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フジテレビ「奇跡体験!アンビリバボー 国内実録事件!! ヒトを襲う恐怖のクマSP!!」を見て

熊森本部は、7月19日19時から放映された上記番組に対して、フジテレビとアンビリーバボー制作責任者に対し、以下の文を送りました。

 

 

表題や番組告知にも責任を持つべき

 

上記番組を視聴させていただきました。当協会が番組告知を読んで、クマに対する重大なる誤解と偏見を視聴者に与える恐れがあると感じ、急遽、放映中止も含めた内容の再考を申し込みましたが、貴局は、番組の中身は告知とは違うとして、放映を強行されました。

 

確かに、クマを一方的に悪者に仕立て上げた番組ではなかったと思います。しかし、表題や番組告知だけを見て、視聴しなかった人たちも多くいたはずです。番組の視聴者を増やしたいのはわかりますが、このようなセンセーショナルな言葉を用いて番組を告知をすることは、クマへの誤解と偏見を生み、ひいてはクマに対する過度の恐怖を国民にいだかせることになります。

 

本来、クマはかしこくてがまん強く、親子の愛情が非常に深い動物です。人間が見習わねばならないすばらしさをもっています。それ故、昔からいくつもの民族が、クマに神を見出して手を合わせてきました。しかし、近年わが国ではクマが毎年大量に駆除されているにもかかわらず、クマと人の事故しか取り上げない、しかも、人間側から一方的にしか取り上げない現在の偏ったマスコミ報道のせいで、クマ守れの声が国民からほとんど起きません。祖先がしてきたように、今後もこの国で人とクマが末永く共存していけるように、番組の内容はもちろん、表題や番組告知についても、貴局は責任を持つべきです。

 

クマと人との悲惨な出来事は、あくまで事故であり、多くの場合、人間側に、クマを驚かせてしまったという原因があります。今後、貴局が人とクマとの事故について報道される際には、

  • 人間からの視点だけではなく、クマの立場を代弁できる者にも取材をすること
  • 人間側に原因があった場合でも、当然のごとくクマが殺処分されて終わっている現状の理不尽さを伝えること
  • 悲惨な事故が今後起きないように、解決策を視聴者に知らせること

そして何よりも、こんなやさしいクマがいました、こんなすてきなクマがいましたなど、クマが本来もっているすばらしさを伝える報道を増やすよう、要望いたします。

 

 

 

クマ牧場での事故を取り上げた後半の番組内容について

当事者には取材も連絡も一切なく、一方的に個人的な私生活を詳細にわたり報道したことは人権侵害

 

今回の番組では、クマ牧場の元経営者や従業員の個人的な私生活にかかわることまでが詳細に報道されていました。個人名を出さないという配慮はなされていましたが、この事故は全国に大きく報道された事故であり、まだ事故から数年しか経過しておりません。知る人には簡単に個人が特定できたと思います。

 

今回取り上げられた問題は、事件ではなく事故です。あそこまで詳細な内容を報道するのであれば、番組報道前に、当事者を取材し、内容を確認してもらい、了承を得てから報道するのが筋です。元経営者に関しては、彼が存命中であるにもかかわらず、一度も取材することなく、彼に無断で番組を作り放映しています。明らかに人権侵害です。例えば、報道された映像の中にあった、1頭の痩せこけたヒグマは、餌が不十分だったのではなく、病気で痩せこけていたと聞いています。彼を取材していたら、このような誤った報道部分は是正されていたはずです。

 

この事故は、当時の関係者や家族には悪夢であり、やっと傷口も癒えかけて立ち直ろうとしていた時です。クマ牧場の元経営者が、自分は取材を受けていないし何も知らされていないとして放映中止を申し出ているのに、貴局が放映を強行されたことは、マスコミという権力の許すことのできない横暴です。彼には十分な謝罪がなされるべきです。

 

 

提案

 

番組制作は、人やクマの不幸な出来事を見て視聴者が楽しむものであってはならず、また、視聴率が取れたらいいだけのものでもありません。日本の動物飼育や飼育施設にはまだまだ問題点が多く、法整備も必要です。このような問題も、取り上げるべきです。

 

また、この経営破たんしたクマ牧場での事故の後、多くの善意の人々が動いた結果、残された全頭のクマたちが命をつなぎ殺処分を免れ、土の運動場がついた新設施設で終生保護飼育が保証されることになったというアンビリバボーな展開となりました。第2弾として、どうしてそのようなことが可能になったのかという番組も作っていただけたらと願っています。

 

保護された十数頭のヒグマたちは、現在、雌雄別々に飼育されており、今後、ヒグマの数が増えることはありません。最後の1頭が亡くなるまで大切に保護飼育されることになっています。彼らはまだまだこの先、長く生きていきます。その間、えさ代や飼育に携わる従業員の給料が必要です。全頭のクマたちを引き受けた町を、善意の人々が支援したくなる、そのような番組の制作を期待します。

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