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神奈川県で弁当型くくり罠に錯誤捕獲された絶滅危惧種が殺処分される 鳥獣保護管理法違反

新聞報道によると、5月6日(土曜日)午後5時頃、相模原市緑区名倉の集落近くの畑に設置されたシカ・イノシシ捕獲用の弁当箱型くくり罠に体長91センチ体重16キロの子熊があやまってかかっており、放獣できる場所を確保することができなかったという理由で、行政により翌朝殺処分されました。当然ながら、錯誤捕獲は放獣すべきで、鳥獣保護管理法でも放獣することととなっていますから、相模原市と神奈川県は法違反を犯したことになります。

 

四つ足動物がくくり罠にかかると、尋常ではない強力バネによってワイヤーが足を締め上げ続けるため、足が切れてしまいます。長野県では、3回くくり罠に掛って足が1本になってしまったカモシカも発見されたとのことです。あまりにも残虐な罠であるため、熊森はトラばさみ同様にくくり罠を使用禁止にするよう、環境省に強く訴え続けてきました。

 

結果、当時の環境省は、くくり罠を現時点では使用禁止にできない代わりに、せめて成獣グマが錯誤捕獲されないように、とりあえず12cm規制をかけることにしたと発表されました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ところが、すぐに、長野県を筆頭に規制緩和が進み、現在では多くの地方自治体で、短径さえ12cmであればよいという弁当箱型くくり罠が一般的になっています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

弁当箱型くくり罠

 

くくり罠問題については、何度も何度も熊森が規制を訴え続けているだけではなく、大日本猟友会もクマなどのあまりの錯誤捕獲の多さに悲鳴を上げ、真円12cm規制をかけるべきだと主張していますが、未だに環境省は規制をかけられていません。

 

神奈川県のツキノワグマは、富士・丹沢地域個体群に属しており、丹沢地域個体群の推定生息数は残り僅か35頭ぐらいとされ、絶滅危惧種となっています。(近年の神奈川県によるツキノワグマの生息数調査なし。行政担当者によるとほぼ横ばいではないかとのことです)

 

神奈川県のツキノワグマは、昨年度4頭殺処分、3頭放獣。そして、今年は今回の相模原の1頭殺処分です。

 

行政担当者によると、今回、通報を受けて現地に行くと、足首がすっぽり罠にかかってしまったクマがいたそうです。

(きっと、べそをかいていたことでしょう)

翌朝、クマの放獣業者を連れて再び現地に行くと、クマはまだ生きていたそうです。

住民が反対するので放獣場所がなく、麻酔をかけてから薬殺したそうです。

 

畑にも誘引物はなく、このクマはたまたまここを通りかかって、くくり罠に掛ってしまったのだろうということでした。

クマの通り道ならば、また、くくり罠に錯誤捕獲されるクマが出る恐れがあります。12cm真円規制をかけるとか、この辺りでくくり罠をかけるのを禁止するとか、相模原市には何らかの対策を講じていただくようお願いしました。

また、放獣場所についても、ふだんから何か所か確保しておくべきで、林野庁と協議の上、国有林に放すこともできるようにしておいていただきたいです。

 

行政担当者の皆さんには、神奈川県のツキノワグマを絶滅させないぞとの使命感を持って、緊張して事に当たっていただくようお願いしました。

新たに無害のクマを殺処分することがないよう改善策を要望しておきましたので、しばらくしたらどのような改善策が取られたか、また電話してみようと思います。

 

シカ・イノシシ捕殺用のくくり罠には、クマ以外にもキツネやタヌキなどいろいろな動物たちが錯誤捕獲されます。神奈川県では、上から網をかけて動けないようにしてから、罠を外して逃がしてやっているとのことでした。錯誤捕獲はクマ以外はふつう放置と聞いていたので、これには少しホッとしました。

 

環境省鳥獣保護管理室に電話して、今回の相模原市の錯誤捕獲グマ殺処分問題に対する見解を聞いたところ、「そのようなことがあったのを知らない。都道府県がその都度報告する仕組みはありません」とのことでした。

ああ、環境省よ、法違反がないように、絶えず目を光らせ、その都度、都道府県をご指導願います。

 

他生物に共感し、彼らの生命を尊厳できない文明は、自然を守れません。(完)

 

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