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沿線住民たちは皆、リニアに不安 山梨県の地元公聴会 全国メディアは、なぜ報道してやらないのか

今年1月26日、車がなければとても行けない不便な山中の会場で、朝から夕方までかけて、山梨県主催「JR東海によるリニア中央新幹線の環境アセス準備書に対する住民意見を聴く公聴会」が持たれました。

 

前日、甲府市でくまもり講演会を持ったおかげで、このような会に傍聴人として初めて参加する機会を得ることができました。傍聴人は、写真撮影、録画、拍手、声援、野次などが禁止されています。傍聴人たちは、おとなしく規則に従っておられました。

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公述人は高い舞台の上に上がって、マイクを持って話すようになっていました。会場には、すでに公述人が集められており、皆さん緊張した面持ちで静かに座っておられました。人前で話すことに慣れておられない方は、ドキドキだろうと思いやりました。

一方、県庁担当者には緊張感が見られず、形式的にやるだけという感じで、両者の雰囲気が対照的でした。

 

公述人は13人おり、持ち時間は一人あたり15分間でした。公述人が変わるたびに、公述規制事項文書が県庁担当者より読み上げられます。公述人は、同じことを13回聞かされるわけです。しかも、その内容のひどさにはあきれはてました。

 

(県庁担当者が公述者が変わる度に壇上に上がり、マイクで13回読み上げた内容)

公述時間は15分です。

公述時間は、議長の許可を受けてから15分間です。

公述の残り時間は、ベルでお知らせします。

公述終了5分前に1鈴、

公述終了2分前に2鈴、

公述終了時に3鈴、で、お知らせします。

公述時間終了後は、速やかに公述を終了してください。

終了していただけない場合は、中止を命ずることがあります。

 

公述内容については、先に提出された「公述要旨」に沿って行うこととします。

本公聴会は「準備書について環境の保全の見地からの意見」を求めるためのものであり、事業の是非や賛成・反対の意見を述べることはできません。

公述内容が「環境の保全の見地からの意見」、「公述要旨の内容」から逸脱していると判断した場合、発言の中止、もしくは修正を求めます。

公聴会では、公述内容について判断・回答は行いません。

 

 

無表情な県庁担当者が、上の同じ文章を強い声で何度も読み上げるのを聞かされているうち、憤りがこみ上げてきました。これは、公述人への脅しです。圧力です。これでは、公述人が委縮してしまいます。もし自分が公述人で、意見を言う前に、こんなことを念を押して言われたら、こわくなっておどおどしてしまいます。この国は、国民が主人公、主権在民の民主主義国家であるはずなのに、これではまるで、お上の国であり、江戸時代の封建国家です。公述会は、自由な雰囲気の中で行われるべきです。

 

第一、最初に、公述人はこの注意事項を皆で一緒に聞かされたのですから、もうそれで十分です。なぜ、13回もわかりきった同じことを公述人が変わるたびに聞かされなければならないのでしょうか。ここに座っておられる山梨県の皆さんは、なんとおとなしく従順なのだろうかと思いました。これが関西なら、必ず誰かが、「県庁担当者の方、その注意は初めに聞いたので、もうわかっています。いちいち言ってもらわなくても結構です」と、言い返して止めさせてしまうだろうと思いました。

 

午前中、何人かの公述人の公述を聞きましたが、全員がリニアモーターカーの建設に強い不安を持っておられました。賛成・反対を述べることは禁止されていましたが、もし、言っていいと言われたなら、全員が反対と言われたでしょう。

 

関西に住んでいると、山梨地元沿線住民の反対の声など全く報道されないため、大自然破壊以外の何物でもないリニアに、反対の声はないのだと思っていました。皆さん反対だったのか。初めて知って驚きました。

 

緊張しながら不慣れな様子でリニアに対する不安を公述し続けている山梨県の公述人たちの声を聞いているうち、大手メディアは何をしている、なぜ、この人たちの声を全国に報道してやらないのか。憤りと共に、情けなくなっていきました。行政もメディアも、みんな弱いもののために存在しなければならないのに、この国では、強いもののために存在しているということを、改めて思い知らされました。

 

一人目の公述人が、リニア工事によって地下水脈が断ち切られ、イノシシのぬた場がなくなってしまうという心配を話をされたとき、思わず拍手したくなりました。ここにも、人間以外の弱者たちに思いを寄せることを忘れていない人たちがいた。これこそ、本当の日本文化です。

 

< 以下、山梨日日新聞が報道した公聴会の公述人の公述要旨より>

●甲府市67歳・・・JR東海の準備書は、消費電力や磁界などの根拠、基準が大雑把で明確ではない。計算根拠をはっきり示してほしい。残土処理場を確保してから計画を進めるべきだ。

●南アルプス市70歳…高さ20メートルにもなる高架橋は、景観への影響が大きい。町の魅力が著しく損なわれる。

●甲府市58歳・・・騒音や振動、日照など、すべて「基準値内」というが、現在の良好な環境からは悪化する。

●甲斐市66歳・・・南アルプス市の地下水、中央市の地下水を使った農業、富士川町の温泉への影響が心配。

●相模原市27歳・・・地下で火災が発生したら、お年寄りは逃げられない。単体の収入で建設費をペイできないリニア計画に断固反対。

●甲府市72歳・・・リニアは新幹線の3倍の電力を食うという。時代に逆行している。実験で得た磁界、エネルギーなどのデータを公開して欲しい。

●甲斐市68歳・・・壊した自然は戻らない。自然破壊をやめてほしい。

●南アルプス市50歳・・・希少種の猛禽類やホンシュウカヤネズミに与える影響の調査方法、評価が生態に基づいておらず、信ぴょう性に欠ける。

●甲府市61歳・・・フードで覆われ、地域や景観遮断するリニアは欠陥品。計画を中止するか、全線地下にすべき。

●中央市62歳・・・JR東海は、予測地点を増やし、住民の不安に本気で向き合うべきだ。

 

<熊森感想>

沖縄の辺野古と全く同じ構造だと思います。現地の多くの人達はそれぞれ、頼むからアメリカ軍基地、リニアモーターカーを造らないでくれと言っている。地元は自然を残してほしいと願っている。地元の人たちがいやだと言っている工事を、国家権力を使って、無理やり地元の人々をおさえつけて実施するのだろうか。もし、そうなら、日本の自然は守れないし、弱い者いじめ国家以外の何物でもなくなる。

 

ニーメラー牧師(ドイツ 1946年)の言葉

ナチ党が共産主義を攻撃したとき、私は多少不安だったが、共産主義者でなかったから何もしなかった
ついでナチ党は社会主義者を攻撃した。私は前よりも不安だったが、社会主義者ではなかったから何もしなかった
ついで学校が、新聞が、ユダヤ人等々が攻撃された。私はずっと不安だったが、まだ何もしなかった
ナチ党はついに教会を攻撃した。私は牧師だったから行動した―しかし、それは遅すぎた

 

 

辺野古や山梨の自然を守ろうとしている現地の人たちのことをもっと知り、自然保護団体として応援していかなければならないと思いました。午後から建設工事の現場に行ってみました。(つづく)

 

 

 

 

 

 

 

 

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