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都市部に配分された森林環境譲与税の使い道提案(1)奥地市町村の奥山天然林化を共同で行う

今や、自主的なものも含めて報道規制が強まっており、ほとんどの国民は国策の失敗など知りません。

結果として失敗した国策の一つが、林野庁の拡大造林政策です。山奥に大量に放置された人工林が引き起こしている問題は、もはや、はんぱなものではありません。

待ったなし 延々と続く放置人工林の内部 撮影:和歌山県

 

税の創設理由と本心の違い

森林環境税及び森林環境譲与税は、「パリ協定の枠組みの下におけるわが国の温室効果ガス排出削減目標の達成や災害防止等を図るため、森林整備等に必要な地方財源を安定的に確保する観点から、創設する。」となっています。

しかし、放置人工林の崩れによる近年の死者の増加を見るにつけ、林野庁の本心としては、パリ協定などどうでもよくて、一刻も早くこの国から放置人工林を消し去りたいという思いに駆られているのではないかと推察します。

(林野庁は、表向きには今もなお、山が崩れるのは豪雨のせいであり、放置人工林とは無関係という見解ですが・・・。責任問題に発展する恐れがあるので、口が裂けても、放置人工林と山崩れの関連を認めないのだろうと思われます。)

 

都市市民への気遣いなど不要なのに・・・

森林環境税及び森林環境譲与税は、都市市民にも一律に負担を強いるため、都市市民の賛同を得なければなりません。

その為の気遣いからか、総務省は 市町村に配分する森林環境譲与税の50%を「私有林人工林面積」、20%をが「林業就業者数」、30%を「 人口」の比率によって配分することにしました。

熊森としては、30%も「 人口」比で配分しなくても良いと思います。

そんなところにお金を回す余裕など、ないはずです。

国として、放置人工林を消し去ること、天然林に戻すことに全力投球しなければならない緊急事態なのです。

人口比など3%で十分です。放置人工林の窮状を説明すれば、都市市民は納得すると思います。

たかだか30%と言っても、大都市になると、人口が多いのでかなりの額になります。

 

税の使い道が思いつかない都市

いくつかの都市に電話をして使い道を尋ねてみたところ、何に使えばいいのかわからないのでとりあえず積み立てるというところがいくつかありました。(うーん、熊森としては、その町の水源の森がある郡部に税を回してあげてほしいなあと思います)

 

尼崎市に対し、環境教育に使って欲しいと熊森本部が陳情

兵庫県尼崎市は、町全てが都会であり、山はゼロです。

しかし、人口が46万人のため、2019年度は1700万円が配分されます。

(2025年度からは3600万円が配分されます。)

尼崎市では、国産材の利用促進を使途の中心にすれば森林整備につながるのではないかと考え、とりあえず本年度は、シロアリにやられている田能遺跡の高床式倉庫を、この税で新しく国産材を使って造り替えることにするそうです。

 

熊森本部としては、尼崎市に対し、森林環境譲与税を、子どもや市民が奥山天然林を保全・再生する大切さを学べるような環境教育に使って欲しいという陳情書を提出しました。

 

議会委員会を傍聴

2月26日に、尼崎市議会経済産業建設委員会でこの陳情に対する第1回の審議が行われました。

会議の最後に、経済管理課の方が、森林環境譲与税は、経済の中で考えたいと言われ、継続審議となりました。

4月23日に尼崎市議会経済環境企業委員会で、この陳情が審議されるということを聞いて傍聴に出かけました。

4月から職員が新しく入れ替わっており、今年からこの部署に来ましたという人でいっぱいでした。

森林環境譲与税の使い道を決めるのは、財務部財政課で、公共物の木質化の予算の中で考えていくことが確認されました。

その後、議員と担当課職員の間で、森林環境譲与税の使い道についての質疑が約20分間ほどありました。

 

熊森が尼崎市のある小学校で、奥山水源の森保全の大切さを伝える環境教育を17年間続けていることを知っている議員が、1校だけではなく、このような森林環境教育を全市に広めたらどうかと提案されました。

また別の議員は、個々の自治体を越えて広域的に使うことを考えてみてはどうかと提案されました。(担当部署が、即否定)

民間のアイディアを募ってみたらどうかという提案もありました。

この税を何に使ったかは、毎年、全市町村がインターネットで公開することになっています。1年後、どのような使い道がなされたか全てわかります。

 

熊森は、東京都や横浜市が100年先1000年先まで見据えて、山梨県の奥地で広大な天然林を水源林として購入していることを、高く評価しています。

将来を見据えられてこそ政治だと思います。

全国的に奥山開発や奥山人工林化で山からの湧水がどんどん減ってきている今、使い道が考えられない都市部の森林環境譲与税は、水源の森となる奥地の市町村の奥山天然林化に使ってもらうことも考えるべきではないでしょうか。

山からの湧水が消えて一番に滅びるのは都市です

 

参考文 林野庁が出している月刊誌「林野」2018年2月号

特集 森林環境税(仮称)と森林環境譲与税(仮称)の創設より

 

(税の使い方の例)

都市部の市町村においても、森林整備を支える木材利用等の取組を進めていただくとともに、例えば山間部の市町村における水源の森づくりを共同で行ったり、都市部の住民が参加しての植林 ・ 育林活動を実施したりといった新たな都市・山村連携の取組も各地で生まれることを期待しています。

 

 

都市は、この税をまず何に使うべきか

市議会の委員会を傍聴してみて、都市部がこの税を使うべき最初の用途は、放置人工林の弊害がわかりやすく説明されている熊森小冊子を担当職員全員に購入していただくことだと確信しました。

 

都市に住んでいて、奥山荒廃の実態を知らない、見たこともない職員に、森林環境譲与税の有効な使い道など思いつくはずがありません。

読後は、現地を視察する予算を組んで下さい。熊森がご案内します。まずはここからでしょう。

 

 

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