやすくするように条例改正する案」に対する県民意見公募の最中に、記者会見し、福島県に生息するクマは、これまで考えられていた数の2倍以上いるかもしれないと発表されました。まるで、クマはたくさんいるから、市町村判断で、もっと簡単に獲れるようにすればいいではないかと、意見誘導しているようにもみえました。県庁担当者に、電話をしてみました。

 

熊森 ・・・「カメラトラップ調査」で、何種類のツキノワグマの斑紋が、識別できましたか?

福島県・・・11種類です。

熊森・・・では、福島県に、最低11頭のクマがいることは、間違いありませんね。でもなぜ、11頭が、3384頭になったのですか?まさか、森林面積をかけたりされていませんよね。

福島県・・・最大3384頭というのは、あくまで推定で、3384頭いると言ったわけではありません。いろんなことを加味して、出しました。

熊森・・・11という数字が、どのようにかけたり足したりされて、3384になっていったのか、その全過程を業者から入手して、見せていただけませんか。非常に興味があるので、検証してみたいのです。加味したこと全てを教えてほしいし、どのように加味したのかも知りたいです。

 

<熊森から>

「これは、科学的に調査した結果です」と数字を出されたら、ふつうの国民は信じてしまいますが、その数字が出される過程を、県民の皆さんに検証していただきたいです。科学は法則です。誰が追試しても、同じ結果にならねばなりません。私たちは、福島県にクマが何頭いるのか知りません。豊かにいればいいだけで、何頭いてもいいのであり、正確な数など分かるはずはないし、知りたいとも思わないし、知る必要があるとも思いません。第一、生まれたり死んだり、絶えず複雑な要因が絡まって変化する自然界を、しかも、見透せない森の中で大きく動き回っている動物を、数字で表す事などできません。生息地が十分に保障されて、人間と棲み分け共存できていれば、それでいいのです。

 

しかし、野生動物の数を人間がマネジメントすべきと主張している研究者や業者たちは、そうではありません。何頭いるのか、クマたちの迷惑も顧みず、耐えがたい負担をクマたちにかけてまで、数字を出そうとします。次は、適正生息数を決めます。そんなもの、人間が決められるわけないのに、推測します。そして、自分たちが決めた数より増えたと推測されると、殺します。クマたちにはこの上もなく迷惑で傲慢な人間たちです。アメリカ大陸が発見された時、大地が動いたと思ったら、バイソンの群れで、空が真っ暗になったと思ったら、量バトの群れだったという記録を読んだことがあります。ワイルドライフマネジメント派に、バイソンもリョコウバトも、適正生息数はいくらなのか聞きたいです。

 

11頭いたという数は信じます。しかし、その後、この数字に人間がくわえた操作は、使った数式も含めて、全て、仮定であり推測です。仮定や推測を、何回も何回も重ね続けて出した数字になど、意味はあるのでしょうか。自然界や命は、物ではないので、工業製品のように数式化などできないのです。人間のためにもクマたちのためにも、こういう自然界の実態に気づく人が増えてほしいものです。

 

< 以下、新聞記事です>

福島県は13日、今年度から導入したツキノワグマの「カメラトラップ調査」で、県内の推定生息数は最大3384頭に上ったことを明らかにした。ツ キノワグマの斑紋を撮影して識別する手法で、調査方法が異なるため単純比較はできないが、これまでの最大1600頭の2倍を超えた。

調査結果は同日、福島市内で開いた県と学識経験者らによる検討会で報告された。県は結果や検討会の議論をまとめて、2013年度からの県ツキノワグマ保護管理計画に反映させる。

調査は8~10月、クマの生息数が多いとされる西会津町で行った。山林の20か所にビデオカメラとハチミツを仕掛け、クマがハチミツを捕る際にあ らわになる胸の「月の輪形」の斑紋を撮影。斑紋は個体によって異なるため識別でき、映り込んだ頭数をもとに生息数を割り出した。

その結果、県内全体の生息数を514~3384頭と推定。従来は農作物を荒らされた場所にわなを仕掛け、捕獲した頭数をもとに推定していたが、この方法で1988年から2003年までに行った調査では、860~1600頭だった。

県は、捕獲頭数は年ごとにばらつきがあるため、実際に山で暮らすクマを数えた方が実態に即しているとして、カメラトラップ調査に切り替えた。た だ、予算の都合などで、今年度の調査は西会津町に限定され、短期間にとどまった。このため検討会では、委員から「結果として生息数を多く見積もっているの では」「調査地域を広げるべきだ」などの指摘があった。

県自然保護課は「調査地域を広げたり、複数年にわたって調べて経年変化をみたりして、精度を高めたい」としている。

県によると、今年度の県内のクマの目撃件数は10月末現在398件で、前年度同期(120件)の3倍以上だ。クマに襲われてけがをした人も5人おり、うち1人が死亡している。

県は住民に危害が及ぶ恐れがある場合、地元で迅速に対応できるように、希望する自治体に対し、クマ捕獲の許可権限を県から移譲する条例改正を目指している。来年2月の定例県議会に提案し、可決されれば13年度から施行の予定だ。

県が実施したアンケートでは、全59市町村のうち、会津地方を中心に27市町村が権限移譲を希望しているという。

(2012年11月14日  読売新聞)
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