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哀れ!2年前三重県いなべ市で放獣された誤捕獲グマ、7月10日養老町で3度目の誤捕獲、殺処分

2015年5月に、1頭のオスのツキノワグマが三重県いなべ市で誤捕獲され、三重県に発信機を装着されて隣接する滋賀県側で放獣され、大問題となった事件がありました。

 

このクマが放獣された直後、滋賀県でクマによる人身事故が発生しました。当時、このクマが犯人とみなされ行政から殺処分命令が出て、このクマはおよそ2か月間多くのハンターに山中を追われ続けました。しかし、人身事故現場にあったクマの毛をDNA鑑定した結果、このクマのものではなかったことがわかり、このクマの無罪が判明して追跡は終了されました。このクマは、以前滋賀県でも一度誤捕獲され放獣された履歴のあるクマでした。

 

しかし、それからおよそ2年後の今年7月10日、このクマは岐阜県養老町の山林でくくり罠に誤捕獲され、危険だからという理由で岐阜県養老町によって射殺されました。このクマにとって、3回目の誤捕獲でした。

熊森は2015年当時、このクマは人身事故を起こしたクマではなく冤罪であるとして、救命の声を行政に上げ続けた経緯があるため、今回の射殺報道を聞いてこのクマを哀れに思うとともに、胸が痛みました。また、同時に、山中に無制限数かけられているシカ・イノシシ用くくり罠の実態に、怒りを禁じざるを得ませんでした。

 

<会員の声から>

この2年間
どんなに首につけられた旧式発信機が重かったことか。
どんなにがんばって逃げ続けたことか。
くまもりのみんなが
どんなに生き延びろと応援して祈っていたことか。

なぜ、殺されたのか 理由は!
山林で罠をしかけ?
山の中にクマは棲んではいけないのか!

 

 

このクマは、なぜ殺されなければならなかったのでしょうか?熊森本部は、養老町担当部署に電話で問い合わせました。(くまもり注:岐阜県ではクマの捕獲権限は市町村に降ろされています。)

 

●岐阜県養老町担当者(殺処分許可)の言い分

 

今回のくくり罠はクマがかからないようにと決められた環境省の輪の直径12cm規制を守ったものだった。クマの左前足の先がわなにかかっており、暴れて近寄れない状態だった。(くまもり注:人間が近づいたから暴れたのです。クマが暴れん坊なのではありません)首輪が付いていることは少し離れた距離でも確認できた。町は岐阜県と相談したが、くくりわなは外れやすいため、マニュアルに沿って射殺した。約500メートル先には民家があった。

 

養老町でのクマの捕獲は今回が初めて。クマを射殺してから、首輪を岐阜県に送り調べてもらった結果、首輪の電波の発信は途絶えていたが、記載された周波数の数値が、三重県が放したクマにつけた発信器と一致していたため、三重県の発信機であることが分かった。発信機の登録番号や型番などを、岐阜県が三重県に写真を送って調べてもらった結果、間違いなく、2015年5月に、いなべ市で錯誤捕獲されて三重県が滋賀県の山中に放した例のクマだと判明した。

 

 

●岐阜県庁担当者

岐阜県では、クマの放獣体制がないため、誤捕獲されたクマは全て殺処分している。クマの放獣については、委員会等の話し合いでも議題に出たことがない。

 

(熊森から)

岐阜県よりもクマ数が多い隣の長野県では放獣体制が整備されており、毎年何百頭ものクマが放獣されています。

岐阜県がいまだに放獣体制を組んでいないのは、鳥獣保護管理法に違反しているだけではなく、生物多様性条約にも違反しています。

 

岐阜県が誤捕獲グマの放獣体制を作ってくださるように、多くの声を担当部署に届けてお願いしましょう。

ちなみに岐阜県の昨年度の誤捕獲グマ件数は34件、業者に放獣を依頼すると、1件20万円が相場です。

岐阜県庁環境生活部環境企画課 生物多様性係 TEL:058-272-8231、FAX:058-278-2610

今回の事件に関する岐阜県庁発表資料(2017年7月10日)

 

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