くまもりHOMEへ

くまもりNews

富山県にどんぐりを送っていただいた皆様へ

富山県でどんぐりを運んでいる会員の方々より、

どんぐりを送っていただいた皆様へお礼のお手紙です。

———————————-

全国の多数の皆さんからドングリ、柿、りんご等を送っていただき、本当にありがとうございました。送っていただいたどのパッケージを開いても、皆さんの熊を思いやる優しい気持ちが感じられ、一粒のドングリも無駄にしない様に、そして熊に届くように、10月から12月の間に4トン以上のドングリや果物を富山の山に運ばさせていただています。50ヶ所以上の場所に置きましたが、多くの場所で熊が食べた痕跡がありました。最初は、1ヶ所につき20キロから25キロのドングリを置きましたが、食べてある場所は、一粒のドングリも残さず食べてあります。その様な場所では、熊が地面を掘り返してまで、残りを探していたのか、小さなくぼみが出来ています。ある場所では、最初見た熊の糞は、あきらかに草のような物しか食べていなかったのか、草色のやわらかそうな糞でしたが、栗やドングリの皮が糞に混ざるようになると、ようやく黒く硬そうな糞になっていました。また、熊森協会のホームページで紹介していただいた写真にあります様に、子熊の小さな糞も柿やドングリを食べたであろう痕跡があります。本当にドングリ運びをしてよかったと実感しています。

同じ県内でも地域によって状況は違うと思いますが、今年の山は熊にとって本当に食べる物が少ないと感じます。これでは、熊も食べ物を求めて、下界に降りて来るか、より上の方に登るしかなかったと思います。実際、本来熊を見かける事がない高い山でも、熊を見かけたと聞きました。富山県の70%近くは森林地帯です。近い所で富山市の街中から、車で15分足らずで、熊の巣穴を見つけることが出来る場所に行けます。よく山里近くに暮らす人達から、かつて奥山近くにあった集落等は、集落の周りに柿や栗の木を植え、山のドングリ等が凶作の年は、熊に自由に食べさせていたと聞きます。日本の熊は、決して人間や家畜を襲うために出て来るわけではないのです。

また、熊の頭数が増えたからであるとか、よりおいしい物の味を知り、下界に降りて来る等といった事はない。山では、熊の食料となる昆虫も激減していると聞きます。先日も、子熊のために、きれいな沢にいる小さなサワガニを探している親熊を射殺した話を聞きました。子熊に食べさせるためか、大きな沢の石を両手でしっかり起こしていたそうです。射殺されて死んでもその石を離さなかったそうです。また、猟師から、まるまると太った子熊とがりがりに痩せた母熊をよく見るといった事を聞きました。春には、熊の巣穴から、子熊だけが出て来る、中では痩せた母熊が死んでいることもあると聞きました。母熊は、子熊に食べさせようと必死に食料を探します。害を与えない熊をただ恐怖の対象だから殺すことは人のやることではない。今年、公表では富山県において150頭以上の熊を捕殺したと出ていますが、猟師等からは、300頭以上を殺していると聞きます。実際、ドングリ運びの帰り道で熊を射殺した跡を目撃しました。また、11月15日の狩猟解禁の前でも、山の中で密猟者と出会いました。環境省から、熊の食料となる物を里山では取り除くように指導がなされていると聞きました。あまりにも現状に無知であり、これでは、環境省ではなく、環境破壊省と名前を変えた方がよいのではないでしょうか。英語に環境を表す言葉として、FAUNA and Flora(ファウナ アンド フロウラ) がありますが、環境を形成するものとして、ファウナ(動物)とフロウラ(植物)があり、本来、環境省の役割は、地域の環境を形成している動物や植物を守ることではないかと考えます。なによりも環境省は、生命への畏敬、自然に対する畏敬の念に基づいて施策を進めることが大切だと思います。

また、今回のドングリ運びで、多くの里山、ウチ山等を回りましたが、山が本当に壊されていると感じました。何のための林道なのか理解に苦しむような無駄を感じさせる立派な林道が作られていたり、建設中であったりします。林道の近くには、古い熊の巣穴があるのも見ました。富山県の人工林率は公表では、19%と聞いていますが、杉の自然増殖はもっとあるのではないかと感じます。いまだに政府の林業政策のミスが改善されていないだけでなく、無謀な林道建設が進められているのではないかと思います。決して、開発を否定するつもりはありませんが、もっと自然環境に配慮した開発がなされるべきではないかと考えます。山の自然環境の崩壊は、単なる気象変動だけではなく、人間によるところが大きいと思います。ますます、熊、カモシカや多くの山の動物や植物の環境が、破壊されています。この様な事態を改善するには、時間がかかると思います。

しかし、熊や山の動物は、今も生きているのです。食料がなく必死で生きようとする熊を助けようとすることは、人として当たり前のことだと思います。下界に食料を求めて必死に降りてきた熊を、追い詰め、簡単に殺してしまうことは大きな間違いです。なによりも、人としての優しさが、すべての問題を解決していく上での前提条件ではないでしょうか。

最後になりますが、あらためて皆さんの優しい心に感謝いたします。

フィード

Return to page top