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三重県 絶滅危惧種である誤捕獲グマを放獣できず、奥飛騨クマ牧場の一時預かりに

2018年 5月29日、三重県いなべ市でイノシシ用のくくり罠に誤捕獲された推定10歳、体長1.4メートル、体重94キロのオスグマがかかりました。(5月30日熊森ブログ参)

 

<三重県のツキノワグマ対応指針(H27)>

ツキノワグマの放獣場所は、県内に限る。原則として、誤捕獲された市町内におい て放獣する。また、原則、集落から2km以上離れており、人家、農地、遊歩道等がない森林とする。

 

三重県の当日発表は放獣でしたから、当然放獣されたものと思っておりましたら、地元の反対にあって放獣できず、クマ牧場に一時預かりになってしまったそうです。

中日新聞デジタル(2018年6月7日付け)

 

いなべ市の森林率は58%で人工林率は44%です。

いなべ市では2015年5月にもイノシシ用捕獲檻にオスのクマがかかり、三重県が一生外れない発信機を付けて放獣したところ、その場所が実は滋賀県だったことが後からわかり、大問題になった経緯があります。

そのクマは、残念ながら、去年夏、岐阜県養老町でイノシシのくくり罠に3度目の誤捕獲となり殺処分されました。(注:岐阜県ではクマは絶滅危惧種ではない)

 

いなべ市に恒常的に棲んでいるクマはいないかもしれませんが、5月から6月はクマの交尾期ですから、オスグマがメスグマを求めて隣接する岐阜県から遠出してきた可能性があります。くくり罠直径12㎝規制が守られていたら、クマがかかることはまずないと思われます。このクマは、後ろ足首にくくり罠のワイヤーがかかっていたということですから、直径規制を守らない違法罠が設置されていた可能性があります。

 

このクマの今後が心配です。熊森本部は三重県庁の担当者に電話しました。

 

三重県庁の担当者の話

規程通り捕獲された市で放獣しようとしたのですが、危険だから放獣しないでという地元要望が強く、といって、錯誤捕獲なので殺処分することもできず、クマは4日間檻の中に入れられていました。しかし、このままでは衰弱してしまうので、岐阜県の奥飛騨クマ牧場に半年間預かって頂くことにし、その間に放獣できる場所を探そうと思います。

 

熊森から

養老山地の三重県側(いなべ市は)人工林が多くあります。このクマは岐阜県からやってきたクマであることが考えられますから、むしろ、岐阜県で放獣してやった方が、いいような気もします。しかし、岐阜県では、クマは絶滅危惧種ではなく、狩猟対象、有害駆除対象ですから、岐阜県に放せば、簡単に駆除されてしまう恐れがあります。

 

人間が勝手に線引きした行政区画とクマの地域個体群が一致していないので、同じ地域個体群内でも行政が違うと対応が違うというちぐはぐなことになっています。

 

熊森本部制作     ※クリックすると大きくなります。

 

どうすべきなのか、三重県庁担当者もいなべ市担当者も悩んでいると思われます。

 

少なくとも熊森が言えることは、いなべ市はクマがかかる恐れがある地域なので、今後のことも考えて、くくり罠の12㎝規制を徹底させるべきでしょう。

 

また、いなべ市では、クマは危険な動物と勘違いされているようですが、人間よりもずっと平和愛好家です。その誤解はときたいです。

以前、誤捕獲されたクマを約600頭近く放獣してきたという放獣のプロに話を聞いたことがあります。

クマはとても賢いので、放獣したクマは、100%、元いた山奥に逃げ帰ったそうです。

人家の方へ逃げたクマはこれまでゼロだったということです。

担当者のみなさん、ご参考になさってください。

 

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