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住民たちが10日間ほど 見守っているうちに、見かけなくなった若グマ

この時期、親離れしたばかりの子グマが、各地で人里に現れては騒がれています。

 

4月中旬、クマ生息地の住民から、道路横で衰弱した子グマが1頭寝ている。まるでぬいぐるみのようなクマだという情報が本部に入りました。

3日間ほど見守っているが、母熊が現れる気配はないということで、地元の方々もこの子グマを思いやって心配そうでした。

うーん。あの愛情深い母グマが、今年生まれの子グマを見捨てるはずがありません。

母グマが病死した?母グマがイノシシなどの罠にかかってしまった?母グマが密猟された?

子グマだけでは生き残れないので、保護飼育することになるのだろうか?

くまもりとしてはどう対処すべきか悩みながら、とりあえず現地に向かいました。

 

 

地元の人に教えてもらったところに行くと、小さなクマが1頭、フキノトウを無心に食べていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

クマが食べたとみられるフキノトウのあと

 

 

あたりはフンでいっぱいです。(専門家にこのフンを送った所、後日、根っこなど地下のものが入っているので、アナグマのフンではないかと言われました。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

繊維質でいっぱいのフン

 

 

このクマ、確かに小さいけれど、今年生まれのクマではありません。すでに親離れしたクマなのでしょうか。

地元の人達に、「助けてやって」と、頼まれましたが、自力で生きていけそうです。

ただ、こんな人目のつくところにいたら、誰かが行政に通報して捕獲されてしまう恐れがあります。

 

心を鬼にして、追い払うことにしました。

山に向かって追い立てていくと、クマはぐんぐん逃げ始めました。

 

 

 

 

 

 

 

土手をかけあがって逃げるクマ

 

 

さらに追い詰めていくと、大きな木の上にするするとのぼって、不安そうに下にいる人間の動向を見ています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

高い木の上から不安そうに下を見下ろしているクマ

 

地元の人達には、とにかく見かけたら、山の方に追い上げてくださいと伝えて帰りました。

 

 

うーん、人間を疑わず人間に親しみを持っているクマ…、こんな時、祖先はどう対処していたのだろうか。

このままだと金太郎の世界になってしまいます。

太郎を育てられた故東山省三先生は、金太郎の話は、昔どこの集落でもあった実話だとわかったと言われていましたが・・・

今の時代、行政がそんなことを許すはずがありません。

 

 

後日、地元から再び電話がありました。

このクマ、人間が畑仕事をしている横で、のんびり昼寝して、逃げてくれないというのです。

困りました。とにかく追い払ってもらうしかありません。

そうこうしているうち、雨の日がやってきました。

なぜか、この日を境に、このクマはぷっつり姿を見せなくなったそうです。

 

 

フキノトウはもう大きくなってしまい、土手の草は農家にツクシごと刈り取られてしまいました。

山を見ると、柔らかい新芽がいっぱい芽吹いてきていました。

今頃はきっと、おいしい若葉をついばんで山の中を移動していることでしょう。

もう人間の所になど来るんじゃないぞ。生き延びろよ。

思わず抱きしめたくなるほどかわいかった若グマの写真に、心の中で叫びました。

 

 

教訓

①地元の人達の心に、生き物に共感するやさしい文化が残っているから、これまでクマは絶滅を免れてきた。

②クマは、季節ごとに刻々と変化する食べ物を追って、移動していく。

 

 

 

 

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