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東中国山地の奥山では動物がほとんど撮影されない、西中国山地もドーナツ化現象!

人里でクマが目撃される例が各地で年々増えています。

今年もすごい数です。

熊森本部にも、なぜこんなにクマがひんぱんに目撃されるようになったのかとの問い合わせの電話やメールが入ってきます。

かつて奥山に棲んでいた森の動物たちが、重大な訳があって、人里に生息地を移動していることが考えられます。

野生動物たちにこれまで起きなかった異変が起き始めた時、それは絶滅の前触れであると熊森はとらえています。

 

<東中国山地>

東中国山地の山中に約2か月間かけていた7ケ所のセンサーカメラを先日回収してみて、がっかりしました。

クマが写っていたのは以下のたった1度だけでした。(画面の下を歩いている姿が、5秒間ほど動画で撮影されていました)

 

シカ、キツネ、タヌキ、ネズミ、ウサギもごくわずかに写っていましたが、数が本当に少ないのです。

この奥山は、奇跡的に残された巨木の自然林です。

その中の約80ヘクタールの面積のを選びカメラをセットしたのですが・・・

これでは動物たちはほとんどいないことになります。

去年の同時期は、もう少し動物たちが写っていました。

カメラのかけ方が悪かったのだろうか。

何か不都合なことがカメラに起こったのだろうか。

不安になってきました。

 

<西中国山地>

広島の奥山原生林を調査されている金井塚務先生の、2017年6月21日ブログを読んで納得しました。

長文ですが、みなさんもぜひ、お読みになって下さい。

広島の原生林には、まだシカが入っておりません。よって、林床はササで覆われています。

現地調査に同行させていただいたことがありますが、東中国山地をフィールドとしているわたしたちには、まだ広島にはクマたちが住める環境が残っている!と、うらやましいかぎりでした。

しかし、その広島でさえ、なぜかクマは奥山からどんどん姿を消しているのです。

 

以下の文は、金井塚先生のブログから、一部コピーさせていただきました。

 

「いま根本的な対策(クマが暮らしていける奥山を取り返すこと)を講じなければ、早晩西中国山地のツキノワグマは絶滅の道をたどるにちがいない。これは再々指摘していることでも有り、今年度策定の保護計画にも触れていることなのだが、クマの分布域の拡大と中核的生息地での密度低下が生じている。つまり分布のドーナツ化だ。確かに都市部への出没は突然生じることではあるが、全体的なトレンド(生息状況の傾向)を考えれば何時どこへ出てもおかしくない状況にある。クマはもはや奥山の動物ではなく、集落周辺の二次林を主たる生息場所としている野生動物なのである。たまたま山に餌がなかったから出てきたという突発的現象ではないのだ。」

 

<熊森から>

人間は鈍感でわからないだけで、何か日本の森、否、元東邦大学教授の大森禎子先生的に言えば、地球上の森が、人間活動によって野生動物を育めなくなってきているのだと思います。

森の危機を知らせてくれている野生動物たちに感謝しなければならないのに、深く考えることもせず、今年も害獣として、大量捕殺し続けている日本の行政には胸が痛みます。殺すという一番簡単で卑怯な対応ばかり続けていたら、気が付いたとき、とんでもないことになってしまっていたとなるのではないでしょうか。

 

<日本奥山学会7月2日のお知らせ>

奥山研究は1円のお金にもならないので、研究者がほとんどいません。

もっともっと研究者たちが誕生して、なぜ、野生動物が山から出て来るのか、研究する必要があります。

7月2日の、日本奥山学会の研究発表会に、まだの方はぜひ参加申し込みをしてください。

 

 

 

 

 

 

 

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