くまもりNews
滋賀県高島市で支部長地区長研修会を実施!
- 2020-07-22 (水)
- くまもりNEWS
~7月18日、19日 全国から34人が集まりました~
くまもりは、地域の自然や野生動物は、そこに住んでいる人たちが一番守ることができるという考えのもと、支部による地域に根差した自然保護活動をとても大事にしています。
全国支部地区長会は、全国で豊かな森再生や野生動物保全に取り組む、支部スタッフが一堂に会しての研修会です。
東京都支部など一部地域の5人はZOOMでの参加になりましたが、全国の13支部から21人と本部スタッフ7人の計34人の参加となりました。
今回のテーマは 「モデルをつくり、広げよう!」です。
「野生動物の生息地を奪い、自然を破壊してきた人類の限界が見えたコロナ禍の今だからこそ、支部のみなさんと熊森の実践活動をもっと広めていきたい」という室谷悠子会長のあいさつからスタート。
Part1 どうつくるクマとの共存
本部クマ保全担当の水見竜哉職員が新潟県南魚沼市の親子グマ3頭を昨年12月にくまもりが保護して5月に放獣するまでの活動を報告しました。
12月に南魚沼市の診療所軒下で冬眠しようとしていた親子グマが見つかったというニュースを知った水見職員らが現地に駆け付け、「冬の間はくまもりが預かって、春に放獣する」という了解を得るまでの緊迫した様子や、たくさんの方のご協力で、放獣ができたことを報告。
水見職員は、「熊森として、今後、放獣体制を全国で整備することや、捕殺に頼らない棲み分けのためのモデルをつくっていくことに力を入れたい。環境省をはじめとする全国のクマ行政が、共存をめざしたものに変えていけるよう、今集めている署名も頑張って集めましょう」と訴えました。
Part2 全国で豊かな森づくりのモデルを
本部の室谷会長の報告に続き、森林環境譲与税を巡る取り組みを愛知、長野、和歌山県支部の支部長らがそれぞれの取り組みを報告しました。
Part3 顧問による講演
くまもり顧問で前滋賀県知事の嘉田由紀子参院議員が「地球温暖化による豪雨災害とダムに頼らない流域治水」をテーマに講演してくださいました。
滋賀県知事時代に、ダム問題に取り組んだ嘉田顧問。トチノキ巨木保全のような水源の森保護をはじめ、流域で総合的な治水に努めることこそ、ダムよりもずっと有効な治水政策です、と強調。知事時代に近隣の近畿各府県知事らと協力して、大戸川ダムをはじめとした6つのダム事業を中止または凍結した経験をお話されました。
しかし、2年前の西日本豪雨をはじめとした「数十年に一度の大雨」が頻発し、「ダムがあってこそ、洪水は防げる」と巨大ダムの必要性を喧伝する声は根強くあります。
嘉田顧問は「ダムがあれば大丈夫というのは間違い。流域治水と住民の防災意識を高めないと生命は守れません」と強調されました。7月4日の熊本県の球磨川の氾濫で、川辺川ダムがあれば防げたのではないかという指摘もありますが、球磨川の推定流量を検証するとダムがあっても氾濫は防げなかったことが明らかとなったそうです。
さらに「洪水が起きればもともと水没する危険のある地域に住宅が建てられていることがあり、そういう場所では住民にリスクを伝えるよう訴えてきました。不動産取引の重要事項説明でハザードマップを示して十分に説明させるよう国土交通省も今年に入って取り組んでいます。そうした取り組みとともに、内水はん濫の防止や流域で川底を掘ったり堤防を強化するなど、ダム以外にしっかりと必要な事業を進めないと、洪水は防げません」と力強く訴えておられました。
熊森の本部や支部が全国で行っている動物たちの棲める豊かな森づくりは、災害対策としての森づくりでもあります。豪雨災害が多発する近年、水の循環を止め、大規模な環境破壊になるダムをつくるべきだという声も大きくなるなかで、自然と調和した治水はどのようなものか方向性を示していただきました。
夜の部ではフェイスブックやツイッター、インスタグラムなどSNSを活用したインターネットを通じた情報発信をテーマに議論を深めました。
2日目、滋賀県支部のトチノキ巨木群保全や分収造林跡地での森づくりを紹介
くまもり滋賀県支部のメンバーらの活動紹介。
地域の方々と裁判などもして、伐採危機から守った樹齢200~400年のトチノキの巨木群の保全や215haの元分収造林である「麻生林」での今後の森づくりなど、長年に亘り、滋賀県支部が力を合わせて取り組んできました。
最後に、参加した各支部長らが「この半年間に何を取り組むか」をテーマにそれぞれの支部活動について発表しました。離れていても、同じ目標をもって、支え合いながら、残りの半年活動を広げていこうと確認しました。
本当は、トチノキ巨木を見に行く予定でしたが、雨が続き、地盤が悪いため現地へは行けませんでした。その代わり、最後に、近畿2府4県1450万人の生命の水を支える琵琶湖を見ながらお昼を食べて解散。充実した2日間となりました。