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10月30日、兵庫県でカキもぎを実施

凶作年は里のカキを「クマにあげて」ください

大量の常設罠でクマの乱獲体制ができてしまった兵庫県

昨年、兵庫県では過去最多の119頭のクマが殺処分されました。今年もすでに37頭(9月末現在)ものクマが殺処分されています。

兵庫県は、平成29年度から、クマの捕獲体制を強化しています。クマが出没する前の春から、半年から1年の長期間で、クマが捕獲できる箱罠を設置することを認めており、現在、わずか800頭前後の生息推定数のクマに対し、約2000基の箱罠が常設されています。罠の中に入れられた米ぬかなどの強力な誘因物に誘われて、罠にかかったクマは、農作物被害を出していなくても、0歳や1歳のクマでも基本的に皆、捕殺されています。

今年は、兵庫県でも山の実りが凶作で、どんぐり類が枯死するナラ枯れも大発生しています。熊森が定期的にクマの目撃情報などを聞き取りしている兵庫県のクマ生息地では、「今年は山の実りが悪いというのにクマがほとんど山から出てこない。県がクマを獲りすぎていなくなってしまったのではないか?」と不安の声を耳にします。

さらに、今年は夏の異常高温のせいか、里の柿などの果樹も実のつきがわるいという情報を聞きます。山にも里にも餌がない。本当に危機的状況です。

 

ツキノワグマ目撃 兵庫県は昨年に比べ少なく323件(神戸新聞、10月24日)

 

ナラ枯れ・奥山エサ不足に関する記事はこちらをクリック→くまもりNEWS

 

 

ナラ枯れと山の実りの大凶作でクマの目撃が出始める

そんな状況の中、10月下旬に入り、兵庫県丹波市ではクマの目撃が何件か出始めました。丹波市は、人工林率が58%と高く、通常はクマの目撃がほとんどない地域ですが、山に実りのない年にはエサを求めてそういう場所にもクマが下りてきます。

クマが出て来ている現場はどんな場所なのか、クマが出て来て困っている方がおられたら被害対策をして少しでもお力になりたいと思い、現場へ駆けつけました。

現地へと車を走らせる中で、丹波市は、兵庫県内の他の自治体の中でも、柿の木が実っている場所が多いと感じました。

しかし、よく見ると、どの木も豊作というわけではなく、ある木はたくさん実がなっていますが、その近くの木は全然なっていないという不思議な状況です。

僅かな場所の違い、木の違いで豊凶が異なるようです。

 

地元の方の協力でカキもぎを実施

早速、地元の方のお話をお聞きしたところ、柿の木の成りがいい場所ピンポイントで、クマが来ているようです。

集落の中でひときわカキの実りが目立つ木がありました。

 

家主の方にお話を聞いてみると、こちらの柿の木は甘くて非常においしく実っており、地域の方もカキの実を頂きに取りに来られるそうです。しかし、木の頂上付近に鈴なりで、高さがあるので地域の方でも取れない部分があるとのことでした。

家主の方に、今年は山の実りが悪くて、さらにクマの餌となるドングリの木も枯れてしまって、クマにとっては非常につらいエサ不足なんです、とお話ししました。

 

家主の方は「自分もそう思う。最近、うちの近くの山も、時々散歩で入るが、山の中のドングリも全然実が落ちていない。それにこの地域は山にスギやヒノキをたくさん植えているから、クマもエサが無くて困るだろう。うちの柿をもいで、山にもっていってやりなさい」と言ってくださいました。

ありがたいです。私たちは、家主の方に深く感謝の言葉をお伝えして、カキもぎをさせていただきました。

 

 

本来であれば、もいだカキは、クマがカキを探して出て来るであろう裏山に置くのですが、ここの裏山は急斜面で上がるのが難しいのと、この辺りは人工林率が高く、クマは本来棲んでいない場所だったので、当会の姉妹団体である(公財)奥山保全トラストが所有する、クマの生息する山にもっていくことにしました。

もいだ実は、併せて60㎏ほど

クヌギのドングリと一緒に、置いてきました。

 

事故防止対策、絶滅防止対策としてのカキもぎ

山の実りの凶作年は、冬眠のため脂肪をつけなければならないクマは、里の実りを求めて山から下りてきて、集落付近のクリやカキ、オニグルミなどを食べます。私たちは、かつての日本人がそうしていたように、そういう年は、クマに近づかないようにそっと見守って、里の実りを分けてやってほしいとお願いをしています。

ただし、クマと人が至近距離で接触すると、クマは恐怖のため事故を起こす可能性があります。そういう危険がある場所では、私たちは、地元の方の了解を得て、カキをもぎ、山へ持って行きます。

本来の生息地に十分なえさがないという危機的状況の中で、人身事故防止や過剰捕獲回避の緊急対策として、有効であると考えています。

今、あまりにも多くの地域で、クマが出てきており、私たちの力だけで全て対応することは到底できませんが、事故を防ぎたい、1頭でも多くのクマが、生きのびてほしいと願い、本部や支部で実践をしています。

クマが出没しているが、捕殺に頼るのでなく、共存の道を模索したいと考えておられる集落があれば、ぜひ、ご連絡をいただきたいです。

 

 

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