くまもりNews
1月25日、南魚沼市で森山名誉会長が初講演
- 2020-02-02 (日)
- くまもりNEWS
本部スタッフは、1月23日2名、24日3名で、新潟県の行政や財界、政界のキーパーソンを訪れ、昨年12月、南魚沼市で捕獲された親子グマ(熊森が保管中)を、今春、そろってまちがいなく山に返していただけるよう、協力を求めました。
水分補給のため、氷を与えてみた(くまもり自動撮影カメラ1月22日)
藁がクマの糞尿で発酵していないか心配で藁中の温度測定→室温と同じ。大丈夫。
親子グマが縁の下で冬ごもりしようとしていた二日町診療所萌気園の黒岩卓夫理事長や奥様の社会福祉法人桐鈴会黒岩秩子理事長らが、今回私たちが新潟県を訪れることを知って、この週の火曜日の夕方、急遽、土曜日に夢草堂というお寺で、森山まり子名誉会長の南魚沼初の講演会を企画してくださいました。(新潟県の他市では何回か森山会長(当時)の講演実績あり)
黒岩さんたちは、火曜日のうちに即チラシ作成。水曜日は一斉メール。木・金は電話をかけて、人集めをしてくださったそうです。
3日間で人が集まるのだろうかと心配でしたが、南魚沼のみなさんを中心に、会場のお寺には部屋いっぱい数十名の人々が集まってくださいました。感激です。皆さん、本当によく来てくださいました。
会場風景
会場では、資料として、江戸時代の北越雪譜から「熊人を助(くまひとをたすく)」のお話と、親子3頭のクマを、春、山に放すべきという専門家の意見書を配布させていただきました。
2時間という長時間の講演でしたが、みなさん身じろぎもせず聞き入っておられました。今、南魚沼では黒岩ご夫妻や地元保育園の園長先生たちのご尽力で、くまもり小冊子が相当数出回っており、小冊子を読んできましたという方も多かったです。やはり、読むと聞くでは大違い、今日お話を聞いてよくわかったという感動の声が多く寄せられました。また、自分たちは何も知らなかったというショックの声も聞かれました。
講演中の森山名誉会長
新潟県の人工林率は23%と、他府県と比べると低いのですが、新潟県は日本海側にあるため、2005年ぐらいから始まったナラ枯れがひどい上、新潟県の山には北海道に次いで全国3位48か所という多くのスキー場があります。
講演の最後に、森山名誉会長が、親子グマが冬ごもりしようとしていた場所の写真と、現在の親子グマの動画を見せて、この親子グマは住居侵入などしていません、今も人間を恐れており、人を見ると激しく威嚇してきます。春、山に放しても、怖い思いをした場所に帰ってきたりしませんと伝えました。
住居に見えますが、実はこの場所は縁の下で、自由に外から出入りできます
名誉会長は、「クマのことをよく知らない人たちが、『帰ってくるから、山に返すな』と言うかもしれませんが、みなさんの声で、『2019年は555頭もクマを殺したんだから、この3頭は山に返してやろう』という声を上げてください。大型野生動物と共存する豊かな文明を取り戻すために、新潟県初の保管グマ※の放獣の道を切り開いてほしい」とお願いして、講演を終えました。
※ 保護飼育の許可を取ると、熊は山に放獣できないというのが、新潟県の見解です。
この後、本部クマ保全担当の水見竜哉研究員が、これまでいくつもの人身事故現場に駆け付け、当事者から話を聞き取ったり現地を調べたりした結果を元に、人身事故はなぜ起こるのか、どうしたら避けられるのかという話をしました。
クマは本来おだやかな動物だが、驚かせるとパニックを起こして事故を発生させる
終了後、初めて知った、よくわかったという声を、何人もの方からいただきました。クマが多くいる新潟県ですが、今や、山のこともクマのことも知らない人がほとんどになっているような印象を受けました。
自然界のことは私たちにもわからないことが多いのですが、私たち熊森が長年かかって知り得た山のことクマのことを、新潟の皆さんに、もっともっと伝えていきたいです。
熊森講演会を企画してくださる方があれば、ぜひお知らせください。
二日町診療所萌気園では、熊森協会がこの親子グマを救ったことに感謝して、募金箱を設置してくださっていました。また、この日集まってくださった皆さんからも熊森への寄付金があり、この日、総額129133円の寄付金が講演会企画者から森山名誉会長に手渡されました。
皆さん方の暖かいお心に感謝します。どうもありがとうございました。新たに16名の方がご入会くださいました。
帰り、私たちは会員に会うため、越後湯沢駅に立ち寄りました。見上げた山はスキーの滑走路でズタズタでした。新潟県には支部がないので、まだ深くは調べられていませんが、スキー場開発によってもクマたちの生息地が危機的状況に陥っていることが考えられます。
越後湯沢駅構内は、新宿に来たのかと思うほど人でいっぱいでした。地元の方が、「滑っているのは皆東京から来た人や外国人ばかり、新潟県人は誰もスキーなんかしないよ」と、自嘲気味に話されていました。
観光産業はいいことのように言われていますが、あまりにも多くの人たちが押し寄せ過ぎると、せっかくの自然が壊滅的に破壊されてしまい、持続可能な産業ではなくなってしまいます。