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8月7日 「長野の森を視る会」その①

今年5月に予定されていた本部・支部共催の「長野の森を視る会」が、コロナで延期になったままでした。応募してくださった長野県会員のみなさんも残念だったと思いますが、私たち本部スタッフも残念でした。

 

と言いますのは、熊森本部は設立25年間の間に全国各地の森を研究者らと調査してきましたが、まだ長野の森だけが未調査で残っており、本部にデータがありません。

 

主原憲司先生がお元気なうちに、長野の森に通い続けられてきた先生に長野の森を案内しておいていただきたいということになって、東京オリンピック開催でコロナ第5波が拡大しつつある時ではありましたが、とりあえず内輪だけでもと「長野の森を視る会」を実施しました。

 

地元に迷惑をかけてはいけないので、本部スタッフは全員、PCR検査で陰性を確認しての出発です。

 

今回調査する森は、八が岳連峰です。

 

長野県は、3000m級の山々を連ねる飛騨山脈(北アルプス)、木曽山脈(中央アルプス)、赤石山脈(南アルプス)に囲まれた内陸県です。海から離れており雨が少ない、県土の標高が高いため夏でも涼しいなど、避暑地や別荘地に最適です。

 

私たちが長野の森に期待したことの一つは、標高の高さ故、急激な地球温暖化の影響をまだ受けていない森が残されているという点です。

 

長野県のツキノワグマ推定生息数は400頭〜1万5440頭、中央値3940頭とされ(幅が大きすぎますが、それだけクマは何頭いるかさっぱりわからない動物なのです)、日本で最もクマが多い県です。クマをシンボルに活動している熊森にとっては胸おどる県です。

 

【1日目 8月7日(土)】

長野県茅野市の標高1400mの場所にある、白樺湖のほとりのホテルに全員宿泊。

白樺湖は、蓼科山,霧 ケ峯,八 ケ岳 な どに囲 まれた中信高原国定公園の中心に位置し、昭和22年に造られた人造湖であることが、ホテル内の展示でわかりました。そんな昔から、人間はもうこんな奥地でも自然改変をやっていたのかとびっくりです。

北佐久郡立科町 と茅野市 の境界の低 湿地 「池の平」を流れ る水温の低い音無川の源流渓谷に堰堤 を築いて水をためて温め、農業用温水溜池 とした のだそうです。そんなかつての高原の戦後の一開拓村が、今や一大観光地に様変わりしていました。

 

ホテルの前は、オオヤマザクラ、コナラやミズナラなどの落葉広葉樹林帯です。オオヤマザクラはちょうど今、クマたちにとって食べ頃、黒い実がびっしりついています。豊作です。

豊作のオオヤマザクラ

白樺湖湖畔のミズナラ林

 

ミズナラの実はまだ小さくて、これからです。

ミズナラと言っても、見ただけで葉の大きさが違う物やら木によっていろいろです。

これは種内の多様性であり、環境の変化があっても滅びずに種を残すために種内の多様性は大切です。

 

17時から、主原憲司先生による、座学が始まりました。

 

参加者は、本部4名と長野県中澤支部長ご夫妻ら長野の会員・非会員のみなさんで計12名。自己紹介で、長野の参加者の皆さんは、自然保護にかかわって来られたエキスパートであることがわかりました。

 

様々な蝶がたくさん生息している辰野町の山でメガソーラー計画が持ち上がったため、慌てて建設予定地を「蝶の森」にして整備し、地権者にメガソーラー業者に山を売らないように説得して山を守った人たちも来られていました。

開発を止めるには、すぐに開発計画を察知して、山林売買がなされない前に阻止に動くことが大事だと言われていました。

 

主原先生

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

広い会場で3密を避けてのマスク勉強会

 

主原先生は、「今、日本各地で昆虫が激減し、大量に絶滅していっている。昆虫が減った原因として、昆虫が餌源としている植物が森の中から急速に衰退していっていることがある。原因はすべて急激な地球温暖化で、植物は動物のように短期間には移動できない。積雪の減少もあり、昆虫・植物の生理活動のバランスが大きく崩れてきた。このままでは、クマも人も生き残れなくなる」として、人間活動による急激な地球温暖化が自然界にもたらしている絶望的な影響について話してくださいました。

 

地元長野の参加者からは、長野の昆虫や野生動物、森の現状について専門的な質問が相次ぎ、主原先生も参加者の知見の高さに感激されながら、一生懸命答えられていました。

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