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徳島県天神丸風力発電の白紙撤回を その4 5月24日徳島県知事が建設回避を求める意見書提出
徳島新聞 5月25日 より
オリックス風力発電計画 徳島県知事 回避を求める意見書提出
徳島県の飯泉嘉門知事は24日、オリックスグループ(東京)が美馬、神山、那賀3市町の境付近に計画している風力発電事業の計画段階環境配慮書に対する意見書をオリックスに提出した。想定区域周辺の希少動植物や景観などへの影響に懸念を示し、重大な影響を回避できない場合には事業中止や抜本的な計画の見直しを行うよう求めた。
意見書では、配慮書に生態系などへの影響について科学的根拠が示されていない点を指摘し、追加書類を速やかに提出することも促している。また、希少動植物、景観に与える影響や土砂災害リスクの増大、登山者への影響といった課題ごとに専門家の助言を踏まえた適切な調査と影響の回避、低減を求めている。
知事意見は、河川生態学や景観工学などの有識者でつくる県環境影響評価審査会がオリックスの計画段階環境配慮書に対してまとめた答申をほぼ踏襲する内容となった。答申では、配慮書手続きのやり直しを検討するよう求められたが、環境影響評価法に規定がないことを理由に削除した。
計画段階環境配慮書は計画の立案段階での事業概要や環境への影響を記したもので、配慮書の作成は法に基づく環境アセスメント手続きの一環。県は同日、許認可権がある経済産業省のほか、環境省にも意見書を送付した。
オリックスは知事や経産相、住民の意見を踏まえ、アセスメントの実施計画に当たる方法書の作成手続きに入ることになるが、同社広報部は「知事や住民、経産相の意見を踏まえた上で、方法書段階に進むかどうか検討したい」としている。
計画では、3市町の境にある天神丸と高城山の2990ヘクタールに最大42基、総出力14万4900キロワットの風力発電施設を設ける。2023年10月に着工し、26年秋の営業運転開始を目指している。
県要望ハードル高く、事業の行方は不透明に
オリックスグループが計画する風力発電事業の計画段階環境配慮書に対し、飯泉嘉門知事が出した意見書は、現地の自然環境への重大な影響などを回避できない際の事業中止や抜本的な見直しを迫る厳しい内容となった。
具体的には▽動物の移動経路の分断やえさ場の減少▽渡り鳥の経路阻害や衝突事故▽登山など人と自然とのふれあい活動への影響▽土砂災害リスクの増大-といった懸案を列挙。それぞれに改善を求めている。
県は「脱炭素」を目標に掲げ、再生可能エネルギーの普及拡大を目指している。その県が今回の風力発電所の建設に対し、こうした強い姿勢を示すのは、見過ごせないほど、環境への影響が大きいと判断したためだ。
計画段階での「配慮書」の手続きは、環境保全について早くから検討を始めるとともに、国や県、地元住民らの意見を聞く機会を増やすため2011年の環境影響評価法改正で盛り込まれた。
オリックスは今後事業を進める場合、アセスメントの実施計画に当たる方法書の作成手続きに入るが、県が課したハードルは高く、同社は事業が環境に与える影響をいま一度見つめ直さざるを得ない。今後の事業の行方は不透明になったといえる。
(熊森から)
徳島県飯泉嘉門知事、徳島県環境影響評価審査会の委員、反対の声を上げてくださったいくつもの自然保護団体や県民のみなさま、本当にありがとうございます。いくら何でも、徳島の最高の自然が残されている場所に42基の巨大風車建設はひどすぎましたね。まだ気を緩められませんが、とりあえずほっとしました。
それにしても、さすが、徳島県の県土を守ろうと、細川内ダムや吉野川第十堰可動化を白紙撤回させた徳島県のみなさん。みなさんは、声を上げる力をお持ちで、素晴らしいと思いました。敬服します。日本も捨てたもんじゃない。まだまだ破滅型開発を止める力は残っていたと思うと元気をもらいました。
オリックス社の今後の動きに注目していきたいと思います。山の尾根筋に風車を建てる時代は、環境への取り返しのつかない負荷や効率の悪さを思うと、もう過去のものとなった感がします。
徳島県天神丸風力発電の白紙撤回を その3 経産省新エネルギー課に電話
本日、経産省新エネルギー課に電話をしました。
