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推定918頭のクマに春~秋、誘引物入り捕殺罠2311基常設の異常性 和田副会長 兵庫県議会で質問

去る6月20日、くまもり副会長の和田有一朗兵庫県議会議員(神戸市垂水区選出)が、兵庫県本議会でいくつかの質問をしました。

その中から、兵庫県のツキノワグマが3年前から一大捕殺強化されている問題について質問した部分について、以下に紹介させていただきます。

 

【質問2:ツキノワグマの保護管理について】

和田 有一朗議員:

次に適正な野生鳥獣の保護・管理についてお伺いいたします。

近年、人と野生動物との軋轢がメディアを賑わせることが多くなってきています。シカやイノシシは人身事故はあるものの、農業被害が中心である一方で、クマの場合は人身事故の問題が中心となっているところであります。

 

兵庫県においても本県に生息するツキノワグマは平成8年度から狩猟禁止、追い払い活動や学習放獣などの保護対策を進めた結果、推定生息数が絶滅することが当面ないレベル800頭まで回復し、直近の推定生息数の中央値が830頭となっていると推定した県(注:推定したのは兵庫県森林動物研究センターの研究員)は、ツキノワグマ管理計画に基づき狩猟を含め野生鳥獣の被害対策の強化を進めてきたところであります。

 

しかし、注意をしておかなければならないのは、推定生息数はあくまでも統計に基づく推定であって、実際の生息数は推定より多い可能性もはるかに少ない可能性もあるということであります。

日本ではクマをはじめ野生動物は(今や)害獣として扱われ、個体数調整という名のもとに、本来の生息地である山の中まで人が入り捕殺をしており、本県でも出没を確認しない段階で推定生息数をはるかに超える罠を必要以上に仕掛け、捕獲されたクマを放獣せず、害獣駆除しているという声を私は聞いております。

 

乱獲は野生動物の絶滅の大きな原因であり、兵庫県でもツキノワグマが絶滅の危機に陥った過去からしても、捕獲が過剰となっていないか、十分な検証が必要であると思います。

 

そもそもクマは基本的には人を避け、森の奥深くに生息する動物であります。しかし、突発的に出会うと防御的な攻撃を招き危険な場合があります。また、クマによる人身被害、農業被害の発生は必ずしも、実はクマの個体数の多さに比例しているわけではありません。

 

クマの本来の生息地である森を開発、利用してきた人間が、季節や年によって食べ物を柔軟に変化させるといったクマの生態を知り、例えば奥地の放置人工林を天然林に戻すなど、本来のクマの生息地である奥山のクマの生息環境を整え、棲み分けを実施していくこと、藪の刈り払いをすること、庭の果実を除去すること、事故が起こった場所には立ち入らないようにすること、クマの餌場となる場所にはできるだけ近づかないようにすること、また、近づく必要がある場合は十分に注意すること等、地道な取り組みを続けていけば、当然クマ生息地の住民の不安を解消することは重要でありますが、私はクマを殺さずとも共存していくことはできると考えます。

 

そこで、誘因物、それは放置果樹であったり廃棄農作物であったり、生ごみなどがありますが、こういったものを除去、農耕地等への電気柵等の設置と管理、クマの集落周辺への侵入や一時的な定着を防止するための耕作放棄地等の整備や藪の苅りはらい等によって、出没を確認しない段階で罠を必要以上に仕掛け、捕獲されたクマを放獣せずに害獣駆除するといった方法によることなく、適正なクマの保護・管理ができると考えますが、当局の誤所見をお伺いいたします。

 

【答弁:ツキノワグマの保護管理について】

田中基康 環境部長

本県では森林動物研究センターの知見に基づき、生息数推定の精度を向上させながら、個体数管理、生息地管理、被害管理を総合的に推進するワイルドライフマネジメントを行っております。

 

近年ツキノワグマの推定生息数が狩猟解禁基準の800頭を超えたため、平成28年度から1か月の制限付きで狩猟解禁しております。

また自然増加数を上限に、集落やその周辺地域に出没する個体に限定して必要な有害捕獲を従来から行っておりますが、これに加えまして、シカ罠等に誤って入り込む、これは当然放獣するわけですけれども、個体までを含めた捕獲総数は3年連続で100頭を超えております。これは過去にはございませんでした。

