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林野庁「森林・林業白書」の目標とする森林の状態を見て絶望です 熊森の見解を知りたいです

(以下、会員からの手紙)林野庁の「森林・林業白書」を読んでみました。「森林・林業基本計画」における森林の有する多面的機能の発揮に関する目標を見て、国が今後、天然林をますます減らそうとしていることを知り、絶望的になりました。これでは日本の野生動物たちは生き残れません。熊森の見解を教えてください。

以下の表は、令和元年林野庁「「森林・林業白書」から

 

<林野庁の回答>

 

奥山原生林に手を入れることは今後もうありません。今残されている奥山天然林は、今後も手つかずで保全します。

 

天然生林というのは、原生林だけではなく、放置された里山や竹林も含まれます。要するに人の手が入っていないということです。

 

この表が示しているのは、放置されて密生している里山を、昔のような野生動物との緩衝帯になるように間伐したり、広がり過ぎた竹林を伐採するなどして、里山整備を行っていきますという意味です。その結果、すっきりした広葉樹林が誕生します。人の手が入って様々な年代の木が育っていれば、全て育成複層林です。

複層林というと、一般的には、林業用に年代の違うスギやヒノキを植林した人工林のことと思われますが、このような広葉樹だけの里山の育成複層林もあるわけです。

この計画で今後、我が国の広葉樹林面積が今より減ることはありません。

荒れた里山に人の手が入るんだな、育成単層林(スギやヒノキだけの一斉植林)がどんと減って、年代が違うスギ・ヒノキの複層林や針広混交林、または広葉樹の複層林を増やそうとしているのだなと読み取ってください。

 

熊森から

熊森もかつて、この資料を見たとき、ぎょっとして林野庁に説明を求めました。

お役所言葉は、一般国民には本当にわかりづらいです。「森林・林業白書」の中に、将来の森林想像図が出てきますが、その絵は林業が前面に出ており、将来もスギやヒノキの人工林でいっぱいです。

熊森としては、説明と絵が一致していないとして、林野庁に改善を求めているところです。

 

熊本県在住の平野虎丸氏(熊森顧問82歳)もずっと指摘してこられたように、森林保全と林業は全く別物なのです。戦後、林野庁が林業に乗り出したことで、森林保全作業と林業整備作業をごちゃまぜにしてしまった。これが、わかりにくさの原因です。森林整備と言いながら、実際に林野庁がやっているのは林業整備であることがほとんどです。きちんと分離して書くべきです。

ちなみに、平野氏は、林野庁は一刻も早く林業から撤退すべきであり、日本の森や野生動物を守るためには、他の省庁のように行政機能一本に戻るべきであると主張されています。

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