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クマとの共存をめざすりんご園を応援ください! 

コロナ禍で来園者が激減しています

  ~兵庫県宍粟市波賀町 原観光りんご園~

 

りんご園を背に並ぶ幸福さん(右から3人目)と室谷会長(4人目)ら熊森本部スタッフ

6月29日、熊森とともに動物の棲める広葉樹林復元を続けてきた兵庫県宍粟市波賀町原の集落のみなさんが運営されている「原観光りんご園」を、室谷悠子会長をはじめ熊森本部スタッフ4人が訪ねました。

原観光りんご園は宿泊できるコテージを備え、近くには日本の滝百選の一つの原不動滝や人気温泉施設「楓香荘」(ふうかそう)もあり、夏や秋のシーズンには多くの家族連れやレジャー客でにぎわってきました。

ところが、楓香荘は新型コロナウイルス緊急事態宣言が出て以降、運営する市が「廃止」の方針を公表し、施設は閉鎖されたままです。

りんご園と、コテージ・みちの丘、キャンプ場を運営する原不動滝観光組合によると、ゴールデンウイークの予約は満杯だったのに、新型コロナウィルスの感染拡大で宿泊はすべてキャンセル。今も客足は遠のいたままで、たいへん深刻な影響を受けています。

「地域で仕事をつくるために、集落みんなで頑張ってりんご園を運営してきた。新型コロナの影響で、ウチが連鎖倒産するわけにはいかない」

幸福さんの訴えは切実です。

「コロナには負けない」。室谷会長(左)にしっかりとした口調で話す幸福さん

りんご園は1981年開業。兵庫県宍粟市波賀町はスギ・ヒノキの人工林率が8割を超える人工林地帯です。りんご園の周辺もかつて人工林が占めていましたが、奥山の実りゼロの異常年となった2004年、秋に山から毎晩ツキノワグマが何頭も出没。園内に残されたリンゴの実をほぼすべて食べられてしまい、その年、りんご園は閉園に追い込まれました。

当時、りんご園の専務理事だった幸福さんは「その時、最初はクマを殺してやろうと怒りました。でも、よくよく考えてみるとクマたちのエサになる実のなる木を切って山にスギばかり植えたのはわたしたちで、クマこそ被害者です。殺すのではなく、共存しよう」と宣言。

原集落のみなさんは、毎年1ヘクタールずつスギの人工林を除去して広葉樹を中心にした自然林に戻す取り組みをスタート。集落の周りの人工林を次々と伐って、広葉樹を植えてきました。熊森も実のなる木を植えようと幸福さんのお手伝いを続け、15年にわたって植樹会などを何度も開いてきました。

今、りんご園の周囲には広葉樹が順調に育ち、森が再生している様子を見ることができます。鳥たちのさえずりが常にこだまして谷間を心地よいそよ風が吹いています。

 

広葉樹植樹地を指さす幸福さん(中央)

この日、幸福さんと一緒に、原りんご園の周りの植樹地をめぐりました。幸福さんはほほえみを浮かべながら「(木々の)保育は順調です」と森林への愛情を込めながら説明してくれました。幸福さんたちと熊森が進めてきた広葉樹林化の成果ははっきりと現れてきています。熊森とともに育ててくださった森は今、大きく育ちつつあるのです。

2011年の植樹地、苗木や自然に再生した樹木が育ち多様な自然が戻りつつある

クマとの共存、生物多様性豊かな森再生のために、集落をあげて森づくりをしてきた地域は、全国でもここ、原集落だけではないかと思います。放置人工林を豊かな森へ戻していくための、先進的なモデルがここにあります。過疎と高齢化のなかで、奮闘する原地区のみなさんを自然保護団体として、心から応援したいです。

りんご園には森の雰囲気を満喫しながら家族でも宿泊できるコテージも計8棟あり、5〜6人用7棟(各棟1泊1万7000円)と12人用1棟(1泊2万5000円)です。

森の雰囲気を満喫できるコテージ

7月中旬から8月上旬にはブルーベリーの収穫(入園料500円)も楽しめるようになり、8月下旬から11月中旬にはりんご狩り(入園料600円)も本格期に入ります。

ぜひ、たくさんの方に、原観光りんご園を訪れていただきたいです。訪れた際には、「熊森のブログを見ました」とお伝えください。

 

問い合わせは原不動滝観光組合へどうぞ。

(兵庫県宍粟市波賀町原560の1)

https://www.hara-apple-garden.org/

電話0790・75・3600

 

動物の棲める森づくりの現場を見学したいという方は、調整をしてみますので、事前に日本熊森協会までご相談ください(日本熊森協会 0798・22・4190)

 

 

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