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[速報] クマ捕獲規制と共存対策を求める 26,798筆の全国署名と要望書を環境大臣、農林水産大臣宛に提出!!

絶滅回避と人身事故防止のために、緊急対策を要請しました

左から、宮崎勝環境大臣政務官、室谷会長、片山大介顧問

11月27日、環境省にて、宮崎勝環境大臣政務官(参議院銀)に、熊野正士農水大臣政務官に、全国から集まった26,798筆の署名とクマの絶滅回避と人身事故防止のための緊急対策を求める要望書を提出しました!

コロナ禍の中、人と会うことが制限される中で、本当にたくさんの人が、1頭でも捕殺されないように、クマと共存し、クマの棲める水源の豊かな森が日本にも残るようにと必死で集めてくださいました。署名提出には、赤松正雄顧問(元衆議院議員)、片山大介顧問(参議院議員)その他、たくさんの方にご尽力いただきました。

思いのつまった署名を、室谷悠子会長、片山大介顧問、クマ保全担当の水見職員、川崎東京支部長らと届けてきました。

 

捕殺より、えさ場の確保、人身事故防止、生息地復元が急務

熊野正士農林水産政務官を囲んで(右から川崎東京支部長、室谷会長、伊藤会員、熊野政務官、水見クマ保全担当職員、菅原職員)。

 

近年、食料を求めてクマが里に大量に出没し、誘引物を入れた罠に誘引され、大量に捕殺されています。昨年度のクマ捕殺数は過去最多6000頭を超えました。

私たちは24年間奥山を歩き、調査し続けてきました。クマが、人里に出てきたのは、クマが増えたからでも、人を恐れなくなったからでもなく、クマの本来の生息地である、奥山水源域の自然林が、クマを養えないまでに劣化したことが原因です。

拡大造林政策により広大な奥山自然林が失われ、ダム建設によって俎上するサケ科の魚を失い、地球温暖化によって昆虫が消え、液果は実を結ばず、酸性雨によってドングリ類を枯死させるナラ枯れが全国的に大発生、山にクマの食料が皆無という危機的な状況となり、大量出没が起こっています。

今年の全国のクマ捕殺数は、9月末現在で4000頭を超えており、このままいけば昨年を上回る捕殺数となることが予測されます。

クマをこのまま捕殺し続けると、クマは絶滅し、生態系保全上からも人道上からも問題です。豊かな水源の森の造り手を失えば、人間も近い将来水不足で苦しむようになります。

環境大臣への要望事項 ※要望書はこちら

【クマとの共存のための緊急要請】

 全国の自治体が捕殺を抑制しながら、人身事故回避・共存対策を実践できるように、今年度改訂予定の「特定鳥獣保護・管理計画作成のためのガイドライン(クマ類編)」においても、以下の対策を反映させてください。

1 山の実りがない年は、緊急対策として、里のどんぐり、オニグルミ、カキ・クリなどをクマに分けてやってください。人身事故の危険がある場合は、実をもいで山へ運ぶことを実践できるようにしてください
栄養補給ができればクマは山に戻って冬眠します。山の実りの凶作年は、人里周辺の木の実を食べに来たクマには近づかないでそっと見守る。民家が近く、人との接触の恐れがある場合は、実をもいで、山へ運ぶことを、緊急対策として、推進してください。

2 人身事故が起きないようにするためにも、できる限りの捕殺抑制を
ただ出没しただけで、子グマや親子グマまで大勢の人たちで追いかけまわして捕殺しており、クマは恐怖のあまりパニックに陥り、かえって人身事故を誘発します。クマ出没時に人が至近距離に近づかない工夫をすることで事故は防げます。過剰捕 獲は地域的な絶滅を招く恐れがあり、捕殺をできる限り抑制することが必要です。
捕殺を抑制できるように全国的な放獣・一時保護体制の整備をしてください。また、シカ用・イノシシ用罠での錯誤捕獲の放獣を徹底してください。

3 クマが里に出てくるのを押さえるために、山裾にクリなどを植え、クマ止め林を造る必要があります
奥山の自然林劣化の回復には時間がかかり、今後も奥山のエサ不足の頻繁な発生が予測されます。クマが人里に出て来ないように、集落から離れた里山にえさ場を作っていくべきです。全国の自治体で実践できるよう事例の紹介や補助事業の創設をしてください。

4 潜み場除去のための草刈りや誘因物除去など人身事故防止対策の徹底を
人とクマの至近距離での突発的な遭遇が人身事故の原因です。過疎と高齢化により、これまでできていたクマを寄せつけない集落づくりができない地域が多くあり、公的支援が必要です。今後は、捕獲ではなく、被害防止と棲み分け対策に力を入れるべきです。

5 根本対策として、奥山の生息地の復元を
奥山にクマの生息環境があれば、クマと人は以前のように棲み分けて共存することができます。時間はかかりますが、根本対策である放置人工林の広葉樹林化や奥山自然林の劣化を止めるための土壌改良など、さまざまな対策が急務です。

