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北海道で、ヒグマと共存の流れを その1

動物写真家 安藤誠顧問のご尽力でクマ会議を開催

~釧路市・鶴居村~

昨年、顧問に就任していただいた世界的に有名な野生動物写真家で、ネイチャーガイドの安藤誠さんを訪ね、9月13日、14日に北海道釧路市、鶴居村にある安藤顧問の運営するウィルダネス・ロッジ、ヒッコリーウィンドに行ってきました。20年近く応援いただいている元衆議院議員・赤松正雄顧問も同行くださいました。

安藤顧問は、「今年は、マスが早めに遡上しているからきっとヒグマに会えるよ」と知床に連れて行ってくださりました。河口付近を望遠鏡で覗くと大量のカラフトマスがやって来ているのがわかります。安藤さんからは、嬉しくてたまらず、待ちきれなくて海に飛び込んでしまったクマを見たと教えてもらいました(もちろん、海の中ではマスたちの方が上手で捕まえることはできません)。

クマが現れるのを待っているとき、オジロワシもやってきて、見事にマスを捕まえる一瞬にも出会いました。

しばらく、待っていると、別の場所で待機していたスタッフから、橋の付近でクマが現れたという連絡があり、駆け付けると、マスを取りに来た若いオスグマに会うことができました。水に頭をもぐらせたり、飛び跳ねたり、必死でマスを探す様子は何とも言えない迫力があり、ついに会えたと、一同、感激のひとときでした。

捕まえたマスをパクリ。水見竜哉(熊森スタッフ撮影)

橋にはクマを観察している人たちがたくさんいました。「本当は、人がいる所に出て来たくないけど、隠れられる場所はベテランの雄グマがおり、若いクマは入っていけないからこんなところでマスを捕るしかない」「人が河口付近で、サケやマスを捕ってしまわないで、もう少しだけでも川を遡上できるようにすれば、クマたちはこんなに人に近いところに出て来なくてよくなる」と安藤顧問から教えていただきました。

知床から車で帰る道中に、道路のカーブでばったり、メスの4~5歳のヒグマと出会いました。クマはとてもビックリしたようで、さっと道路わきに車をよけ、しばらく必死で頭を隠していましたが(お尻が出ており、文字どおり「頭隠して尻隠さず」でした)、その後、車が近づこうとするとさっと、山へ逃げていきました。突然の人との遭遇に動揺し、困惑しているクマの気持ちが感じられるできごとでした。

ヒグマたちも本州のツキノワグマと同様、人間に遠慮して、できるだけ接触を避けて暮らしていることがよくわかりました。実際に、出会えたことでヒグマがより身近に、愛おしい存在になりました。

翌日は、釧路湿原を案内していただきました。湿原の脇には、まだ緑の実をつけたミズナラの森が広がっていました。北海道は下草も豊富で、森も豊かに残っていることを実感。スギ・ヒノキの放置人工林だらけで、本来の生息地が荒廃してしまっている西日本のツキノワグマたちにこの環境を分けてあげたいと思いました。

釧路湿原を背景に

14日、夜には、安藤誠顧問の呼びかけで集まった方々と「クマ会議」を開催。ヒグマやツキノワグマと共存していくために何が必要かを話し合いました。北海道の熊森会員や安藤顧問の写真仲間も駆けつけてくださりました。車で数時間かけて来てくださった方もいました。

室谷会長は、日本熊森協会の活動と本州のツキノワグマの現状をお伝えしました。

安藤顧問は、小さい頃からよく知っているメスのクマが、子どもを守るためにカメラマンを威嚇したら通報され、子どもの前で射殺されてしまったことを報告。人間の無理解で捕殺されてしまうクマがいかにたくさんいるか、正しい知識を持ち、備えをすることでクマたちと共存できることを伝えていきたいと熱く語りました。昨年度、ヒグマ約800頭、ツキノワグマは約2600頭が有害獣として捕殺されています。この中には、捕殺の必要が無かった事例もたくさんあります。

参加した方々からも、豊かな環境が残っている北海道だからこそ、自然もクマも失われないように守りたいといった声が出ました。北海道でも、ヒグマとの共存をめざし、人々のつながりができ始めていることを実感することができました。

安藤誠顧問の写真は、野生動物たちが感情豊かに生きている姿を伝えるだけでなく、自然や野生動物を愛し、共存したいと願う人たちをつなぐ力があります。

この秋、日本熊森協会では、安藤誠顧問の講演会を、福岡、神戸、東京で開催します。

美しい写真とともに野生動物たちの生きざまや、共存への思いを熱く語っていただきます。みなさまぜひ、お越しください。

※いずれも参加申し込みが必要です。

福岡市 10月20日(日) ボランティアセンターあすみん

神戸市 10月23日(水) 神戸国際会館セミナーハウス701号室 19時~

東京  11月3日(日) くまもり東京シンポジウム お茶の水女子大学共通講義棟2号館

 

 

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