くまもりHOMEへ

ホーム > アーカイブ > 2017-01-17

2017-01-17

熊森本部「兵庫県クマ狩猟再開結果に対する考察」を、県と記者クラブに発表

以下は、1月13日、くまもり本部が兵庫県庁を訪れ、担当部局と記者クラブに伝えた主な内容です。

 

平成28年度兵庫県クマ狩猟再開結果に対する熊森の考察」

 

(1)<全体として>

クマ狩猟再開の効果はなし

 

多くのクマ狩猟再開の中止を求める声を無視して再開したクマ狩猟は、目標とした頭数低減に何ら寄与しなかった。

 

その上、今後、クマと人との棲み分けラインを復活させていかねばならない時に、山中でクマを撃つ行為を実施したことにより、クマにどこが棲み分けラインなのかわからなくさせてしまうマイナス効果を生んだことが考えられる。

 

行政のメンツとかあるだろうが、近隣府県にも影響を与えることなので、次年度以降のクマ狩猟を中止する英断を兵庫県に望む。

・クマ狩猟を再開したことによって、クマの目撃数が激減する効果があったという誤報が流されているが、これは狩猟時に毎年見られる現象であり、クマ狩猟再開とは無関係である。

・唯一の効果は、「県内クマ940頭に爆発増加説」が誤説であったことが確かめられたこと。

 

(2)そもそも県内クマ爆発増加説が過大推定であった

 20年間に15倍の940頭に爆発増加した県内クマ数を低減させるためとして、狩猟頭数140頭をめざして20年ぶりに再会したクマ狩猟であったが、結果狩猟されたクマは4頭であった。

これは、クマ狩猟が1か月間という限定されたものであったことや、猟師のクマ狩猟技術に不足があったことを加味しても、森林動物研究センターがベイズ推定で推定した県内クマ940頭に爆発増加説が、いかに過大推定であったかを証明する結果となった。

人里でのクマの目撃数や捕獲数が増加しているのは、奥山生息地の悪化に伴って、クマが人里に生息地を移動してきているドーナツ化現象によるものであり、クマ数が爆発増加したためではない。

・ベイズ法で生息数を推定できないことは専門家も証明している。推定するなら別法で推定すべき。(正確な推定法はない。人間の所に出て来ないようにできたなら、何頭いても良いではないか)

・狩猟期間を通常の3ケ月間にしたところで、 1月2月はクマの冬眠期間であり狩猟数は増えない。

・猟師の証言から、昔も今も、兵庫県ではクマに特化した熟練狩猟者はおらず、猟師の技術不足はいたしかたない。クマに対応するのは大変危険であり、手負いを生む確率も高いことから、一般狩猟者に依頼すべきではない。

 

(3)<県への要望>

①環境省が出してきたガイドラインに沿って、祖先の棲み分け共存復活への道を

・クマに棲み分けラインを教えるため、山中での狩猟や有害捕殺を厳禁する

 

②クマが出る原因は、奥山人工林奥山自然林の大荒廃と人里の過疎化高齢化

(対策)

ア、被害防除

・クマが出てきて悲鳴を上げておられる地域に、誘引物除去、・追い払い、・ベアドッグ、・クマが潜みそうな場所の草刈、・民家近くの柿の木の伐採やトタン巻き、実もぎ、・集落周辺や田畑の電気柵張りなどの被害防除作業員を配置できるよう予算化してほしい。

 

イ、生息地再生

クマが山に帰れるように、奥山人工林の除去による自然林化や、人やシカが奥山に入り込まない対策をスピード感を持って進めてほしい。

 

 

③ 誤捕獲多数に対する対策

集落近くにかけたシカ・イノシシ罠へのクマの誤捕獲が多過ぎる。これは、クマが集落に自らの意思で出て来るのではなく、捕獲罠の誘引物として使用されている米糠がクマを集落に呼び寄せているのであり、地元を危険な状態に陥れている。

このことを、地元猟師に知らせ、誘引物を葉野菜やくず芋など、クマが食べないものに変えるよう指導すべきである。

 

 

 

フィード

Return to page top