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ノルウェー大使館で対談を行いました       ~雄大な自然を誇る環境先進国ノルウェー~

氷河によって作りだされた雄大な景観が美しいフィヨルドの国、ノルウェー。

オーロラや夏の白夜など、高緯度に位置することで紡ぎだされるダイナミックな自然とそこに溶け込む人々の暮らしが魅力的な国です。

また、国を挙げて環境・気候変動対策にも力強く取り組んでおり、首都オスロが2019年の「欧州・緑の首都(European Green Capital Award)」に選定されるなど、国民に「自然と生物多様性」が根付いている国でもあります。

 

今回、地球規模で悪化している森林劣化の問題と日本の野生のクマが直面している問題に関して会談させていただきたいと大使館に連絡したところ、「是非おいでください」とすぐに返信をくださいました。

デンマーク大使館に続いて、ノルウェー大使館に訪問、公使参事官(Minister Counsellor)のリーネ・アウネ氏(Ms. Line AUNE)、広報担当官(Information Officer)の土山亮子氏と貴重な意見交換をさせていただきました。

(左から)リーネ・アウネ氏、土山亮子氏、伊藤純子会員、室谷悠子会長

 

対談そして意見交換

会談では、現在の日本は、拡大造林政策によって全森林の半分近くが実をつけない人工林に変わった上、さまざまな開発により、生息域を奪われたクマたちが人里に降りて来ざるを得ない状況になってしまったこと、それにもかかわらず山の中にまで罠にかけ、かかったクマを子グマにいたるまで殺処分している現状を伝えました。

このような状況が続くと、近い将来、クマが絶滅に至る地域が次々出る可能性があるということをデータに基づくグラフや実際の奥山の森林の状況を撮影した写真を示しながら、室谷会長が説明しました。

さらに近年のミズナラ・コナラの木が枯れるナラ枯れ現象の問題についても話しました。リーネ・アウネ公使参事官は、大変興味を持って私たちの目をしっかり見ながら熱心に話を聞いてくださいました。

その後、アウネ氏は、ノルウェーの森林管理に関してはEUのフレームワークに沿って行なっているが、森林の劣化問題は常に注視していかなくてはいけない問題であること、またナラ枯れについては初めて聞いたので、本国の状況を確認したいと話されました。

今後、ノルウェー大使館から本国の環境問題に関わる団体と日本熊森協会が連携を取れるよう働きかけてくださることになりました。

日本ではまだまだ野生動物の危機や森林の危機が浸透していません。どのようにすればいいかと質問すると、生物多様性や森の保全は大変重要な課題であり、その重要性の観点からアピールしてはどうかとアドバイスくださいました。

最後に、ノルウェーを訪れたことがある熊森会員に「オスロからフィヨルドに向かう車窓からノルウェーの豊かな森を見ていただけましたか?」と質問されました。その温かい笑顔に自国の自然や森への深い愛情と誇りを感じました。

別れ際、大使館の外まで見送ってくださったアウネ氏と土山氏に「在任中に日本の水源の森をぜひ見てください。ご案内します」と伝えると「ぜひ!」とおっしゃってくださり、再会を約束して大使館を後にしました。

ノルウェー大使館Twitterでもご紹介くださいました

 

世界初森林皆伐禁止令の国ノルウェーより学ぶこと

ノルウェーは岩山(フィヨルド)が多いため、森林率自体は33%と高くはありませんが、森林保全への国民の関心が高く、2016年、生態系保護をめざして、国内の全森林の皆伐を禁止するという世界初の決定を下しました。

それと同時に、熱帯雨林地域での違法な森林伐採とそれにより生産された商品(木材だけでなくパーム油、大豆、牛肉など)を調達しないことも約束しました。

さらに世界の森林保護のプロジェクトに資金提供し、森づくりに関わる人の人権擁護にも乗り出すことを発表しました。

 

会談を終えて

このように自然保護への関心が高いノルウェー大使館での面談も大変意義深いものとなりました。貴重な機会をいただき心から感謝しております。デンマーク大使館に続いてノルウェー大使館にも温かく迎えていただいたことで、地球環境問題は各国が協力し合うことで解決への道が開けるのではないかと希望を抱くことができました。

次世代へ向け、汚染されていない自然を残すため我々がするべきことは、環境への配慮です。それにもかかわらず、今、日本中の山間部で、メガソーラーを建設するために森を数十ヘクタール、ときに百数十ヘクタールも切り開く工事、つまり森林の「大規模皆伐」が頻発しています。

さらには、バイオマス発電の燃料調達や、風力発電の巨大風車建設のために森の木を伐る例も増えています。森林減少を大問題だととらえ皆伐を禁止し、世界の森林伐採についても力強く取り組むノルウェーの政策と比べると、日本人の危機感のなさに愕然とします。

我が国でも、野生動物の危機や森林破壊の問題に、早急に取り組まなければなりません。もっと多くの国民が関心を持ってくれるように、森林破壊や劣化の流れを食い止められるように、思いを新たにさらに取り組んでいきます。

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