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山から出て来るクマの緊急避難対策 どんぐりを運ぶと、クマが山の中にとどまります その2 

去年に引き続き、今年もまた日本は、5000頭以上のツキノワグマを大量殺処分しました。熊森は、兵庫県本部から上京して環境省を訪れ、殺さない対応策をとるよう都道府県を指導してほしいと頼みに行ったのですが、クマ対応はもう都道府県におろしてあるとして、全く取り合ってもらえませんでした。

 

これまでも環境省鳥獣保護管理室のクマ担当者たちに、かつてクマが生息してきた山がどうなっているのか、一度でいいから案内させてほしいとお願いしてきましたが、現地を見に行くのは自分たちの仕事ではないとして、応じていただけていません。現場を見ないと、山で何が起きているのか、絶対にわからないと思うのですが。

 

クマの殺処分を伝える今年のテレビニュースは、「これで安心ですね」という言葉で終わります。

 

こうして多くの国民が、子供たちに至るまで、これで安心なんだとクマ殺処分を肯定的にとらえるようになっていきます。

 

なぜ、次々とクマが山から出て来るようになったんだろうか、なぜ、市街地にまで出て来るようになったんだろうかと、以前の私たちのように疑問に思って調べてみる人はいないんでしょうか。

 

2020年は、私たち日本人がツキノワグマ絶滅の引き金を引いた年として、この国の歴史に残る年になることでしょう。

 

市街地にまで出て来たクマ(石川テレビより)

 

 

 

以下は、支部からの報告です。

 

今年も、山の実りが大凶作でした。

クマが連日山から出てくるようになり、人身事故が多発しました。

クマは見つかり次第、県の方針で殺されていきました。

人身事故が起きないように、また、クマが山から出てきて殺されないように、私たちは、山にドングリを運びました。

山に重いドングリをトンレベルで運び上げるのは過酷な重労働で、女性陣の中には腰を痛める人も出ました。

しかし、ドングリを一生懸命集めて送料まで負担して送ってくださった人たちのことも思い、支部員一同、確実にクマに届けるという使命感に燃えて、猟期が始まる11月15日まで続行しました。

ドングリを集めて送ってくださったみなさん、本当にありがとうございました。

 

実際のドングリ運びについて書きます。

まず、クマの目撃情報や現地の地理情報などを多く集め、分析して、クマが間違いなくいるあたりの山を慎重に探し出します。

ドングリを運ぶ山は、人間によって完全に自然生態系が破壊された人工林内か、すでに人間によって自然生態系の撹乱が終わった二次林です。自然生態系が残された原生林に運ぶことは絶対にしませんので、ご安心ください。

 

 

山に入ると案の定、クマの糞でいっぱいでした。

どれも、ギンナンを食べた糞ばかりでした。

口の中がかぶれないのだろうか。

肝心のおいしい種の中は、全く消化されていないが、少しでも養分は吸収できたのだろうか。

本部が以前、山の実りなしという大凶作年、兵庫県でもギンナンの糞がいっぱい見られたといっていたので、この糞も、空腹で苦し紛れに食べたのだろうか。

 

ギンナンの黄色い糞

 

 

人間の与えたドングリなんて、人間のにおいがついているから、絶対にクマは食べないと、実験もせずに言う方がおられますが、きれいに食べて殻だけになっていきます。

ドングリを運び続けているうち、あたり一面にあったクマのギンナン糞がドングリの糞に次々と置き換わっていくようになりました。

 

ドングリを食べたクマの糞

 

本部によると、飼育中の元野生グマ10歳オスは、秋の食い込み期になると、一日中ドングリを食べ続ける王になり、大きな塊の糞を一日約10個するそうです。

 

何カ所かに自動撮影カメラをかけて、チェックしてみました。映っていたクマたちに、次々と名前を付けていきました。

焼け石に水かもしれませんが、この近辺ではクマが山から出て来なくなりました。こうして、捕殺されるクマも、人身事故も、減らすことができました。

 

 

元版は動画です。(ドングリを食べに来たクマ)

みんなとても素直な顔をしています。

 

 

熊森本部から

 

どんぐり運びは餌付けだからやめろという人がいます。

餌付けって何だろう?

辞書で調べてみました。

餌付け=野生動物をならして、人の与えるえさを食べるようにすること。

 

熊森が大々的にどんぐり運びをしたのは、山の実り全てゼロというありえない異変が起き、冬ごもり前の食い込み用木の実を求めて山から出て来たクマたちに前代未聞の大量殺処分がなされた2004年です。

ところが、次の年は、なぜか山の実りは大豊作でした。

すると、クマは一斉に山から出てこなくなり、目撃数も激減しました。

熊森のどんぐり運びが、餌付けになどならないことが確認されました。

第一、クマにドングリを与えて、クマがドングリを食べるようになることに、問題があるとは思えません。

 

大量捕殺年にドングリを運ぶ一方で、熊森は本来の仕事であるクマ止め林づくりや奥山広葉樹林化に励んでいます。

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