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12月6日  森林環境税の使途を巡って、久し振りの国会議員会館めぐり

この度新しく設置されることになった「森林環境税」は、全国規模で恒久的に徴収する新税としては、1992年に導入された「地価税」以来のものです。

くまもりは、約9割が市町村に配分されるという「森林環境税」が、内部が大荒廃した放置人工林を温存することに寄与することになるのではないかと危惧しています。

久し振りに国会議員を回って、税を、<荒れた林を豊かな森に戻す>ことにも使っていただけるようにお願いしようと思いました。

この日の議員アポはなかなか取れませんでした。

それもそのはず、この日は、官僚のみなさんと議員の皆さんが部屋に入りきれないほど集まって、来年度の税制を決める最終日だったのです。

 

まず議員会館の入り口で、飛行機に乗る時のような身体と荷物のチェックを受けてから、受付でどの議員に会いに来たのか紙に書いて提出します。敷地内撮影は禁止されています。

窓口の方が、その議員の事務所に電話をして、この人物を中に入れてもいいのかどうかたずねます。OKが出たら、いただいた入館証を首からかけて、議員会館の中に進みます。

一部の議員や秘書にお会いすることが出来ました。私たちに対する秘書の対応を見ていると、議員に会わなくても、議員が国民の方を向いている方かどうかわかるような気がしました。どんな人を秘書にするかで、議員の運命が決まるなあと感じました。

 

森林環境税は、地球温暖化対策として市町村が森林を整備・管理する財源に充てるために、ひとりにつき年間1000円を徴収するものとされています。

 

●森林の整備・管理は、ほんとうに地球温暖化防止に役立つのか

森≠林

まず、森と林が別物であることがわかっていないと、この話は混乱します。

砂漠や荒野に木を植えるのなら、二酸化炭素の吸収源が新たに誕生することになるでしょう。

しかし、日本のように大部分が温暖湿潤気候に属する国では、基本的に国土は森におおわれています。

戦後、森の木を大量に伐採して、スギ・ヒノキ・カラマツなどの人工林を延々と造林し、国土は緑色をした超過密な林の木々に覆われているのが現状です。

一部の地域をのぞいて、材の搬出が進まないのは、林業が業として成り立たなくなっているからです。

なぜ林業が成り立たなくなったかというと、この50年間に、人々の生活様式がすっかり変わり、国産材の需要が低下し、材価が暴落しているからです。

延々と放置された人工林の内部は、真っ暗で、草1本生えていません。

この日本の林に、「森林環境税」を投入して、どのように地球温暖化を防止しようというのでしょうか。

ある議員の秘書によれば、与党内でも都市部選出議員のなかには、選挙区に山がないとして、「森林環境税」の新設に反対したり無関心な議員が多いということです。

郡部選出議員は、林業促進や、災害に強い山づくりをめざして、人工林を間伐することに「森林環境税」を使うべきだと言われているようです。

間伐しても、5年もすれば、残された木が成長して、また、内部が真っ暗になります。

その間、残された木が二酸化炭素を吸収して成長していくのだと言われても、間伐した木を、今はやりのバイオマス発電やストーブ用ペレットにしたり、地面に放置して腐らせた場合、二酸化炭素を発生しますから、地球温暖化防止にはなりません。

人工林を皆伐して、再び、スギ・ヒノキ・カラマツなどの苗木を植えるための道づくり等の土建工事、苗木代、人件費、維持管理費用に「森林環境税」使うという案も出ていましたが、伐採した木が二酸化炭素を排出しないよう、保存されているかどうか調べねばなりません。

長時間お話を聞かせていただいて思ったのは、今のところ、「森林環境税」は、森のためには全く使われようとしていないということです。

やはり、「林業振興税」だと思いました。

 

一人1000円の税徴収は決まったけれど、導入目的や使途は、来年から議論していくようでした。

自分たちの出した税金が何に使われるのか、市町村民がしっかりと考えて声をあげていかなければ、不正の温床となったり新たな自然破壊を生むことになるだけです。

税の新設が決まってしまった以上、行政はしっかりと情報を公開していただき、国民はしっかりと使い道をチェックし声を挙げ続けていかなければならないと思います。

 

来年は多くの国会議員さんに会って行きたいと思います。

日本国が存続するために、「森林環境税」を、水源の森であるクマたちが棲む生物の多様性が保たれた<森の復元・再生に多く使うべきだ>と訴えるために。

みなさんも、国会、都道府県、市町村の議員のみなさんにどんどん会いに行ってください。

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