くまもりNews
⑮ これまでの豊能グマ問題の総括 大阪府はどうしてクマ1頭の命も助けられないのか
- 2014-09-08 (月)
- _クマ保全 | くまもりNEWS | 豊能町誤捕獲クマ「とよ」
野生動物たちとの共存本能を失っていない子供たちはもちろん、ほとんどの大阪府民や国民は、豊能の誤捕獲グマをさっさと山に返してやればすむことなのに、行政は何をもたついているのかとイライラしていると思います。行政が大多数の国民の願いと違うことをしているのは問題です。(ただし、豊能町の町民は、山に返さないでほしいと思っている人も少なくないでしょう。)
今回の大阪府行政を見ていて、初めてのクマ捕獲であり、どうしてよいかわからなかっただろうという同情はあるものの、(だから、熊森としてはできる限りの協力をしようと思ったのですが)大変大きな問題を感じました。
<大阪府動物愛護畜産課にくまもりが感じた主な問題点>
1、生命尊厳・動物愛護の欠如
・・・今思うと、地域住民のために放獣しなかったというのは言い逃れで、自身の無知と保身ばかり。本当に地域住民の為を思うなら、今回のことで何回も地域勉強会を持ったはずです。初めから、この誤捕獲グマの命を何としても助けてやろうという気などさらさらなかったように思えます。決定権を持っている人間が、囚われているクマを見に来ないから、その状況がわからず、人間的な判断が下せなくなっています。
2、クマという動物は危険であるという誤解
・・・勉強不足。(わたしたちみんなの問題でもある)
3、クマを放獣するということは人身事故につながるのではないかという誤解
・・・勉強不足(わたしたちみんなの問題でもある)
4、野生で大人になったクマでも普通に飼えると思う誤解
・・・勉強不足。(わたしたちみんなの問題でもある)
5、近隣行政との協力関係を築く力がなかった
・・・今後は、大阪府と近隣行政の双方に、生態系保全のために協力する姿勢が必要。
● 他に気になったのは、行政の秘密性です。
2か月以上も囚われの身となって劣悪な環境に苦しんでいるクマを、大阪府も豊能町も、マスコミに見せないように隠してきました。町民も府民も、一体何が起きてどうなっているのか全くわからないため、野生動物とどう付き合っていくのかという大変重要な問題について、大人も子供も学べる大変いい機会であったにもかかわらず、誰も何も学べませんでした。マスコミ発表は、行政発表のみで、「クマは保護飼育されており、元気です」と出るだけです。元気なわけがないでしょう。
人間なら小さな穴だけの豊能のクマが突っ込まれていたドラム缶檻に入れられたら、精神が持たないでしょう。一番残酷な拷問は、狭い所に突っ込んで出さないことです。もし、自分だったらと、ちょっと想像してみればわかるはずです。熊森が登場して大阪府と闘い、やっとのことで13日目にドラム缶から出してやることができました。熊森という組織がなかったなら、間違いなく死ぬまでドラム缶に入れられていました。他者がいつ死んでもおかしくないようなひどい目に遭って苦しんでいるのにいるのに、元気ですという行政発表を垂れ流すだけのマスコミの軽さを恐ろしく思いました。
今回のクマ問題だけでなく、他の問題でも、国民は、今この社会で何が起きているのかわからなくされているのではないでしょうか。こうなると、弱者がどんどん切り捨てられていく社会になっていきます。児童虐待がうなぎ上りに増えているそうですが、根は全て同じところにあるような気がします。
自分だけの幸せなどこの世にはあり得ないのです。見ない言わない聞かない、このような国民でいると、結局は自分もいつか不幸になります。
<くま森のこれまでの取り組みの反省点>
①命を大切にする社会をめざして、精いっぱい取り組みましたが、今回豊能のクマを山に返してやれませんでした。まだまだ経験不足、力不足を感じました。これからも、誤捕獲グマは山に返すように訴え続けます。一方、劣悪な環境下に置かれているため、このクマの命が心配です。早急に、熊森が引き取って保護飼育できるように動きます。この準備だけでも、簡単なことではありません。
②くま森には応援団がバックにたくさんいるのに、そっと山に返すことを狙ったため、その人々を活用できませんでした。HPにも、くわしい情報を流せませんでした。
③騒ぐと、このクマが今も生きているからだとして、厄介払いのために大阪府によって早期に殺処分されるのではないかという恐れが常にあり、マスコミへの連絡もできませんでした。現在、熊森は、大阪府に、このクマの引き取りを文書で正式に申し出ました。命の尊厳と共に、誤捕獲グマを殺せない流れを守るためです。引取るためには、何が必要なのか、すべてこれから交渉です。