くまもり:今、国から風力発電に補助金が出ないのですか。
経産省:今年から、ゼロとなりました。
くまもり:風力発電に新規参入しようという企業はなくなるのじゃないですか。
経産省:落ち着いてくるでしょうね。一応、表向きは今年からゼロなんですが、駆け込み参入という手があって、やり方によっては当分補助金を得られる道も残っています。しかし、早くしないとだめですね。売電価格に関してもしかりです。
くまもり:風力発電による売電価格は確か、1キロワット時55円でしたよね。
経産省:今年から18円+税となりました。まあ18円程度と思ってください。洋上風力発電の場合は、36円+税です。
くまもり:国は現在、陸上での風力発電を推進しない方針に切り替えたということですかね。
経産省:洋上は、尾根筋より安定した風力が得られるので、今後は洋上にシフトしていくでしょうね。
くまもり:映画「自然と再生」を見られましたか。
経産省:はい。
くまもり:風力発電で得られた電気は、電圧が絶えず変わるので、精密機械などには使えないんですよね。
経産省:まあ、そうですね。それなりに技術革新はしているのでしょうが。
くまもり:映画によると、ドイツでは、無数の風車で作った電気を国中に張り巡らせている送電線に流し込んで、電圧を一定にするという技術革新を達成しており、、風力発電で作った電気を実際に使える電気にしたんですよね。でも日本では、送電線の所有者がばらばらで、そういうことはできませんから、ドイツのように風力発電でできた電気を無数に送電線に流し込んで電圧を一定にすることなんてできませんよね。
経産省:無理ですね。
くまもり:以前、大きな風力発電会社の責任者の話をじっくり聞いたことがあります。その方が、「風力発電なんて単なるおもちゃですよ。作った電気はみんな捨てます。こんなにも電圧不安定な電気を流したら、コンピューターとか壊れますよ。風車は構造上すぐに故障して止まります。善意の方が、風車が止まっていると知らせてくださるのですが、動いていても止まっていても、わたしたちはどうでもいいのです。風力発電を建設することで国からの多額の補助金がでる。それで儲けたいだけです。それだけでいいのです。私たちは企業ですから」と言われたので、わたしたちはあきれて開いた口がふさがりませんでした。正直な方なんでしょうが。
経産省:うーん。
くまもり:天神丸風力発電計画は、剣山の尾根筋にわずかに残された最後のブナ・ミズナラの自然林を破壊してしまうもので、陸上風力発電の中でも最悪のパターンなんです。絶滅寸前にまで数を減らしている四国のツキノワグマを一気に絶滅させることになります。国として、そのような場所に風力発電を造るなと指導してもらいたのですが。
経産省:うちとしては、都道府県から上がってきたものを見て、地元が認めていたら認可するだけです。
くまもり:じゃあ、天神丸風力発電を止めるには、徳島県がノーと言ってくれないだめですね。
経産省:まあね。
<熊森から>
やはり、知事さんがカギを握っているようです。
徳島県天神丸風力発電の白紙撤回を その2 オリックス社に電話
本日、オリックス社に電話しました。
くまもり:天神丸風力発電計画に関して、内容を精査して意見書を出したいと思っています。「環境配慮書」を送っていただくことはできますか。
オリックス社:申し訳ございませんが、個別にお送りすることはできません。
くまもり:では、大体の内容はわかっているので意見書を今から送ります。受け付けてもらえますか。
オリックス社:一応締め切りは終わっているので、できるだけ早くお願いします。
くまもり:今、風力発電に対する補助金は国からどれくらい出るのですか。
オリックス社:ゼロになりました。
くまもり:では、売電でもうけようというわけですね。今、売電価格は1キロワット時いくらですか。
オリックス社:毎年変わっていきます。
くまもり:それはそうと、風力発電で作った電気は電圧が不安定で、実際には使えないと聞いています。
しかし、映画「自然と再生」を見ると、ドイツなどでは技術革新によってこの問題は克服されたそうです。
映画「自然と再生」を見られましたか。
オリックス社:いいえ、見ておりません。私どもは、発電した電気を国に売る。そこまでです。その後、その電気がどのように使われるかまでは、わかりません。