 

人身被害が発生する中で、残念ながら危険度がより身近になっている有害罠の設置など確実な対策が必要な状況にあると考えておりますので、どうぞご理解を賜わりたいと思います。

もとより、先ほどより答弁にありましたように中長期的な生息地管理として広葉樹の植栽を行っております。

何より、集落にクマを誘引しないよう被害管理として放置果樹、生ごみなどの誘因物の除去を進めておりますけれども、啓発呼びかけにとどまらないよう、本年度からは民間専門家(株式会社野生動物保護管理事務所や 元兵庫県森林動物研究センター研究員坂田宏志氏が設立した株式会社野生鳥獣対策連携センターなどを想定)による集落ごとのきめ細やかな実地指導も展開してまいります。

GPS行動追跡等も進めて引き続き進めてまいります。

今後とも市町はもとより近隣府県とも十分に連携しながら人身被害の防止を最優先にしつつ、クマと共生できる科学的・計画的な保護管理を着実に進めてまいりますのでどうぞよろしくお願い致します。

 

熊森から

和田副会長の質問、完璧です。ありがとうございました。

 

2018年を例にとると、兵庫県では、県内推定生息数918頭のツキノワグマに対して、まだクマが出てきていない春の時点で、609頭のクマ捕殺許可書が県から発行され、シカ・イノシシ捕獲檻のうちの2311基にクマ札が付けられてクマ捕獲共有罠とされ、春から10月末まで、集落200メートルゾーン内に罠を常設。入ったクマは狩猟と合わせて137頭までという上限数があるものの、全頭殺処分。

兵庫県がこのようなクマ捕殺体制をこっそり敷いていたことが、昨年の熊森の調査で発覚しました。

 

その結果、人里に出て行きたかったわけではない多くのクマが、誘引物の匂いに誘引されて罠に向かったのです。

2019.7.23現在までの、兵庫県庁資料より

 

地元で聞くと、このようなクマの捕殺方法は、平成29年(2017年)の7月から始まり、平成30年(2018年)と今年の2019年は、春から開始されたとのこと。

 

上記グラフから、大量の常設クマ捕獲罠によって、集落200メートルゾーンになど出ていく気がなかったクマを、山から呼び出して罠にかけ、殺処分していることがはっきりとわかります。

初めに殺したいありきであり、これはもはや有害捕獲ではなく、完全に、クマの個体数調整捕殺なのです。クマの個体数調整はしませんと協議会で宣言された兵庫県の言葉が嘘になっています。

 

熊森は26年間兵庫県の奥地を見て参りましたが、熊森がささやかながらも奥山に餌場を復元してきたことと比べて、兵庫県のクマの餌場復元事業は掛け声ばかりで復元実態はゼロだと思います。それどころか、奥山観光地化や奥山道路建設、シカの食害など、クマの生息環境は劣化の一途です。生きるために、過疎化した集落周辺に移動したクマたちを、人は責められないと思います。

 

奥山をクマたちが棲めないようにしたあげく、人間の所に出て行かないように踏ん張っているクマまで誘引剤で里に誘引して、有害駆除名目で個体数調整捕殺をする。もう、人間をやめたくなります。人間の残酷さや嘘に、クマたちは泣いていることでしょう。

 

なぜか、新聞社は、兵庫県の実態を県民に全く伝えようとしません。

 

地元の皆さんの何人が一体、兵庫県のしていることを知っているのでしょうか。

地元の皆さんの何人が一体、兵庫県のクマ捕殺法を支持しているのでしょうか。

 

くまもりは、集落周辺でクマの被害や人身事故が起きたら、山中にいるクマを集落周辺に呼び出した兵庫県が責任を取るべきだと思います。みなさんはどう思われますか。

 

みなさんの住んでおられる都府県でのツキノワグマ捕殺体制は、どうなっているでしょうか。みなさんも調べてみてください。

 

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