くまもりHOMEへ

くまもりNews

森林環境税で、日本の山は豊かによみがえるのか 熊森見解

年間620億円の森林環境税の都道府県当たりの分配額を計算してみました。単純に47都道府県で割ってみると、1都道府県あたりの分配額は13億円になります。

 

一方、兵庫県を例にとってみると、平成18年度から、住民一人当たり800円と法人から年間約24億円を「県民緑税」として徴収し、森林整備に当たってきました。「県民緑税」の年間税収は森林環境税の約2倍にあたります。

 

24億円を10年間使って森林整備を行ってきた結果、兵庫の森がどれだけ豊かによみがえったのかというと、何も変わっていないんじゃないですかという感じです。

こんなことになった理由の一つは、間伐に最も多くのお金をさいてきたからです。2割間伐や3割間伐程度の林業用間伐では、5年もすれば残されたスギやヒノキが育って、再び林内が真っ暗な人工林に戻ってしまいます。(山林所有者が間伐希望した人工林の100%、兵庫県内の人工林の6割にあたる人工林がこれまで間伐され、所によっては2巡目間伐も実施しているそうです。)

 

兵庫県の場合は、他府県と違って先進的で、広葉樹林の育成にも、2割程度の税をあてています。しかし、それでどれだけ広葉樹が育ったのかというと、これがまた、多くのシカが山に入り込んでいることもあって、食害が著しく、努力の割には、目に見えるような成果はあがっていません。

 

こうやって見ていくと、森林環境税の創成で、一体どれくらい日本の山がよみがえるのか、はなはだ心もとなく、期待がしぼんでいきそうです。

 

熊森が思うに、日本の山をよみがえらせ、野生動物が棲めるようにするには、まず、担当者が本気になることです。

森林環境税を、これまで通り、人工林の間伐や林道、作業道造りに使ってしまうのであれば、気づいたとき、日本は水源の森を失ってしまっているでしょう。

 

有効な税の使い方として、林業に向かない場所にある放置人工林は、間伐するのではなく、皆伐して天然林に戻す。

これを徹底して進めることが必要だと思います。

 

といって、皆伐跡地が、ササ原やススキが原になってしまったのでは、これまた、なかなか広葉樹林に戻らなくなります。

国、都道府県、市町村に任せているだけでは、無理でしょう。

 

まして、森林経営管理法案がいうように、利潤追求が第一の、その山に何の思い入れもない企業や業者に山を任せればどうなるのか、火を見るよりも明らかです。

フィード

Return to page top