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人間やめたくなりました 胸がつぶれそうです 非会員の方から、上山市の母グマ射殺に悲痛な声

山形県上山市(かみのやまし)中山で、6月中頃から親子とみられる3頭のクマが10日間ほど目撃されていました。

遊ぶ子熊たちを見守る母グマ 6月22日午後1時ごろ

上山市中山地区公民館付近(公民館提供)山形新聞より

 

 

<以下、山形新聞>

市職員と猟友会メンバーが、6月24日午後3時ごろ、箱わなに親子1頭ずつがかかっており、付近に子グマが1頭がいるのを確認。母グマは駆除、子グマは森に放された。母グマは体長約1.2メートル、体重70キロで5~7歳。子グマはともに約30センチ。現場は中山地区共同墓地近く。市は箱わなを2カ所に設置し、墓地への立ち入りを禁止していたが、同日から解除した。

クマが捕獲されたことを受けて、市の担当者は「住宅地に近い場所で何度も目撃されていた。捕まってほっとした」と話した。

 

事件の詳細

上山市の市民生活課環境衛生係の担当者に、どうしてこんなことになったのか、詳細を聞き取ってみました。

 

上山市は、ブドウ、リンゴ、モモなど、果樹園が多い町で、これまでクマによる果樹被害が結構あり、農家は電気柵などを張るなどして自衛している。昨年度は、約19頭のクマが有害捕殺された。

 

今回の親子グマは、果樹を食べたわけではない。この地域では、クマの棲む山と集落の間に結構交通量の多い国道13号線が走っている。

 

下の地図の赤丸が公民館で、公民館と国道13号線の間には、以前養蚕のために植えた桑の木が数十本放置されている。ちょうど今、実がたくさんなっており、人間は誰も実を採らないので、この桑の実に居ついて、毎日親子で食べていたようだ。

 

 

 

市としては、国道13号線より山側にクマがいるのはいいが、元桑畑は集落に接しており、住民から「20m~30mの距離でクマが道や川にいるのを見た。怖いので獲ってほしい」という訴えが相次いでいた。

 

リンゴを入れた箱罠を2基かけたところ、罠にかかったので、母グマは有害として射殺。子熊は猟師が山奥に持っていって放した。

 

熊森から

この世に害獣などいません。どんな生き物も、全て意味があって存在しています。熊森は、この親子グマをドラム缶檻で捕獲して、山奥に放してやってほしかったです。より優しい人間社会が誕生することでしょう。

 

上山市の担当者は、ドラム缶檻を知らないと言われていました。ぜひ一基購入して、非捕殺対応をとってほしいです。購入費がないのなら寄付しますと伝えておきました。

 

クマにとって今のこの時期は、一番餌がない苦しい時期です。桑の実は貴重です。しかし、第2第3の犠牲グマを出さないためには、この元桑畑は伐採するか、電気柵を張って、クマが入れないようにすべきでしょう。むしろ、国道から山側に、桑を植えてやってほしいです。

 

山形県で長年クマの保護にあたってこられた猟師の板垣英夫さんは、「秋にドングリを食べて眠くなり、冬ごもりをするという体験を一度したクマなら、母グマがいなくても生き残れるかもしれない。しかし、夏に、放した当年子グマが生き残ることはむずかしい」と、言われています。

 

クマはとても滅びやすい動物です。地球上の広大な地域で、人間によって滅ぼされ続けてきました。

 

クマと共存するために、非捕殺対応をとってほしいと私たちが要望すると、すぐに「都会の者黙れ」というバッシングが起きます。

しかし、昔からクマを見ながら暮らしてきたクマを良く知る奥地の人たちは口をそろえて、クマは決して危険な動物ではなく十分共存できる動物だ。殺す必要はないと言われます。「都会の者黙れ」と言っている人は、「奥地の者も言っている」ことを知らねばなりません。クマは危険だ、殺せとあおっているのは、視聴率をとりたいだけの無知で無責任なマスコミや一部のクマを知らない研究者たちです。そんなのにのってはならない。

 

人間が、クマに恐怖を与えると、クマは人間から逃れようとして、人身事故を起こします。

最近、クマによる人身事故が以前より増えています。これは、クマに危害を加える人間が増えていることの裏返しだと思います。現在の野生動物敵視、害獣視、大量殺害政策は間違っていると私たちは考えます。

 

仲睦まじい親子グマが放置された桑の実を食べて平和に暮らしている。そんな、母グマを撃ち殺してしまう。ホッとする人もいるでしょうが、本能的に胸が張り裂けそうになる人も圧倒的に多くいます。よりよい社会を作っていくには、多様性がとても大切です。みんなが我慢せずに思いを出し合うべきで、そうすれば双方学ぶべきことが多々出て来ると思います。

 

今、日本では、いたいけない子グマまで撃ち殺してしまう地域が多くありますから、上山市が子グマだけでも山に放されたのには、猟師の人たちのやさしさを感じます。しかし、子グマは母グマがいなければ生き残れないという現実があります。

 

最近、日本一クマが多いと言われている長野県で、駆除から共存へとクマ対応が大きく変化してきました。長野県第4期ツキノワグマ保護管理計画には、親子グマは殺さないと明記されています。上山市はまず、長野県ラインまでアップしていただけたらと自然保護団体として願っています。

 

最後に、熊森からの電話に対して上山市の担当者が大変誠実に対応してくださったことに感謝の意を表します。

 

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