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2016-06-13

毎日新聞全国版に戦後の国の分収造林政策の失敗を明らかにした熊森の記事 6月10日朝刊<トラスト運動>企業買収で自然林回復 滋賀の保護団体

毎日新聞6月10日(金)7時30分
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日本熊森協会滋賀県支部が買収した企業所有の森林。手入れが不十分で、荒廃が進んでいる=同支部提供

豊かな自然林を取り戻そうと、自然保護団体「日本熊森協会」滋賀県支部が滋賀県高島市朽木の山林(211ヘクタール)を所有する企業を買収し、森林保護に乗り出す。国が森林所有者などと実施してきた「分収造林地」事業の失敗で、森林の荒廃が進んだことを受けた措置。立ち木や土地を市民が買い取り、自然保護を進める「トラスト運動」は各地であるが、自然保護団体が企業を買い取るトラスト運動は珍しいという。
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同支部が買い取ったのは、森林を所有する「麻生林業」(本社・大津市)。同社は1962年、林野庁の外郭団体と県と3者で共同で森林を造成し、伐採の収益を分け合う「分収造林地」の契約(55年間)を結んだ。分収造林は高度経済成長期の木材需要増を当て込み、全国各地の国有林や民有林で進められたが、安い外国木材の流入などで、多くが赤字経営に。森林の手入れも行き届かず、各地で荒廃が進むなどの問題が生じている。
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同支部は森林が荒廃したまま放置されている現状を問題視。森林の買い取りを一時検討したが、分収造林地の契約を結ぶ外郭団体の同意が得られなかった。このため、同支部は昨年末、※会員から寄付を集め、休眠状態になっていた森林所有者の麻生林業を買収した。
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外郭団体や県との分収造林の契約が切れる2017年12月の期限までは植林などの取り組みはできないが、同支部は、森林保護に向けた具体的な活動について検討中。村上美和子・同支部長は「植樹イベントなどで市民に親しまれる森林、多様な生物がすむ自然豊かな山に戻したい」と話している。【北出昭】
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くまもりから
※会員から寄付を集め…記事ミス。今回の企業買収資金は、篤志家の遺贈金を使わせていただきました。同じく滋賀県高島市朽木の奥山に残されたトチノ巨木群をトラストした件は、会員に呼びかけて資金を集めたので、それが混同されてしまったようです。

秋田県 タケノコ採り、同じ場所でクマによる死者4人目 こうなったら人とクマの命を守るため、タケノコ採りを全面禁止せよ 行政・森林管理署も責任あり

秋田県鹿角市大湯周辺でタケノコとりに入った入山者の相次ぐクマによる死亡事故4人目。

①5月20日に入山した男性の遺体を5月21日に発見。国有林。

<5月21日ニュース:鹿角市大湯でクマによる死亡事故の報道>

にもかかわらず、小遣い欲しさに同場所に入り続ける人々。

 

②5月22日に入山した男性の遺体を5月22日午後に発見。国有林。

にもかかわらず、

③5月25日に入山した男性の遺体を5月30日に発見。民有林。

にもかかわらず、

④6月8日に入山した男性の遺体を6月10日に発見。民有林。

にもかかわらず、

数は減ったものの、まだ現在小遣い欲しさに同場所に入り続ける人々がいるそうです。

もう、どうなっているんでしょう。

 

6月10日、あげくのはてに、そのあたりにいた、事故と無関係かもしれないメスグマを猟友会が1頭射殺。

さらに、クマ捕獲檻を新たに設置中とのこと。

 

(熊森から)

事故現場は、クマの国です。問題を起こす人間は出て行くべきです。

この時期、ここにいるクマにとっては唯一の食料である根曲り竹のタケノコ。それを根こそぎとっていこうとする人間の方が100%悪いのです。クマが怒って当たり前。にもかかわらず、クマを殺して終わろうとするなど、秋田県の対応は本末転倒。いったい秋田県の倫理観はどうなってしまったのでしょうか。

 

行政並びに森林管理署が市道や林道を閉鎖されて、タケノコ採りの自粛を呼びかけてくださったのは良かったけれど、それだけでは入山者がなくならないことがわかった時点で、熊森は、今後も新たな犠牲者が出る!として、両者に商業用タケノコ採りの強力な禁止処置をお願いしました。

しかし、「わが国には、タケノコ採りを規制する法律がないので、対応できないのです」という回答でした。

法律は、一朝一夕にできるようなものではありませんから、なんらかの超法的な措置をしかるべき立場の人にとってもらうしかないのかと思っておりましたら、なんと、当然のことながら、ちゃんと東北森林管理署のホームページに、

<国有林からのお願い>

2、樹木を損傷したり、林産物を窃取した場合は、法により罰せられます。

と記載されているのを見つけました。

森林管理署に電話して、何という法律で規制されているのかたずねると、「森林法」ですと即答されました。

 

なぜ本当のことを教えて下さらなかったのでしょうか。

どうも、米代東部森林管理署管内の国有林内で、鹿角市民はタケノコ採りをしても良いという取り決めが森林管理署と地元でなされていたようです。

市民が自家消費で採るぐらい知れているかもしれませんが、今年のように、タケノコ採りが良い儲けになるとして、業者が入り込み、他市や他県の人達までがタケノコ採りに殺到している状況では、ここで暮らすクマたちのためにも、第2第3の死傷者が出ないようにするためにも、とにかく今年のタケノコ採りを禁止すべきでした。

そうしてほしいと熊森があれだけお願いしたのに、自粛に期待するとして動かれませんでした。

 

国有林といっても、戦後、林野庁が誤った拡大造林政策によって、最高に豊かだった広大な森を皆伐し、多くを人工林に変えて、現在、荒廃させたまま放置しています。そんな国有林ですが、米代東部森林管理署内にある国有林のように、クマが棲める豊かな森もまだ国有林には残っていたのです。今となっては貴重な自然保護区です。そこの山菜を人間に採らせる。しかも、商業的に大量採取が行われる状況になっているのに、効果的に止める手を打たなかったのは、公務員が職務上、犯罪を認知したときには、告発義務があるという、以下の法令に違反しているのではないでしょうか。

 

刑事訴訟法239条2項

官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。

 

行政関係者の皆さんは、タケノコ採りは6月中旬で終わると安心されていますが、まだまだお金欲しさに入山する人が7月末までは出ると思います。「林産物を窃取罪」を前面に打ち出して、クマの食料を守るためにも、国民の命を守るためにも、「タケノコ採りの全面禁止」に、直ちに取り組むべきです。

 

クマに口がないのをいいことに、クマを殺してこの事件を終えようとするのは絶対にやめて下さい。人間としてあまりにも恥ずかしいです。

 

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