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吉川貴盛農相、今国会に「国有林野管理経営法改正法案」提出予定

以下は、橋本淳司顧問の「水」ニュース・レポートからです。

 

 新たな森林管理システムが動き出します。

 

第1弾は民有林に関するもの。

 

昨年、民有林(私有林+公有林)に対して「森林経営管理法」という法律が成立し、今年4月から施行されます。

 その理念は、所有権と管理権を分離することで、森林整備を進めやすくしようというもの。

 

確かに放置された林地の整備には有効に思えるますが、自治体が、森林を所有する住民の経営状況をチェックし、「きちんと管理する意思がない」と見なされたら、企業に委託して森林を伐採できるのです。

 

たとえば、60年の伐期が来たからといっても、「100年の森に育てたい」「天然林に戻したい」と考える所有者はいるでしょう。そのような場合でも、所有者の同意がなくても、伐採したり道を入れたりすることが可能になります。

 

そして、仕事をしても儲からないような林地には、新設される森林環境税が当てられます。私たち1人ひとりから年間1000円程度徴収され、640億円ほどの財源がつかわれます。

 

 

そして第2弾が、国有林のコンセッション(=譲与)

 

吉川貴盛農相は今国会に、「国有林野管理経営法改正法案」を提出する考えを示しました。
<閣議決定予定2月~3月頃、国会審議4月~6月頃>

 国有林を長期・大面積で民間事業体に経営を任せることを狙ったもので、1050年間、数百ヘクタール、年間数千立方メートルの伐採ができる権利を与えます。

 水道のコンセッションと同様、運営権を一定期間、民間企業に売却するというもので、伐採権の分配といえるでしょう。

 

森林のコンセッションのケースは、発展途上国の森林経営ではよく見られます。

 

たとえばフィリピンで国有林の伐採権を企業に与えたところ、大規模なラワン材の切り出しが行われ、国土の森林の大半が失われました。そして運営権の期限が切れたのちに、荒れた森林は国に返されましたが、それは禿山で、国は後始末に悩まされています。

 

水道でも林業でもコンセッションが進みます。

 

その背景には、事業経営が難しくなったときには、民間にまかせればうまくいくという考えがあります。

 

 (しかし、大阪市水道局が2012年度以降に完成した約1100件の民間依頼工事を調査したところ、全体の95%以上で不正が確認されました。 ほぼ全ての業者が不正を認めており、市は、計約400社に対し一斉に3カ月の指名停止処分にすることにしました。多くは地元の中小企業でしたが、大阪市水道局の管理監督能力では不正を止められないということです。今後は、大企業が水道工事を任されていくようになるのでしょうか。)

 

国は木材生産量を増加させたいのですが、担い手が少ない。そこで国有林を大規模に民間に開放して事業意欲をかきたてようと考えました。国有林は私有林よりまとまっており、境界線の測量も終わり、林道なども整備されています。仕事がしやすいのです。

 

これまで原木を輸出してきた国が、自国の産業育成や環境保全のため伐採量を制限し、輸出関税を引き上げたことなどで、日本の原木輸入量の減少が避けられない状況があります。

 

国内では、地域の供給力を超える大規模なバイオマス発電の燃料用材の需要が大幅に増えています。また、大手木材メーカーは、安価な木材の大量供給を国産材に求めるようになっています。

 

いずれにしても行き詰まった経営を、民間の知恵で経営すれば、コスト削減を測れると思っています。でも、民間企業は木材を効率的に切り出し商売にすることはうまくても、長期間を見据えた森林経営のノウハウはもっていないでしょう。

 

水道は失敗したら住民の命に関わるし、森林経営も一度失敗すると回復には数十年~100年以上かかる自然資本です。法改正は、事業の持続性をうたいつつ、それを担保する項目はありません。企業の短期的な利益のみが優先されている気がします。

 

 

熊森から

以下は、田中淳夫氏2019.12.18の ヤフーニュースです。おもしろいです。

水道に漁業に国有林……経営の民間払い下げが広がる裏事情とその危うさ

 

 

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