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2016-06-16

山中の死体を食べて片付けるのは、クマ以下森の動物たちの自然な行為ではないのか 

6月10日、秋田県鹿角市のタケノコ採り現場で、4人目の遺体を捜索している時に見つかったメスグマが、猟友会の人達に即射殺されました。(熊森、厳重抗議)

熊森は、このクマがどういう罪状で射殺されたのか、行政にたずねてみました。竹やぶの中の遺体現場の近くにいたということでした。クマの餌場に人間が入って行ったのですから、そこにクマがいて当然です。遺体を解剖した結果、ほとんどの胃内容はタケノコだったそうですが、人肉も入っていたということです。このクマは、殺しておかねばならない人食いグマなのでしょうか。人間の味を知り人間を襲うようになる恐ろしいクマなのでしょうか。

 

死体を食べる野生動物に関して、熊森が知り得た事実をお話しします。

 

兵庫県では、毎年大量のシカが有害獣として殺され、山に放置されています。1週間もすれば完全に消えています。シカの新しい死体があったので、自動撮影カメラを設置してみました。もちろんクマもやってきて死体を食べましたが、もう実にいろいろな森の動物や鳥や虫が次々とやってきて、みるみるうちに死体はなくなっていきました。(録画あり)

 

<熊森見解>

山に行って野生動物たちの死体を見つけることはまずありません。死体はみんなでさっさと食べて片付けてしまう。これが森の掟なのだと思います。人肉の味を覚えたクマは、次に人間に会えば襲って食べようとするという見解が流れていますが、熊森の自然観察結果では、そうなるとは思えません。

 

まこと、自然界の事は人間にはわからないことでいっぱいですが、熊森は、このメスグマは次回人に出会っても殺そうとしないと思います。元々クマには人間を襲って殺し、食べてやろうという発想はないと思います。クマにそのような気持ちがあるのなら、全国いたるところでクマによる死亡事故が続発していると思います。クマは人間よりも力が強いですから、武器を持っていない人間なら、まず、クマが勝ちます。

今回の死亡事故の遺体現場には、いろいろな野生動物たちがやってきて次々と食べていったと思われます。

彼らはみんな、自然界の掟に従っただけです。人肉はタケノコよりもおいしくて次からはそっちを食べようとするだろうと思うのは、肉食好きな人間の勝手な判断です。

 

兵庫県のクマを初めとする野生鳥獣たちが山林に放置されたシカの死体を食べているからといって、シカを獲って食べるようになったクマを、兵庫県では聞きません。シカを殺して食べようとしているのは人間だけです。兵庫県のある山村の方は、クマはシカを食べるけれど、あまり好きじゃないみたいだ。イノシシたちの方がシカの死体を喜んで食べていると言われていました。クマは雑食性ですから、その気になれば肉も食べられます。しかし、我が国では長い間、ほとんど植物食に偏った食生活を続けてきました。その食性を変えるような原因を作っているのは、今回の事件も兵庫県でも、人間です。人肉を食べた動物は殺せというのなら、森の草食動物以外のすべての雑食動物を殺さねばなりません。

 

今回死亡事故を起こしたクマはどのクマかわかりませんが、人間を殺して食べてやろうと思って人間にかかっていったのではないと思います。自分が食べようとしていた唯一の大好きな食料であるタケノコを取られて怒ったか、気が付いたらクマのすぐ横に人間が突然現れて、びっくりして排除しようとしたのではないかと思われます。

確かに、人間を倒すクマが誕生するのは、地元の人達のことを考えると、絶対にあってはならないことです。しかし、今回、こんな事態になったのはすべて人間側のルール違反が原因です。事故が起きても抜本的な対策を取らずにきた関係者たちの責任もあります。

この地域には、20頭ぐらいのクマが棲んでいるのではと言われている人もいます。今も現地には、ハチの巣を入れたクマ捕獲罠が2基設置されており、もしかかったら殺処分するのだそうです。この後、何頭のクマを獲るつもりか知りませんが、おとなしく竹藪の中にいてタケノコを食べているクマたちを、それこそクマにとっては大好物中の大好物であるハチミツやハチの巣で誘い出しておいて、罠にかかったら殺すなど、熊森は人間側の倫理観の喪失がはなはだしいと思い、関係者のみなさんにもそう伝えました。

 

みなさんはどう思われますか。

 

 

 

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