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昨年度50頭のクマが捕殺された鳥取県八頭町の山を、熊森が調査

昨年、鳥取県で捕殺されたクマは71頭で、そのうちの50頭が柿の果樹園が多くある八頭町内での有害捕殺でした。

地元八頭町の方にたずねると、昨年秋はあっちでもこっちでも山からクマが出て来て、とにかく異常事態だったということです。

7月7日、熊森本部と鳥取県支部計6名は、八頭町の奥山調査に入りました。

主に調査した場所は、標高400mの山の稜線上です。

一番近い集落からは2.3kmほど離れており、まさにクマたちの生息地です。

 

現地の下層植生の豊かさに、熊森本部は驚きました。

隣接県なのに、この違いはどこからくるのでしょうか!

 

鳥取県八頭町

鳥取県八頭町の山、標高400m、2017年7月撮影

 

兵庫県宍粟市

兵庫県宍粟市の山 標高940m、2017年7月撮影

 

八頭町のクマ生息地

背丈を超える林床のササをかき分け、コナラの幹にクマの爪痕を探す鳥取県支部員。(2017年7月、八頭町)

 

森の中は人の背丈以上のササで覆われ、動物の痕跡を探すことも難しい状況でした。

ここでは自動撮影カメラをかけても、クマは撮影されにくいのではないでしょうか。

ササ藪の中にトンネル状の野生動物たちの獣道がいくつか形成されていました。

林道沿いには、種子をたくさん含んだ糞が落ちていました。

種子がたくさん入った糞。

 

山の実り凶作年でない限り、八頭町の山はクマ50頭を養う力があるということでしょうか。

しかし、山や自然に詳しい鳥取県会員は、この山には下層植生があっても、クマの秋の食料源であるドングリ類の木が少なすぎる。また、山の中腹まで、カキの果樹園が入り込んでいるため、クマが、凶作年の秋、簡単に人里へ降りて来てしまうと危惧されていました。昨年、捕殺された50頭のクマのなかには、荒廃した兵庫の山からやってきたクマがかなり含まれていたのではないかという見方をされていました。鳥取県庁に八頭町で捕殺されたクマのマイクロチップを分析されたかたずねてみようと思います。

 

八頭町の人工林率は51%でこのような山奥にも、スギやヒノキの人工林が広大に広がっている場所がありました。ここは以前、コナラやシバクリなどの実のなる樹が多くあった場所だそうです。また、10年くらい前からナラ枯れが発生し、標高400m以下では、ナラ類がかなり枯れてしまっていました。

 

兵庫県と比べると、一見うらやましいような鳥取県のクマ生息地の山ですが、昔と比べるとかなり劣化してしまっていることがわかりました。

 

この地域で、山の実りの凶作年がまた巡ってきても、クマの大量補殺が起きないようにするには、私たちが今、何をなすべきか、もう少し調査を続けて、本部と鳥取県支部で協議し、実行に移していきたいと思います。

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