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7月12日 平成30年7月豪雨災害のお見舞い ダムで洪水は防げない

この度の西日本での豪雨で被災された皆さんに、心からお見舞い申し上げます。

当協会の会員のみなさんに安否確認の電話を入れさせていただいたところ、通じない方が何人かおられました。

被災されておられるのではないかと本部スタッフ一同、心配しております。

熊森本部は、大丈夫でした。

 

思い返せば、西日本は7月5日から雨でした。

当初、7月8日に予定されていた日本奥山学会の日は晴れてほしいななどと、のんきに考えておりました。

7月7日になって、記念講演をしていただくことになっていた高知県の方から、道路も飛行機も使えず、今日も明日も行けない。今から避難するという連絡が入りました。

急遽、日本奥山学会の発表会開催を延期しました。

 

その後、日に日に被害報道が増大していき、7月12日現在、死者は200人を超え、避難されている方は7千人にものぼるとのことです。

炎天下、現地では自衛隊、警察、団体、市民ボランティア、地元の方々による必至の復旧作業が続いています。

みなさん、本当にご苦労様です。

どうしてこんな大災害になってしまったのか、疑問がふくらんできました。

 

原因はいろいろありますが、ひとつはダムです。

本日、「6府県の8ダム、満杯で緊急放流…西日本豪雨」という読売新聞の記事を読んで考えさせられました。

8ダムの水量が当時、満杯に近づき、ダム決壊を防ぐために、流入量と同規模の水量を緊急的に放流する「異常洪水時防災操作」が行われたというのです。

ダムによっては、放流1時間前の午前5時20分にサイレンやアナウンスで緊急放流を知らせたということですが、気づかなかったという住民もおられます。

その結果、逃げ遅れて亡くなられた方も出ました。

 

ダムのせいでこんな大変な洪水が起きたという声があがる一方で、ダムがあったからこそ、それまでに降った雨水を溜めこんで被害をこの程度に押さえられた、流入量と同じ量の水を放水しただけなので、ダムがなくても洪水は起きていた。もっと多くのダムを今後造るべきだなど、ネットにはいろんな声が渦巻いています。

 

「ダムが国を滅ぼす」の著者で、ダムの専門家であるくま森顧問の今本博健先生(京都大学名誉教授)に電話できいてみました。

以下、今本先生のお答えです。

 

「ダムで洪水は防げないことが、今回のことで皆さんによくわかっていただけたと思います。もっと多くのダムを造るべきだなんて声は、利権に走る御用学者の言うことで、とんでもないです。

今回、流入量と同じ水量を放水しただけと言われても、住民は突然そんな大量の水が流れ出してくるなど予想していませんから、洪水の犠牲者になってしまいました。

放水していなかったら、ダムが一気に決壊して、もっと大変なことになっていただろうというのはわかりますが、要するにダムでは洪水は防げないのです。

洪水を防ぐには、ダムではなく、堤防なのです。しっかりとした高い堤防を築いておく必要があります。堤防は越水したら崩れるという人がいます。今回も、あちこちで川の水が越水して、堤防が崩れています。しかし、土砂でできている堤防だからです。「ハイブリッド堤防」(堤防の天端両側の法肩に鋼矢板を打ち込んだり、中央部にソイルセメント壁を設置した物)だと、越水にも耐えられます。絶対に破堤しないとは言い切れませんが、治水の使命を果たすには、ダムではなく、堤防補強が必要なのです。そして、万一の場合は早めに確実に避難することです」

 

熊森から

今本先生、ありがとうございました。おかげで、もやもやしていた頭の中がすっきりしました。

 

 

 

 

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