くまもり:天神丸風力発電は、尾根筋に残された四国最後の貴重な自然林を破壊する事業なのでぜひ白紙撤回していただきたいのですが、もう今から止めることはできないというネットの声もありました。もう止められないんでしょうか。
オリックス社:そんなことはありませんよ。まだこれからなんで。
くまもり:いろんな団体や個人から、白紙撤回してほしいという声がたくさん届いてますよね。
オリックス社:意見書は来ていますが、数や内容については一切言えません。
くまもり:先日、徳島県で説明会があったと聞いたのですが。
オリックス社:4月24日に徳島県主催の環境影響審査会で、委員の先生方15名に事業説明をさせていただきました。
くまもり:皆さん反対されたでしょう。
オリックス社:いろいろなご意見をいただきました。わたしたちは今、徳島県知事の意見を待っている段階です。5月中にはいただけると思っております。
くまもり:知事の声は重要ですか。もし、知事か、天神丸風力発電事業を認めないと言われたら、それでも事業を強引に推進されますか。
オリックス社:知事がそういわれたら、事業推進は不可能です。
くまもり:知事がカギを握っているわけですね。一般県民への説明会はいつですか。
オリックス社:決まっておりませんが、その時は徳島新聞、徳島県HP、オリックスHPで2か月前ぐらいから予告させていただきます。
<熊森から>尾根筋への風力発電はどこも環境大破壊ですが、そのなかでも天神丸風力発電事業は最悪のパターンです。
四国のクマの絶滅を止めたい方、四国の水源の森を次世代に残こそうと思われる方、知事さんに天神丸風力発電事業に反対していただくよう皆で必死でお願いしましょう。
徳島県天神丸風力発電の白紙撤回を!四国のクマの最後の聖地、剣山系尾根筋に風力発電42基計画
(以下、徳島新聞より抜粋)
大手総合リース企業オリックス株式会社は、美馬市、神山、那賀両町の境にある高城山(1627メートル)と天神丸(1632メートル)周辺の尾根に、風車42基を備えた大規模な風力発電の建設を計画している。総出力は14万4900キロワットを想定しており、実現すれば県内最大となる。
事業想定区域は約2990ヘクタール。ほとんどが民有地で一部国有地が含まれる。風車は最大高約175メートルで、プロペラは直径約117メートルの3枚羽タイプ。1基当たりの出力は2300~3450キロワット。用地を取得するか借りるか、売電の方法などは未定。
2018年5月1日に「計画段階環境配慮書」の縦覧を終えた。今後は、環境影響評価(アセスメント)などの諸手続きを進め、2023年10月の着工、2026年秋ごろの営業運転開始をめざしている。
熊森見解
拡大造林、大規模林道と、目先のお金を儲けるために、戦後、私たちは森の動物たちの生息地でもあった水源の森を破壊し続けてきました。
とどめは、尾根筋への風力発電です。
これで、森林破壊は最終段階に入ります。
尾根筋の風力発電はエコではなく、国土大破壊です。
日本文明を支えてきた水源の森を壊してまで、造るべきではありません。
四国ツキノワグマなど野生動物の存続の命運がかかっている
徳島県剣山系尾根に残されたわずかな広葉樹林地帯で、ひっそりと生き抜いている風前の灯、四国ツキノワグマ。
その最後の聖地をオリックス株式会社が大破壊してコンクリートで固めてしまおうとしています。
この事業をどう変更しようとも、四国ツキノワグマへの重大な影響を回避または軽減することは不可能です。
日本国が批准している生物多様性条約に違反する事業です。
風力発電の寿命は20年ですから、20年ごとに、急峻な山腹に広い舗装道路を造り直し、巨大な風車を積んだトレーラーが走り、古くなったコンクリートをダイナマイトで爆破し、新たに尾根にコンクリートを大量に流し込む大工事を繰り返すことになります。
尾根は山の最もデリケートな場所です。四国県民の水源の森はやがて崩壊します。
以下地図が、事業計画場所。ダブルクリックで拡大されます。(くまもり作成)
緑色部分はスギなどの人工林、黄土色部分は落葉広葉樹林
この事業を止められるのは、利権のないわたしたち国民だけです。
みなさん、声を挙げましょう。
くまもりは、四国はもちろん、全国のみなさんと協力して、徳島県天神丸風力発電の白紙撤回をオリックス株式会社、経済産業相、環境省、徳島県知事、美馬市市長、神山町長、那賀町長に訴えていきたいと思います。
