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9月23日 岡山県のクマ狩猟再開を考える緊急集会 岡山のクマはもはや山にいないとの猟師発言

 今回の緊急集会を開催したことで、山陽新聞に森山会長の長文のインタビュー記事が掲載されました。

9月27日山陽新聞←クリックしていただけると読めます。

 

 

午後5時からの集会を企画していたので、会場設営のため岡山国際交流センター4階会場に4:30に入りました。

駅近くのいい会場でしたが、私たちとセンターの間に行き違いがありました。

センター職員から、「5時以前の入室は一切認めない。主催者は1階で5時まで待ってもらう」という厳しいお達しが出て、5時まで1階ロビーに足止めされました。

その結果、せっかく参加者の皆さんが来てくださっているのに準備が間に合わず、開始が遅れてご迷惑をおかけしてしまいました。
5:30開場とすべきでした。お詫び申し上げます。
何時から入室できるのか、会場を借りる場合はしっかり確認しなければならないと改めて反省した次第です。

 

5時に会場に行くと、新聞のお知らせ欄を見て初めて来られた方々や、熊森岡山県支部の方々が、すでに席についておられました。

講演中の森山会長

 

熊森岡山県平井支部長のあいさつの後、森山会長が以下の話をしました。

①日本熊森協会は、クマのため人のため全生物のために、奥山保全・再生に取り組んでいる民間の実践自然保護団体で、これまで奥山にクマたちの餌場を復元してきました。今年もクマたちが食べに来ていますが、今後は法整備して国を挙げてこのような事業を行うべきです。

熊森植樹地の2002年植樹のクリの木にできた熊棚 2017.9.16撮影(豊岡市の奥山)

 

②クマと共存すべき理由は、クマたち野生動物が存在するのが自然だからです。彼らによって豊かな水源の森・災害に強い森が造られます。

③クマとはどんな動物か、ご紹介します。

④ある民間株式会社がベイズ推定という統計学を用いて計算したところ、岡山県のクマが爆発増加しており、生息推定数の中央値:205頭(90%信頼区間:102~359頭)と発表しました。

この数字に基づいて、今回の岡山県のクマ狩猟が再開されることになりました。

しかし、現在クマの生息数を推定する方法は確立されておらず、どこまで本当の数字なのかわかりません。

過大推定すぎると反論している統計学者もいます。

兵庫で昨年度、同じ理由からクマ狩猟が再開されることになった時、餌場もすみかも奪われたクマを遊びで撃って楽しむのは、生態系保全上からも、人道上からも、倫理上からもおかしいとして、兵庫県知事やマスコミに会って中止を訴えたり、狩猟再開に反対する署名運動を起こしたりしました。

⑤今回のクマ狩猟再開問題は、岡山県の問題というより、環境省のスポーツハンティング奨励政策にあります。人間が戦後大破壊した森の復元など一切せず、「すごいアウトドア」というキャッチコピーで、野生動物を殺すことを遊びやスポーツとして若者に勧めており、環境省は今年もキャンペーンを全国展開しています。正気とは思えません。

2017年度用、広島県作成チラシ

 

この環境省の政策に反論している猟師もいます。

狩猟歴30年の猟師からの反論「ひどいアウトドア」→銃を持つということは、自分だけではなく周りの人達にも大変危険なことだ。まるで遊び感覚で獣が持てるかのような環境省のチラシの書き方は、許せない。気軽に誰でも狩猟者になれると思わせるこのようなPRは危険すぎる。狩猟とは、野生動物の大切な命を頂くということである。それがどうして「魅力」になりうるのか。理解に苦しむ。このようなキャンペーンはやめていただきたい。

 

次に、本部クマ保全担当の水見研究員が、多くの資料を提示しながら、以下の話をしました。

①岡山県のクマ生息地を調査したところ、過大な人工林、開発、自然林の劣化で山が大きく荒廃しており、クマの痕跡が見つかりませんでした。

②岡山県のクマ狩猟再開の問題点は、山に潜んでいるわずかなクマを殺してみたところで、里の被害は減らないため無用の殺生になること、岡山県の山やクマの実態を無視して、深い森が残りクマもたくさん生息している他県に合わせた全国一律の環境省のクマ狩猟規定に機械的に数字合わせをしているだけのため、岡山では無謀すぎる狩猟となることなどです。

 

熊森本部の調査ルートを、自然状況がわかりやすいように4月のグーグルアースに合わせた図

 

この後、岡山県会員の司会で、会場からの意見交換会となりました。

新聞を見て参加してくださった猟師さんが、「(熊森は)このような緊急集会を開催してクマ狩猟再開を心配しているが、兵庫と同様、岡山にはクマを狩猟する猟師などいない上、岡山のクマは山に餌がないのでほとんどが中国自動車道近くにまで下りてしまっており、山中で狩猟を再開しても、狩猟数ゼロで終わるのではないか」などと、現場を知り得た者にしかわからない情報を、いろいろと出してくださいました。ご参加いただき本当にありがたかったです。

 

また、他の参加者からも、質問や意見がいくつも出ました。まだまとめていませんが、近いうちにまとめようと思います。

 

(反省点)

狩猟、有害捕殺、錯誤捕獲、放獣など、熊森本部スタッフにとっては当たり前の用語を多用して説明しましたが、会場からの質疑を聞いていて、一般の参加者にはその違いが判っていなかったことに気づきました。

次回からは、用語の説明をしてから話さなければならないと反省しました。

今後どうしていけばいいのか、行動計画まで立てたかったのですが、この問題についての初集会では、なかなかそこまではいけませんでした。

 

ご参加くださったみなさん、ありがとうございました。終了時間も伸びてしまい、いろいろと不手際がありました。お詫び申し上げます。

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