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ナラ枯れの原因は虫ではない

どんな問題にも原因があります。

その原因特定に誤りがあれば、打つ手は全て外れます。

 

ナラ枯れは2000年代になって、日本海側の豪雪地帯の冷温帯から始まりました。

熊森は当初、地球温暖化によってこの暖温帯の虫が、まだこの虫に抵抗力を持たない冷温帯の木々に上がって行って(地球温暖化)、中国起源の酸性雪で弱ったミズナラの木を(土壌酸性化)、虫が片付けに入ったことが原因ではないかと考えました。

 

しかし、現在、日本海側だけではなく太平洋側も、奥山だけではなく里山も、ナラ枯れが蔓延してしまいました。

 

今年のナラ枯れの猛威には今年の酷暑ともいえる異常な猛暑も加わって、全国の実のなる木が弱ってきたからではないでしょうか。

 

一方、国は、ナラ枯れの原因を、カシノナガキクイムシという長さ5ミリほどの甲虫であるとしています。

 

 

 

 

 

 

 

 

その結果、各地の山に大量の殺虫用化学物質を運び込んでいます。これで死ぬのは、カシノナガキクイムシだけではなく、全ての虫です。弊害の大きさは計り知れません。国の大量の薬剤散布にもかかわらず、ナラ枯れは北海道を除く全国に広がる一方です。人間にはこの虫をコントロールすることなどできなかったのです。

 

この虫は外来種ではなく、昔から日本の暖温帯にいた虫です。この虫でドングリの木が枯れるのなら、とっくの昔に、この国からドングリの木が消えていたはずです。

 

虫原因説から脱皮すべきでしょう。

 

当協会顧問の故宮下正次先生の研究によると、佐渡島では虫侵入の形跡が全くないのにミズナラが総枯れしていたそうです。こうなるともう完全に、ナラ枯れの原因は、虫ではなくなります。

土壌の酸性度を緩和すべく根元に炭をまいたところ、枯れそうになっていたミズナラが何本も生き返ったということです。

 

ナラ枯れの原因は、直接的には虫であったとしても、地球温暖化、酸性雪雨、大気汚染などの人間活動の総合作用によって、木々が弱っただけではなく、土壌内の共生菌である微生物たちが変化したり衰えたりしていることではないでしょうか。

 

この目に見えないミクロの世界で行われている多種多様な微生物たちの働きは、永遠に人間がはかり知ることができない世界であり、まして、人間がコントロールすることなど不可能です。人間はもっともっと謙虚にならねばなりません。

 

一時の楽さや便利さを享受するため、たった一つの母なる地球環境を壊し続けていくのでは、人間は余りにも愚かであまりにも無慈悲な動物です。

「人間は発展するために生まれてきたのではなく、幸せになるために生まれてきたのです。」

ウルグアイ 元ムヒカ大統領

リニア新幹線を筆頭に、水源の森を壊してまでこれ以上の便利さを求めることは、不要なばかりか人類の自殺行為です。

 

流れを変えるには大きな声が必要です。熊森は心ある皆さんの声をひとまとまりにして、他生物のために、次世代のために、奥山水源の森を聖域化する力を持ちたいのです。ぜひ多くの方に熊森協会の会員になっていただきたいです。会費は、毎年の会員数を正確に把握するための年千円でいいです。年千円の会費で年4回の会報を送付させていただきます。(完)

 

 

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