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1月22日、熊森調査研究部員ら、スキー場で殺処分されたクマの件で、地元県事務所に

昨年大みそかの新聞記事で、お正月間近の12月30日、兵庫県養父市でスキー場にうずくまっていたクマが、銃で殺処分されたことを知りました。また、兵庫県で、無念・・・ 殺される前に情報を得たかった。

 

<新聞記事>

12月30日午後0時5分ごろ、兵庫県養父市別宮のスキー場「ハイパーボウル東鉢」ゲレンデ脇の山斜面にクマがうずくまっているのをスキー客が発見。約3時間後に県の許可を得た地元猟友会員が殺処分した。

養父署によると、当時約200人のスキー客がいたが、滑走禁止にするなどしてけが人はなかった。県但馬県民局によると、体長約1・2メートルの雌。冬眠する冬場になぜ、人の多い場所にいたかは不明という。

- 以上 -

 

熊森本部では、もう二度とこのようなことが起きないように、この事件を徹底的に検証することにしました。

●殺されたクマ・・・体長約1・2メートルの雌。体重、47.8kg。痩せてガリガリというほどではなかったが、冬ごもり前の食い込みは出来ていなかったもよう。遺体は、兵庫県森林動物研究センターに運ばれて解剖され、最後は焼却処分された。

 

●当日現地に駆け付けた人たち・・・県朝来農林事務所1名、県森林動物研究センター1名、市職員1名、警察2名、猟友会3名。14時15分ぐらいに、現地に到着したもよう。

 

なぜこのクマは殺されねばならなかったのか、電話で状況を順次聞き取っていきました。各行政担当者、警察、スキー場の人等々。しかし、納得がいかず、本部3名が、1月22日、現地調査に出向きました。

 

まず、県事務所に到着して、担当者から、クマがいた場所や、その時のようすをききました。

このスキー場は、頂上からゲレンデになっており、何本ものリフトや滑走路が走っています。クマは朝は頂上付近にいたようですが、14時過ぎには、なぜかスキー場中央の人工林の上部のレストランやリフトの昇降口の近くまで移動しており(ゲレンデ航空写真赤丸地点)、通報を得て駆けつけた人達とは30メートルくらいの距離で向き合ったということです。

 

私たちは追い払い・吹き矢・麻酔銃など次々と提案してみましたが、当日の積雪は30センチぐらいで、クマが十分なスピードで走れる状況だったということです。罠にかかっているクマと違って、自由に動けるクマの場合、近くまで行かねば使えない物は、クマが自分に向かってきた場合を考えると危なくて使えないということです。

頂上部にはまだ取り残されたお客たちもいて、追い払った場合、このクマがどこへ逃げていくか予測できず、たとえこのクマが尾根を越えて逃げたとしても、そこもまたゲレンデなので、人身事故の恐れがあり殺処分しかないとの結論に達したそうです。

 

ウーン。説明を聞くと、わたしたちが思っていたよりもはるかに助けにくく、難しい場所にこのクマがいたことが分かってきました。捕獲檻を持ってくることもできない場所です。もうこの日、スキー場を閉鎖して、この山から人間が全部立ち去り、明日、このクマがスキー場から消えていることを期待するしかないと思えてきました。

もし、熊森が、当日ここに駆けつけていたら、スキー場の経営者に掛け合って、1日の猶予が欲しい。明日まで、スキー場を閉鎖してほしい。クマが逃げる時間を作ってやってほしいと頼んだと思います。

 

しかし、そこまでしてなぜスキー場に紛れ込んだクマの命を助けねばならないのかと思う人もいるでしょう。スキー場に紛れ込んだクマの救出の難しさを思い知らされました。

 

県事務所担当官は、忙しい中、時間を取ってくださり、なぜ、殺処分するしかなかったのか、丁寧に状況説明して下さいました。ありがとうございました。

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