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国の規制緩和で“加速” 太陽光発電に法規制なく 温暖化防止の大義で里山無残 熊本日日新聞

以下は、11/6(土) 8:35 熊本日日新聞 ネット配信より

「令和の公害」 土砂流出、住民トラブル 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

山肌がむき出しになったメガソーラーの建設現場。8月の大雨などで大量の土砂が近くの農地や河川に流出した=南関町小原(小型無人機で9月に撮影)

 

熊本県南関町小原の大規模太陽光発電所(メガソーラー)の建設現場で8月、大雨によって大量の土砂が農地や河川に流出した。

政府は2050年の脱炭素化達成に向け再生可能エネルギー導入を「最優先」に掲げるが、各地の太陽光発電施設では土砂災害や住民とのトラブルが発生。地球温暖化の防止という大義の裏で、ホタルが住む清流や里山が切り開かれる矛盾も。専門家は「令和の公害」と断じ、法整備を求めている。

南関町では南関ソーラーファーム(福岡県飯塚市)が雑木林などを切り開き、約40ヘクタールに出力40メガワットの太陽光発電所を建設する計画を進めている。しかし、8月の大雨などで露出した山肌がえぐられ、大量の土砂が河川や農地に流れ込んだ。「里山や田畑、河川への被害は深刻。生態系への影響は計り知れない」。現地視察した熊本学園大の宮北隆志教授(生活環境学)は、環境への配慮のない再エネ施設の開発に警鐘を鳴らす。

 

行政は手続き論に終始

 

 

 

 

 

 

 

 

 

菊池市内の業者が建設している太陽追尾型発電施設(写真上)に向け、「断固反対」を訴える住民ら=9月、同市大平

 

太陽光発電施設を巡るトラブルは全国各地で相次ぐ。県内でも、菊池市の民間企業が市内に建設している太陽追尾型発電施設の斜面が8月の大雨後に崩落。住民がモーターの騒音や強風時のパネル飛散の危険性、景観の悪化を訴え、施設の撤去を求めている。

「これほどまでトラブルが多いのは、災害防止などに関する法規制がないからだ」。再エネ関連の環境問題に詳しい山梨大大学院の鈴木猛康教授(土木環境工学)は「もはや令和の公害だ」と指摘し、手放しで再エネを推し進める国の姿勢を強く問題視する。

県環境保全課によると、メガソーラーの場合、出力40メガワット以上もしくは20ヘクタール以上の敷地を造成する際には環境影響評価(アセスメント)を義務付け。ただ、対象は出力要件が20年4月、面積要件が同10月以降の申請分で、それ以前はアセスが不要。出力が40メガワット未満ならば、今でも環境アセスの必要はないという。

林地開発や固定価格買い取り制度(FIT)の申請では、県や国は事業者が出した書類に不備がないかを確認するのみ。南関町の土砂流出後、県森林保全課は「林地開発の手続きに従って許可しており、県の対応に問題はない」と説明。九州経済産業局エネルギー対策課(福岡市)も「環境はうちの担当ではない。申請書類に問題がなければ、許可を出す」といい、手続き論に終始した。

 

県は「南関ソーラーファームに対しては防災工事の実施などを指導してきた」とするが、強制力はなく、土砂流出を防げなかった。

ホタルの里でもあった小原地区。被害を受けた住民への補償が11月中にまとまる見込みだが、70代男性は「自然は元には戻らん」と悔しさをにじませる。

一方、政府は規制を強化するどころか一部緩和し、再エネ推進をさらに加速させる。大規模な風力発電について、環境アセスの対象を10メガワット以上から「50メガワット以上」に引き上げるよう環境アセス法を一部改正し、10月31日に施行した。

このような国の動きに、鈴木教授は「政府は脱炭素化を目指す傍ら、自然豊かな国土を次々に破壊しているようなもの。専門家による事前の環境調査を義務付ける法整備は急務だ」と訴える。(田中慎太朗、植木泰士)

 

熊森から

熊本日日新聞様、このような記事を掲載していただき、ありがとうございます。

国土交通省、経産省、環境省、林野庁など関係省庁の皆さんに是非現実を知っていただき、再エネなどの太陽光発電は電力大量消費地である都市部で行うよう、至急、方向転換をお願いします。

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