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2016-10-18

兵庫県クマ狩猟希望者140人募集に、2つの重大な計算ミス(追加編)

兵庫県が今回140人の狩猟者を募集しているのは、計算ミスによるものです。

 

①坂田宏志氏のツキノワグマの個体群動態の推定(兵庫県2015 年)によると、

 

2015年の個体数は、人為的死亡個体数を引く前の段階で中央値940.0頭(90%信頼限界では691.1~1,212頭)、2015年末の段階で中央値919.0頭(90%信頼限界で670.1~1,191頭)で、2014年から個体数が増加していると推定された。

 

と書かれています。

 

ならば、2015年の有害捕獲後のクマ数は919頭ですから、2016年度は119人しか狩猟者を募集できないはずです。

 

 

②さらに、環境省の安定生息数800頭に、兵庫県はこだわっているようですが、環境省は、成獣が800頭いれば安定としています。

 

兵庫県が環境省規定に従ったというのなら、919頭の推定総数のうち、成獣ではない数を引き去らねば安定個体群かどうか判断できません。

 

実際の兵庫県のクマ数で計算してみます。

4 歳以下が幼獣・亜成獣とされていますが、

兵庫県のクマ総数からから、とりあえず1歳及び2歳の幼獣数を引き去ってみましょう。

兵庫県の発表によると、

2015年の終わりの熊生息推定数総数は919頭です。

2014年の終わりは、813頭ですから、1歳グマは919-813=106頭います。

2013年の終わりは、688頭ですから、1歳グマは813-688=125頭誕生したはずです。

兵庫県は生まれた子グマの生存率を0.933としているので、1年後に生き残った2歳幼獣は、125×0.933×0.933=108頭となります。

つまり、2016年の初めに於いて、熊生息推定数総数は919頭であり、1歳児2歳児の合計106頭+108頭=214頭を引くと、成獣は705頭です。

兵庫県が環境省の規定に従うためには、2016年頭のクマ成獣は705頭ですから、2016年度は1頭も狩猟できない訳です。

 

10月11日の井戸知事の記者会見で知事に「推定生息数が絶滅する恐れが当面ないレベル(800頭)を上回る940頭まで回復してきたと推計されています。」と言わせた担当部署の認識ミス・計算ミスは、大きな責任問題だと思います。クマの命を奪う兵庫県の計算がいかにずさんなものであるか、推して知るべしです。

 

喜びも悲しみも人間と同じようにあるクマの命を、数合わせゲームのようにもてあそぶ兵庫県のやり方に乗りたくはありませんが、乗ったとして、この2点を計算し直して、狩猟者数を募集し直すべきです。きちんとした数が出るまで、狩猟希望者の募集は中止すべきです。

 

当協会は10月8日、兵庫県当局に対してこの件で公開質問状を提出しました。

お返事が来たら、ブログでご紹介します。

猟友会員のみなさんに告ぐ・・・兵庫の山は大荒廃、クマ狩猟者に登録しないでください

兵庫県は、10月11日か~10月26日までの期間、クマ狩猟希望者(定員140名)を募っています。

 

私たちはこれまで、何人もの兵庫県のクマ生息地(但馬地方)の猟友会の方々が、クマを狩猟したい猟友会員などまわりにいないと証言されるのを聞いてきました。

10月17日の神戸新聞にも、以下の記事がありました。(一部抜粋)

 

同センターが昨秋、猟師約850人に実施したアンケートでは「クマを撃ち たい」としたのは15%。禁猟前には養父市で4頭を狩った丹波市の男性も数年前、猟 銃を手放し、「知る限り、周りに進んでクマを撃ちたいという猟師はいない。犬を殺さ れることもあり、銃を持っていても怖い」と話す。

 

猟友会員のみなさんは、誰よりも兵庫の山をご存知です。兵庫のクマが人間に生息地を破壊されて生きていけなくなっていること、食料を求めて集落の周辺に出てきて目撃数や捕獲数が増えているが、それと生息数が増加したかどうかは関係ないこと、クマは爆発増加などしていないこと、みんな感覚でご存知です。

 

森林動物研究センターの研究員と県の担当者が組んで、兵庫のクマが爆発増加したことにしていく様を、茶番だと笑っておられたのは猟友会のみなさんです。今のように生息地を破壊したままクマ狩猟を再開したら、クマが滅びてしまうことがわかっておられるのも、猟友会のみなさんです。狩猟を再開することによって、獲り過ぎてしまうのではないかと大変危惧されていましたね。

 

兵庫県の猟友会員のなかには、高いお金を払って、海外へライオンなどを撃たせてもらいに行っている人もいるようです。丸腰の猛獣の命を高価なライフル銃で奪うことが、快感を伴う遊びになっているのでしょう。

そのような人が今回のクマ狩猟再開に応募されるのではないかという猟友会員の声も聞いています。

 

誰よりも山のことクマのことを知っておられる猟友会員のみなさん、どうか兵庫県のクマ狩猟に応募しないでください。

 

今回兵庫県が、クマ狩猟を再開するにあたって、猟友会の声と地元の声を聞かなかった理由は、狩猟を再開すべきという声がないことを知っているからでしょう。

 

一体誰が兵庫のクマ狩猟を再開したいのでしょうか。

 

 

 

 

 

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