農林水産大臣への要望事項 ※要望書はこちら

【クマの人身事故防止と棲み分け対策のための要望】

鳥獣被害対策予算、森林整備関連予算、森林環境譲与税などを活用し、クマの生息環境整備と人身事故防止及び棲み分け実現のため、以下の対策を実現ください。

1  人が気をつけることで人身事故は防げます。潜み場除去のための草刈りや誘因物除去など人身事故防止対策を鳥獣被害対策予算で実現させてください
人とクマの至近距離での突発的な遭遇が人身事故の原因です。過疎と高齢化により、これまでできていたクマを寄せつけない集落づくりができない地域が多くあり、公的支援が不可欠です。捕殺のための事業メニューはたくさんありますが、一番必要な被害防除のための予算を充実させ、利用しやすいものにすることが急務です。

2  里のどんぐり、オニグルミ、カキ・クリなどをクマに分けてやってください。人身事故の危険がある場合は、実をもいで山へ運んでやってください
栄養補給ができればクマは山に戻って冬眠します。緊急事態として人里周辺の木の実を食べに来たクマには近づかないでそっと見守ってください。木の実と民家が近く、人との接触の可能性がある場合は、実をもいで、山へ運ぶことも鳥獣被害対策予算で実現できるようにしてください。

3  根本対策として、生息地・奥山の広葉樹林の復元を至急進めてください
奥山にクマの生息環境があれば、クマと人は以前のように棲み分けて共存することができます。時間はかかりますが、根本対策である放置人工林の広葉樹林化や奥山自然林の劣化を止めるための土壌改良など、さまざまな対策が急務です。
森林整備予算、昨年創設された森林環境譲与税を活用し、奥山の広葉樹林化を至急進めてください。これは、保水力豊かな災害に強い森をつくることでもあります。

4  クマが里に出てくるのを押さえるために、山裾にクリなどを植える「クマ止め林」を造るための事業に公的補助が使えるようにしてください
奥山の自然林劣化の回復には時間がかかり、今後も奥山のエサ不足の頻繁な発生が予測されます。クマが人里に出て来ないように、集落から離れた里山にえさ場を作っていくべきです。
これらも鳥獣被害対策予算や森林整備予算、森林環境譲与税の活用により実施できるようにしてください。

室谷会長は、「本来の生息地である奥山にえさのないなか、捕殺を繰り返しても、出没や人身事故は無くなりません。①えさの問題をどうするか、②棲み分けをどう進めていくかという視点の対策が急務です」と訴えました。

宮崎勝環境大臣政務官は、「来年度前半までに、ガイドラインやクマ出没対応マニュアルの改訂が予定されており、「共存」という視点を取り入れていきたい」と答えられました。熊森が実践し、提案するえさ場の確保や棲み分け対策、放獣体制の整備などもガイドラインに取り入れられるよう重ねてお願いしました。共存のための各自治体のモデルになるガイドラインができるように、今後も要請を続けます。

熊野農林水産大臣政務官には、奥地の放置人工林をクマの棲める広葉樹林に戻してほしいということと、鳥獣被害対策として、捕殺に頼らない棲み分け対策やクマたちのえさ場の確保に力を入れてほしいとお願いをしました。熊野政務官は、エサの問題、生息地の問題を考え、棲み分けをすることが必要という話を、「ゾーニングが大事なのですね」と真剣に聞いてくださりました。

「農林水産省の鳥獣被害対策予算が、来年度さらに拡充される予定です」と政務官がおっしゃられたので、現在の捕殺を中心とする獣害対策から、野生動物たちが山で暮らし、棲み分けができるような環境整備と野生動物を寄せつけない集落づくりにシフトしていくことが必要なことをお伝えしました。

 

農政記者クラブでの説明の様子

署名提出に合わせて、環境省記者クラブと農政記者クラブで、記者に説明をしました。「クマが出てきて捕殺された」「事故が起こった」という現象だけではなく、クマたちが奥山から出て来ざるを得ない現状や共存と人身事故防止のため、何をすべきかということを報道してほしいと訴えました。「現場を取材に行きたい」とおっしゃられる記者さんもおられました。

日本熊森協会の提案は、いずれも24年間、クマ生息地で実践してきた取組に基づいて行われているものです。ぜひ、私たちの活動を取材に来ていただきたいです。

現在も、全国各地で、クマが出没し、捕殺が続いています。署名提出を契機に、安易な捕殺に頼らない共存の取組みが進んでいくよう、今後も、国に対して要請を続けるとともに、都道府県や地元自治体にも共存対策の実施を働きかけていきます。

 

国際動物福祉団体 Wild Welfare(ワイルド ウェルフェア)も共存対策を提案

世界をまたにかけて、飼育下にある野生動物の福祉向上に取り組むWild Welfare(ワイルド ウェルフェア)の幹部のSimon Marsh(サイモン マーシュ)氏からも、小泉進次郎環境大臣宛の親書を授かり、政務官にお渡ししました。

サイモン氏は、捕獲された野生動物の自然復帰プロジェクトに関わった経験を持ち、人との軋轢を減らすための啓発や捕まったクマの放獣、野生復帰のための一時保護施設の整備などを、日本熊森協会などのNGOとも連携し、行うべきだと提言をされました。

Wild Welfare(ワイルド ウェルフェア) サイモン氏の親書はこちら

海外では、クマが人里へ出てきただけで捕殺するのではなく、原因を究明し、人側も十分に注意し、クマを寄せ付けないように配慮して行動することを徹底している地域が多くあり、学ぶべきことがたくさんあります。

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