<白紙撤回訴え先>
オリックス株式会社 代表取締役 井上 亮 様
〒105-0023
東京都港区浜松町2丁目4番1号 世界貿易センタービル
電話03-5730-0184 天神丸風力発電事業係 担当者:明治、長谷
徳島県庁 飯泉嘉門(いいずみかもん) 知事 様
〒770-8570 徳島県徳島市万代町1丁目1番地
天神丸風力発電事業計画に意見を述べている団体はないか、ネットで調べてみました。
・徳島県山岳連盟会長 オリックス社に中止を求める署名
・徳島県勤労者山岳連盟理事長 オリックス社に中止を求める署名
・特定非営利活動法人剣山クラブ理事長 オリックス社に中止を求める署名
・特定非営利活動法人三嶺の自然を守る会理事長 オリックス社に中止を求める署名
・日本クマネットワーク 4月16日 オリックス社への意見書
・日本自然保護協会 4月30日 オリックス社への意見書
・WWF - J 5月1日 オリックス社への意見書
・NPO徳島保全生物学研究会・生物多様性とくしま会議の連名
・・5月1日 オリックスへの意見書
・一般社団法人日本生態学会中国四国地区会
うれしいですね。いろいろな団体に反対していただけるよう、熊森も精一杯訴えていきます。
JBN主催シンポジウム 5月27日東京 「四国のクマ・絶滅へのカウントダウンを止めるために」
(上の表題をクリックいただくと当日プログラムなどの詳細が出ます)
開催日時:2018年5月27日(日)10:00-17:00
開催場所:東京農業大学アカデミアセンターB1F 横井講堂(世田谷キャンパス)
参加費:無料
主催:日本クマネットワーク(JBN)
東京農業大学 山﨑 晃司先生らが発表されます。
(熊森から)
公益財団法人日本自然保護協会によると、四国のツキノワグマの20年後に絶滅する確率は6割以上という研究結果があるそうです。
国(=環境省)はいまだに野生動物問題は1999年に都道府県に権限を委譲したとして、地元である高知県と徳島県に丸投げ。全く動いていません。両県の積極的な動きもありません。
日本国の名にかけて、今すぐ環境省本省に四国のクマの絶滅を止めるために動いていただきたいです。
地元の人達は、ほとんどクマの絶滅に関心がないということです。
何とかひとりでも多くの地元、そして全国のみなさんに関心を持っていただきたいです。
四国のクマを絶滅から救ってやりたいです。
そのために今すぐ必要なのは、繁殖できるだけの食料の確保と生息できる森の再生です。
熊森もがんばっていきます。
みなさん応援してください。
3月15日 日本で初めて巨大ダム工事の建設を止めた藤田恵氏をお招きしました
元徳島県那賀郡木頭村村長で、国や県を相手に建設省の直轄ダムとして計画されていた細川内(ほそごうち)ダムの建設を止めた藤田恵氏を本部にお招きしました。
藤田氏は物静かな方で、3時間半とつとつとお話を聞かせてくださいました。
木頭村は山深い山村です。
幼少のころから山に入ってきつい山仕事に従事してこられた1939年生まれの藤田氏の話は、熊森にとってどれもこれも貴重な証言でした。
藤田氏は、山仕事をされていたのに、クマサルシカイノシシなどの大型野生動物に出会ったことは1回もないということです。当時、ずっと山奥に、人間が行くことも入ることもできない深い森があり、そこにはクマやイノシシなどの動物たちがいると聞いたことがあるということでした。人と動物との棲み分けが完全にできていたもようです。
拡大造林が始まって、村では、ブナ、ミズナラ、もう巨木という巨木を片っ端からすべて伐り倒して、跡地にスギの人工林を延々と造っていきました。
人工林は、10年たつと次々と崩れ始めたそうです。多くの土木作業員が募集され、崩れた林道や山を直していきます。仕事が終わると、作業員たちは失業してしまうので、次の土木工事の仕事を作らねばなりません。拡大造林が土建国家日本を作りあげて行ったようすが良くわかりました。
この日お聞きしたことは、何らかの方法で、ぜひ会員のみなさんにお伝えしなければならないと思っています。
今まで、なぜ熊森と藤田氏が出会えずにいたのか、不思議でなりません。
熊森には、まだまだ藤田氏から教わらねばならないことがいろいろあります。
藤田さん、また機会を作ってくださって、ぜひお話をもっとお聞かせください。