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⑭8月25日 くまもりの衝撃:大阪府から、豊能のクマを放獣させてほしいという正式依頼など、1回も受けたことはありませんと、ある近隣府県の行政

大阪府に期限と言われた8月25日が、あっというまにきてしまいました。

 

よくよく考えてみると、豊能のクマを、山に返してやれば、1日で問題は解決です。

 

しかし、終生保護飼育するとなると、まだ4才ですから、土地、獣舎建設と管理、最長30年にわたる餌代、飼育人件費、このクマが人間になつくようになるまでの想像を絶する気力や労力が、くま森の肩にのしかかってきます。犬1頭飼うだけでも大変なことなのに、野生グマを飼うなど、その比ではありません。しかも、大阪府は、支援・協力は一切しないと言っているのです。

 

財政規模が大阪よりもっと小さな和歌山県でも、ツキノワグマ太郎が行き場をなくした時、2頭分の立派な獣舎を県費で建てただけでなく、太郎に関しては、毎月の餌代補助も幾分かはしてくれているのです。(花子も含めた餌代は、2005年から、熊森会員の寄付による太郎と花子のファンクラブが出しています)

 

今回、くま森が大変な苦労をして、その分、豊能のクマが幸せになってくれるならまだしも、野山を駆け巡って大人になった豊能のクマにとっては、一生狭い檻に入れられるのは、生涯、拷問を受け続けるのと同じ苦痛です。

 

太郎や花子の場合は、母熊を殺されていましたから、人間が育てるしか彼らが生き残る道はなかったのですが、この豊能グマは、これまでも野山で生き抜いてきた大人のクマです。山に返してやるのが、クマの為にも人の為にもよいというか、それしか豊能グマ問題の解決法はないのです。

 

くま森は、ある近隣府県の行政に、手をついてでも、土下座してでも、豊能グマを放獣していただけるように頼みに行こうと心を決めました。

 

くま森は、行政担当者をたずねて行って、「どうしてみなさんは今年も多くの誤捕獲グマを100%放獣してくださっているのに、大阪府が1頭だけでいいからと頼んだ豊能グマの放獣を受けてやらないのですか。生態系には、行政の線引きなどないので、関西広域連合の仕事として、クマの捕獲が初めてで不安になっている大阪府を助けるために、このクマをお宅の山に放してやってください」と、お願いしました。その時、耳を疑うようなことを言われたのです。

 

大阪府さんから、豊能のクマを放してやってほしいという正式な放獣依頼など、1回も受けたことがありません。正式な依頼があれば、検討させていただきます。

 

この近隣行政といろいろと話し合っているうち時間が経って、大阪府に電話をするのが夕方になってしまいました。

 

大阪府:約束の8月25日です。熊森は飼えるんですか。飼えないんですか。

 

熊森:ちょっと待って下さい。熊森が飼うか飼わないかという以前に、山に返してやるのが一番いいのですから、大阪府が豊能で絶対に放さないというのなら、近隣府県に放獣してもらえるように、正式に依頼して下さい。今、近隣府県にきているのですが、近隣府県は、正式な放獣依頼など、1回も大阪府から受けていないと言っていますよ。文書でちゃんと正式に申し込んでください。

 

大阪府:もうその話は十分終わっています。それじゃなくて、どこでどうするという具体的なことを出してください。そうでなければ、私の所で考えていた最終のものになります。

 

長時間、正式な放獣依頼を近隣府県に文書で出してほしいと熊森は大阪府にお願いし続けましたが、大阪府は、その話はもう終わっているとして聞き入れませんでした。

 

翌朝、8月26日、熊森は近隣府県担当者に電話をして、「大阪府は正式に依頼しないようだが、自然保護団体として熊森が依頼したい。豊能の誤捕獲グマが囚われの身になって、もう2か月以上も経っており、窮状を見ておれない。何の被害も出していないこのクマを生かすために、何とか近隣府県で放獣してやってほしい。」と、必死で頼みました。

しばらくして、検討した結果、できないという答えをもらいました。やはり、こういう問題は、行政間で頼まないとだめだと思います。→ 熊森が飼うしか助ける道はない。それにしても・・・

 

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