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やはりそうだったのか 千葉県の長期停電の原因となったスギの放置人工林

台風15号による千葉県のあまりにも長期にわたる停電に、くまもりは絶句です。

多くの人々や飼育動物たちが、暑い中、どんなに苦しい日々を送らねばならなかったことだろうかとお察しします。

心からお見舞い申し上げます。

千葉県が台風被害被害を受けたと聞いて、私たちがすぐに頭に浮かんだのは、千葉県の山の53%という高い人工林率です。

放置人工林のスギが沢山倒れただろうなと思いました。しかし、千葉県の森林率は31%と低いから、それほど被害はなかったかなとも思いました。

 

以下は、朝日新聞9月23日記事です。

 

停電の千葉、まるで終戦直後

台風15号で千葉県に大きな被害が出てから23日で2週間。千葉県東部の山武(さんむ)市では一時、総戸数の約6割が電気を断たれた。特産の山武杉(さんぶすぎ)が次々と倒れて電線や電柱を直撃、停電は広範囲で10日以上つづいた。林業の衰退で放置されたスギに病気が広がったことが背景にある。

 

 

 

 

 

 

 

スギの倒木が路面を埋め尽くし、電線や電柱にもたれかかる。9日の台風通過後、面積の約3割を森林が占める山武市のあちこちに、そんな光景が広がっていた。停電が解消された23日になっても、電線などの補修作業が続いた。

市の山間部の民家は杉林の中に点在し、林に沿うように電線がつながる。そこに倒木が相次ぎ、停電が広がったとみられる。

東京電力パワーグリッド千葉総支社によると、同市では9日、山間部を中心に、総戸数2万9600戸のうち最大1万7700戸が停電。同社が市全域での復旧を確認したのは、21日午前0時47分だった。

「終戦直後のような暮らしだった」

山間部で落花生を作る男性(81)は、10日以上続いた停電をそう振り返る。

 

蔓延する病気がスギの倒木を拡大

県によると、山武市周辺では250年以上前から特産の山武杉が植林されている。幹が真っすぐで太さに偏りがないため、建材などに使われてきた。

ただ、菌により幹の外側が腐る「スギ非赤枯性(ひあかがれせい)溝腐病(みぞぐされびょう)」にかかりやすい弱点もある。山武市では今回、溝腐病のスギが、7~8メートルほどの高さでポキンと折れる様子が各地で見られた。

倒木が相次いだ理由について、県森林研究所は「最大瞬間風速が50メートルに及ぶ、経験のない強風が最大の理由」と分析。さらに、市内の山武杉の林の約8割に蔓延(まんえん)する溝腐病が、倒木を拡大したとみる。

対策は進まない。同市は民有林の割合が95・7%(2017年)と高く、所有者は費用のかさむ伐採や植林を敬遠する。約5・5ヘクタールを所有する女性(72)は「高く売れるわけでもないのに、手入れを頼むと100万、200万円の単位でお金がかかる。どうしたらよいのか」ともらす。

倒木が助長した今回の停電について、千葉大学の小林達明教授(緑地環境学)は「スギの価格が低迷し、切っても販売先がないため、民有林は荒廃する一方という状態が長く続いている。集落に近い場所に森林がある千葉県では、起こるべくして起きた被害ともいえる」と話す。(熊井洋美)

以下略

 

熊森から

報道してくださったみなさん、ありがとうございます。

写真を見ると、倒れているのは戦後の拡大造林政策で植林されたスギです。

記事によると、山武杉は、昔から植林してきた特産のスギだということです。

地域によって事情はまちまちですから、他所に住んでいる者が断定はできませんが、しかし、昔は1ヘクタールに3000本というような密植はしていなかったのではないでしょうか。

当協会顧問の元徳島県木頭村村長の藤田恵氏によると、木頭村でも昔もスギを植えていたところがあるが、1ヘクタール600本だったので、間に自然に広葉樹が育って針広混交林になっていたということです。

県森林研究所は「最大瞬間風速が50メートルに及ぶ、経験のない強風が最大の理由」と発表されているそうですが、行政は、雨のせいや風のせいにして終わっていてはいけないと思います。自分たち人間のしてきたことを、この機会に反省すべきなのです。

利益追求第一で、あまりにも不自然な密植植林をしたことと、林業不振で手入れが出来なくなっていたことが、今回の長期停電の原因ではないでしょうか。

野生動物達を棲めなくした山は、人間にもしっぺ返しをしてきます。

これを機に、森林環境税などを使って、スギの単一林を針広混交林や広葉樹林に転換して、野生動物と共存する自然豊かな県土づくりをめざしてほしいと思いました。

不自然なものはやがて自然界が除去していくことになります。長い目で見ると、人間は自然の力になど勝てないのです。人間よ、謙虚さを取り戻そう!

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