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秋田県男鹿半島で、2006年から生き物たちの想像を絶する大量消滅が続いている  安田 勲 氏

新年早々、男鹿の自然を考える会の安田勲氏が、何年ぶりかで熊森本部を訪れてくださいました。安田氏は1975年から男鹿半島に居住し、山の管理の仕事をしながら、写真がお得意の奥様と自然観察や自然保護活動を半世紀近く続けて来られました。2003年からは、元東邦大学教授大森禎子先生らの指導を受けて、マツ枯れ予防のために、マツの根元に炭をまき始め、青々とした松林を男鹿に誕生させることに成功されておられます。

 

熊森本部にとって情報が手薄な秋田県の山の話が聞けて大変参考になったと同時に、お話の内容に大衝撃を受けました。秋田県でも、生物の大量消滅が始まっていたのです。ぜひ安田氏からお聞きしたことを、くまもりブログに残しておきたいと思います。

 

男鹿半島で生物が大量に消滅し始めた2006年は、農毒(農薬というと、薬なんだなとなんとなく使った方がいい物のように錯覚を起こします。これがメーカーの手です。私たちは、正しく農毒というべきでしょう。まさに、毒なんですから)がピレスロイド系トレボンから、ネオニコチノイド系スタークルに変わった年なのだそうです。

 

この年、子どもたちにも人気の昆虫であるアケビコノハ、トビモンオオエダシャク、シロシャチホコ、アオバセセリ、アキアカネ、オニヤンマなどが一斉に急減し始めたということです。写真をたくさん見せてくださいました。

 

身の回りからも、スズメ、クモ、カエル、イナゴ、ホタルが消え、夜間街灯に群がる虫や、走行中の車のフロントガラスにぶつかる虫も驚くほど減りました。有人ヘリコプターでスタークルを空散した翌年、沿岸が赤潮で真っ赤に染まり魚介類も激減したそうです。

 

2012年、IUCN(国際自然保護連合)の東京フォーラムに参加された安田氏は、海外の発表者から、衝撃的な話を聞きます。哺乳類には安全と言われるネオニコは、まだ因果関係が科学的に解明されていないが、前例のないほど恐ろしい農毒で、科学的解明を待っていては環境が持ちこたえられないとして、ヨーロッパなどで次々と使用禁止になっていたのです。

 

科学者だけに任せておいたらだめだ。多くの市民の参加が必要だとして安田氏は調べ、声を上げ始めました。しかし、反対に非科学的だと訴えを退けられるのだそうです。この国はおかしくないですか。

 

化学式で因果関係が説明されなくても、安田氏は、スタークルを回りが使用し出した時から、急に生き物たちに異変が起きたことを身をもって体験したのですから、海外のように、予防原則でネオニコを使用禁止にするべきでしょう。細分化された科学は、もはや本質をとらえることができなくなったと安田氏は指摘されます。

 

多くの農毒が欧米で開発されてきたのに対し、ネオニコチノイド系農毒は、日本が独走態勢で開発してきたものです。元々古くから殺虫剤として使用されてきたタバコの葉に含まれるニコチンは、人畜にも被害を及ぼすものでした。それを改良して人畜への影響がないように改良したのがネオニコチノイドです。

 

しかし、ネオニコチノイドは、水に溶けるため、植物の根から吸い上げられ、植物全体に内側から浸透し、植物を食べに来た昆虫の神経細胞に作用して殺すだけではなく、地下水や雨水を通して川や海など環境にどんどん拡散していきます。しかも、土や水への残留性がとても強いそうです。

 

1992年に世界で初めてネオニコが農毒として登録されたことを、農毒関係の研究者たちの中には日本の誇りと喜んで論文に書いている人もおられますが、おかしくないですか。

 

私たちは毎日アブラムシ一つついていない野菜を不気味に思いながらも、スーパーで買って食べています。ネオニコ毒は内部に浸透していますから、洗ってもとれません。人間に無害と言っても、長年蓄積されたら、やはり昆虫のように神経系統がやられるかもしれません。

 

第一、昆虫は生態系を支える生き物です。この国からいなくなってもいいのでしょうか。やがて生態系は崩壊します。最後はすべて人間にもしっぺ返しがきます。

 

安田氏が飼っておられた日本ミツバチ4群が11月上旬に全滅したそうです。直接的にはアカリンダニに侵されたのが原因のようですが、ミツバチの免疫がネオニコで弱っており、ダニへの抵抗力がなかったのかもしれません。しかし、家畜保健所の行政担当者は、この時期は農薬をまいていない時期だから無関係などと言って、取り合ってくれなかったのだそうです。

 

この国の賢いはずの研究者も行政担当者も、もう一体どうなっているんでしょうか。何かが根本から狂っているとしか思えません。クマ・サル・・シカ・イノシシ・の大量殺害や外来種に対する根絶殺害もそうですが、研究者や行政に任せていてはとんでもないことになると、国民が気付かなければなりません。それにしても、なぜ優秀なはずの研究者や行政が、かくも鈍感で無能になっていくのか、これは今後、解明すべき重大な課題だと思います。

 

生態系は永遠に人間の頭などではとらえきれない超複雑な神の世界の巨大なシステムです。システムですから、一つねじが外れるとそのうちすべてに影響が現れるようになるのです。安田さんの訴えが、今も耳に残っています。

安田さんが奥様と残した膨大な生物消滅の記録写真を世に伝えたいものです。体験したことを勇気を出して伝えて回ろうとする安田さんに、圧力がかかってるそうです。許せないと思いました。安田さん、負けずに、奥様の撮られたすばらしい写真を持って、ぜひ全国に訴えて回ってください。安田さんの話を聞いてみようという方は、安田さんに連絡してください。

 

最近、人間にも発達障害の子供が増えているという問題について、神経系を侵すネオニコチノイド系農薬との関連が疑われているそうです。農家にとって便利だから使うでは済まされない国家の命運をかけた大問題だと思います。

 

ネオニコチノイド系農薬の特徴

①神経毒性、②水への浸透性、③強い残留性

 

日本に、ネオニコ使用禁止運動をされている団体はないのでしょうか。

日本の山の中から虫が消え、植物が実を結ばなくなってきたのは、ネオニコの使用年と重なっているのかもしれません。

熊森が実感し、山の実りゼロという原因不明の異常年があったのは、2004年、2006年、2010年でした。

 

「ダントツ」など、ネオニコチノイド系農薬の商品名

 

ネオニコチノイド系農薬をめぐる世界の動き

 

ネオニコチノイド規制

 

 

 

 

 

 

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