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大阪豊能誤捕獲クマ③ 同一個体群として生物を見るべきなのに、行政の厚い壁が救命を阻む

6月21日(土)22日(日)、大阪豊能誤捕獲グマのその後が気になるものの、行政が休みに入ったため、連絡がつかなくなりました。これまでも、こういう命に関わる大事な時に限って、よく土日に入ってしまうのです。   6月23日(月)、大阪府庁に問い合わせると、放獣するところもなく、貰ってくれるところも見つからず、このクマはずっとまだ、ドラム缶檻に入れられたままということです。水とハチミツだけはやっており、ドラム缶は屋内に入れてある。クマは生きているということです。いろいろと配慮していただいていることはわかるのですが、立つこともできない狭いドラム缶の中に、4日間も閉じ込めたままでは、動物虐待になります。自分がこのクマだったらと思うと、想像しただけで、耐えられません。とにかく、ハチミツではなく食料を与えてやってほしいとお願いして、この後、くまもりは、このクマの放獣に向けて、精いっぱい動いてみました。大阪や京都のくまもり会員たちも、有力者に頼むなど、陰で動いてくれました。   その結果、見えてきたのが、行政の厚い壁です。クマは絶滅寸前種なのですから、行政としては連携して守らなければならないはずです。しかし、現実問題としては、捕獲された市または町で放獣するという、決して動かせない鉄則が、行政にはあるのだそうです。今回の場合、豊能町で誤捕獲されたので、豊能町内で放獣する以外に放獣の道はないという他行政のみなさんの答えでした。   これまで多くのクマの放獣を手掛けてきた行政のみなさんは、「クマを放獣して問題が起きたことは一度もない。豊能で放獣しても、クマは直ちに兵庫か京都の山に帰る」と言われます。しかし、大阪府や豊能の担当者は、未経験ですから、クマを放したら、その場にとどまるのではないかなどという不安も当然、持ってしまうわけです。くまもりが間に入ることによって、他府県であっても、行政同士、連携し合って助け合って、絶滅危惧種に対応していただけないか、あちこち飛び回ってお願いしてみたのですが、行政の厚い壁は動きません。   本当に悲しくなりました。このクマは、兵庫の山から出て来たにしろ、京都の山から出て来たにしろ、自然界に行政の線引きはなく、<近畿北部地域個体群>に属するクマです。クマは人間によって近々絶滅させられる恐れが大きいため、ワシントン条約でも、保護するために厳しくいろいろなことが規制されています。日本でもこれからは、地域個体群として市町村行政枠を超えて、みんなで対応するように切り替えて行かないと、クマの保全はできないと思います。   こうなったら、大阪豊能誤捕獲グマ問題の解決は、国に乗り出してもらうしかありません。国有林に放獣するなどの、地方行政を超越した手段が必要です。くまもりは、環境省に大阪豊能グマ問題の解決を投げました。

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