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熊森山形県支部長が県の救護所で保護中の衰弱子グマを見舞う

以下、山形新聞1月20日より
衰弱していたところを保護された子グマ=米沢市
衰弱していたところを保護された子グマ=米沢市(写真:山形新聞)

 

(記事要旨)

1月19日午前7時ごろ、住民の80代男性が、米沢市の住宅が点在している地域の住宅の軒下で、衰弱して横たわっていた体長約50センチで1歳未満の子グマを発見。近くに親がいないか捜したが見つからず、地元猟友会が袋に入れて捕獲し、保護しました。

 

子グマはやせていましたが、保護後はリンゴを食べるなど安定した状態。親が駆除されたか、親とはぐれたかのどちらかとみられます。山形県にはこのような弱ったクマを春まで保護して、山に戻したり動物園などに送ったりする救護所があります。

 

(熊森本部注:全国にこのような救護所が必要です。衰弱した野生動物を保護することは、今やアメリカでも当たり前の行為になってきています。しかし、日本では、クマは人を襲う狂暴動物という間違った情報がマスコミによって国中に広まってしまっている上、行政が、クマに害獣というレッテルを張ったため、子グマであっても撃ち殺されることが一般的になっています。無知は、本当に罪深いです。)

 

救護所の方によると、親子のクマは早い段階で冬眠するため、「今回の子グマの出没と暖冬の関連性は低い」そうです。一方で「暖冬と雪不足の影響で、例年は冬眠している若いクマが現在も動いているようだ」と話されています。

 

 

熊森山形県八木文明支部長から

 

例年なら長井市は1メートルの積雪があるのだが、今年は積雪ゼロの異変。

このためか、1月になってもクマの目撃が相次いでいます。

 

1月23日に救護所を訪れ、子グマに会って、目に優しさがある救護所の方ともいろいろ話し込んできました。

 

救護所の方によると、これまでもクマを保護して、時期を見ては山に放獣してきたそうです。野生のクマが人になつくことはまずない。これまで山に放獣したクマで里に居ついてしまったクマはいないということでした。

 

この子グマは、まだものをかみ砕く力が弱く、熊森本部から送られてきたドングリは、まだ食べられないようでした。今は、牛乳をぺちゃぺちゃなめたり、牛乳に浸したパンや、規格外のリンゴのスライスを下の歯ですくうようにして食べていました。この辺りは規格外のリンゴがたくさん入手できる上、県や市からの助成もあるので、エサには困らないとのことです。

 

救護所の方のお話で一番印象に残っているのは、以前と比べて、森や里山の様子が激変しているという話です。以前は、かなり山奥に入らなければクマを見ることができなかったが、最近は人里でも当たり前に見られるようになった。原因は重機を山奥に運び込んで、チップにするために広大な森林を伐採しており、野生動物たちの生息地がますます狭められていることと、中山間地の過疎化など。山間の休耕田に飼料用のデントコーン畑が作られたりしているが、これもクマを里へ引き寄せている原因と言われていました。

 

人間の活動の変化が動物たちの行動に変化をもたらしているかもしれないのに、私たちは相変わらず、「出てきたら捕殺する」という、モグラたたきのような対応を続けています。

 

目先の被害対策ももちろん重要ですが、遠回りのようであっても時間をかけて、共生のための環境づくりを進めてゆかなければならないと思いました。この子グマが、いつかまた元気に山に戻される日が来ることを願います。(完)


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