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福島第一原発の事故は収束していない

以下、熊森顧問橋本淳司氏の週刊「水」ニュース・レポート (2013年4月10日) より

 

東京電力福島第一原子力発電所の 「地下貯水槽」から汚染水が漏れています。5日夜、貯水槽7ヶ所のうち、2ヶ所で漏水が判明。 別の貯水槽への移送作業が進められているものの、 9日午後、移送先でも汚染水漏れの可能性が発覚し、 東電は移送作業を停止しました。

 

「地下貯水槽」は、 ポリエチレンなど3層のシートで汚染水を管理しています。 安全性の高い鋼鉄製タンクに移すべきとの要望もあるが、 物理的な容量不足のため現実的でないという声が多いのです。 そうしたなか、地下水の流入などで、 汚染水は毎日400トンのペースで増えています。

 

原発事故から2年が経過し、 報道量も少なくなり、世間の関心も薄れています。 あたかも事故は収束したかのような空気が広がっています。 今回のような事故が起きても、 「まったく東電はどうしようもないな」とか、 「東電じゃ、しかたないよね」というような、 東電を許容したり、東電のミスに慣れるような 声が多いのも気になります。

 

実際には、核燃料の冷却は綱渡り状態であり、 いまだに適切な対策が打てず、 試行錯誤の状態が続いています。 そして、 その間、汚染水は福島の地下へ浸透、 あるいは太平洋へ流れ出し、 周囲への汚染は広がり続けています。 もっと真剣にこの問題に向き合う必要があります。

 

 

厳しい状況をどう打開すべきか、 朝日、毎日、読売、産経各紙の論点をまとめてみました。 原発への姿勢の異なる各紙ですが、 原発廃炉工程を東電だけで進めるのは不可能であり、 国や規制委の関与強化を共通して求めています。

 

 

衆院の原子力問題調査特別委員会で8日、 国会事故調査委員会の黒川清元委員長が 「事故は明らかにまだ収束していない」と述べています。 その通りなのです。 事故はまだ渦中にあり、 きちんと考えれば、 最悪のシナリオを進む可能性もあるのです。

 

原発推進、原発反対かどうかの議論はここでは別にして、 客観的、科学的な判断として、 福島第一原発の事故は収束していないという認識を、 日本人は共有すべきでしょう。

東電、政府、原子力規制委員会は、 福島第1原発は、まだ事故の渦中にあるという認識に立ち、 事故収束への道筋を早急に示してほしいものです。

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