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5月25日 愛知県でのパネルディスカッション~水源の森と私たちの生活~ 蔵治光一郎東京大学準教授・森山まり子熊森会長

高齢の方が多かったのですが、地域の森や水源を考える講演会とパネルディスカッションに、多くの市民が参加されていました。

主催された市民団体の日頃のご活躍と、精力的に各地で講演を続けられている今をときめく蔵治先生のお力です。

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      (写真左から、神谷先生、蔵治先生、森山会長)

 

現 在、愛知県瀬戸市北部にある東大演習林(1292ヘクタール)に勤務されている蔵治先生は、かつて焼き物に使う燃料のまきとして木々が乱伐され、土壌はや せ、花崗岩の層がむき出しになっていた瀬戸の山々が、(かつて愛知県は三大禿山県の一つだったのだそうです)今日のように木々に覆われ土壌が回復するまで になった詳細な経過データや貴重な写真を次々と提示され、山と水の関係をお話しされました。

 

自分たちの故郷である山々の興味深いお話に、参加者のみなさんたちは食い入るように聞き入っておられました。

 

次に、森山会長は、森林という日本語がまぎらわしいので、今後は森林として、森と林を使い分けて日本の山を論じるべきだという持論から入り、

戦後の拡大造林で針葉樹の苗木を植え過ぎた結果、日本の山の今一番大きな問題は、人工林の山の木が多過ぎて超過密になって内部が大荒廃していることであると、指摘。

国 が動くのを待っているのではなく、チェンソー、のこぎり、皮むき…あらゆる方法で、市民の力で、子供たちの力で、早急に7割の強度間伐を人工林に施さないと、表土流出や山崩 れなど、これからますます取り返しのつかない事態を招くこと。皆伐や間伐を進めて、みんなで、未来のために、他生物のために、動物のすめる水源の森を再生 しようと、熊森活動の最近映像を使って提案しました。

 

           現在

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スギ・ヒノキが密生して大弊害をもたらしている放置人工林(全国人工林1000万ヘクタールのうち、8割が過密により荒廃)         

           ↓

 

熊森の提唱する国土利用(ゾーニング)

s-ゾーニング(杉)

ご 存命中、ずっと熊森を応援してくださった東大林学科名誉教授の高橋延清先生は、戦後の拡大造林政策に勇気をもって反対された数少ない研究者のおひとりで あったと、蔵治先生が教えてくださいました。

今の熊森もそうですが、みんながどっと一つの間違った方向に進もうとしているときに、そっちは滅びの道だと声 を上げることは大変な勇気とエネルギーがいります。

高橋先生も、どんなに大変な思いをされたことだろうかと思いました。

大変であっても、どんなに揶揄されても、気づいた者が声を 上げねばならないのです。

 

同じく東大の先生である蔵治先生にお会いして、以前、高橋先生が初期の熊森に教えてくださったこと、

●クマがいないと日本の山は森にならない。

●林業は択伐林業以外は山を荒らす。

●本当の自然の勉強は、現地でないとできない。大学の部屋にこもっていては絶対にできない。

等々を、思い出しました。

 

蔵治先生はまだ40代で、研究者としてはお若いし、多くの市民を巻き込んでみんなでどっぷりと山の中に入られ、日本の山をどうしていけばいいか、市民とともに考えるという姿勢を貫かれています。これらの点を素晴らしいと思いました。今後のご活躍を期待します。

 

今この国に必要とされているのは、一人でも多くの国民が、日本の山の荒廃問題に関心を持って山に目を向けることであるという点で、蔵治先生と熊森の意見が一致しました。会を企画くださった皆さん、参加してくださった皆さん、本当にありがとうございました。

 

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