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2017-07-26

群馬県前橋市でクマによる人身事故が発生 本部が電話で聞き取りするも、うまく話し合えず 追加 再追加

2017年7月24日、前橋市で70歳の女性がクマと遭遇し、頭や腹を引っかかれ軽傷を負う事故がありました。会員からの情報を受け、熊森本部担当者は早速、地元行政の担当者に電話を入れ、状況を聞き取りました。以下、概要。

 

●行政担当者

事故が起きた場所は、赤城山中腹の標高500m。クリやクワの巨木(胸高直径20センチ)が多く繁る、まさにクマの夏の食料庫ともいえる山中に、1軒家を建てた人がいます。そこに住む女性(70)が7月24日の早朝4時50分ごろ、一人で山中の林道を散歩していたところ、林道沿いの高さ1.5m程ある篠藪から、突然クマが出て来て引っ掻かれたということです。女性は、幸いにも少し引っ掻かれた程度の軽傷で、体長1m程度の小さなクマだったということです。この方は、ふだんは犬と一緒に散歩されていたようですが、この日は犬の調子が悪くて、お一人で散歩されていたということです。

 

熊森本部

今後どのような対応をされますか。

 

行政担当者

麓集落の方々へは、チラシを配ったり、防災メールを送って、ごみの管理の徹底や早朝・夕方のクマの活動が活発になる時間帯に外出される際は音の出るものを持ち歩くように呼びかけています。人身事故が起きたので、クマの有害捕獲用の檻を設置しました。捕獲したクマは、2次被害を起こさないようにするためにも殺処分します。

 

熊森本部

麓集落にお住いの方々への注意喚起は非常に重要ですので、今後も続けてください。しかし、クマの捕獲罠を設置するのはおかしくありませんか。そこは、クマの生息地です。しかも、捕獲罠を設置しても、事故を起こしたクマが捕獲されるとは限りません。事故を起こしたクマだとどうやって特定するんですか。関係のないクマを捕獲して殺処分してしまう可能性があります。新たな人身事故を防ぐためには、住民がクマにばったり遭遇しないように注意喚起するしかないと思います。

 

行政担当者

無関係のクマを捕獲してしまうかもしれませんが、行政としては2次的被害を防ぐためにも、何か対策をとらないといけないんです。

 

熊森本部

無関係のクマを捕殺して殺処分することが、今後の人身事故を防ぐことに、どのように関係してくるんですか?

 

行政担当者

普通の方はここまで言ってこないです。熊森さんは勉強されているからわかっているでしょ。人身事故が起きたら捕獲罠を設置して、かかったクマを殺処分しなくてはならないんです。他の行政どこもそうでしょ?それを、事故を起こしたクマを特定できないとわかっていながら、人身事故を起こしたクマを特定して捕まえることができるんですか?と聞く熊森さんはずるいです。

 

熊森本部

???・・みなさんは今回の事件を受けて、

①クマを殺して個体数を減らす

②クマによる被害を減らす

どちらが必要だと考えられているんですか?

 

行政担当者

どうして理解してくれないんですか?

 

熊森本部

まず、この質問に答えてくださいよ。そうでないと理解できないです。

 

行政担当者

そんなにわたしたちのクマ対策が不満なのであれば、もっと上の人たちに熊森さんが働きかけて、マニュアルを変えてみてはいかがですか。私たちはマニュアルに沿って実行しているので。パブリックコメントは重要ですよ~。書かれた方がいいですよ。

 

熊森本部

今年1月に群馬県が募集されていた、クマ管理計画改訂のパブリックコメントですか。群馬県のクマ管理計画へ意見提出しましたよ。私は、ちゃんと書きましたよ。クマによる被害を減らすために、被害防止対策を徹底するよう管理計画に書いてくださいって。単に何頭クマを殺すかだけ書くような計画にしないでくださいって。何回も文章練り直して群馬県に送りました。このような意見があったことを全然行政間で情報共有できてないんですか!私の書いた意見を読んでみてくださいよ!

熊森協会はこれまでに国や都道府県に、クマなどの野生動物と人々が共存していくためには何が必要か、各地のクマ生息地を訪れて調査してきましたし、本部のある兵庫県では、クマと人の事故が起こらないように、集落周辺の不要果実をもいだり、クマの潜み場の草を刈りはらったり、クマが集落へ近寄らないよう、クマの目撃が相次いだ山間地域で毎日大きな声を出して追い払いをしたり一生懸命活動してきました。その中でわかってきたことを、提言させてもらっているんです。人命を守るには、クマを殺すのではなく、被害防止対策を徹底して、人がクマにばったり出会わないように注意することが最重要なんです。熊森協会のブログにこれまでの活動を載せていますので、ぜひ読んで、勉強してください。

 

(熊森から)

この度のクマによる人身事故でけがをされた方には、お見舞い申し上げます。

今回の件で行政担当者は熊森の質問にほとんど何も答えてくれませんでした。

私は、全国の野生鳥獣担当者と絶えず電話で話し合ったり時には会いに行ったりしていますが、今回のような対応を受けることは珍しく、1時間も電話したのに話し合いになりませんでした。どこに問題があったのでしょうか。

 

集落から離れた赤木の山中のクマの餌がたくさんある場所、すなわちそこはクマの国です。そこに、クマ捕獲罠をかけてかかったクマがどのクマでもいいので殺処分して一件落着とするというのは、生態系保全上も倫理上も間違っていると思います。

現地は人間の背丈ほどのササに覆われたところだそうです。被害女性は、子グマだと思ったということですから、まだ母熊から離れたばかりのクマなのかもしれません。

このクマが何をしていたのかわかりませんが、午前4時50分という予期せぬ時間に突然人間が現れて、クマもびっくりし、恐怖の余り逃げようとして引っ掻いたのだと思います。この女性は元都市市民ということです。いつからここに住まれているのかわかりませんが、会いに行ってクマ対応を教えてあげたい思いです。

 

どちらにしても、今回のような事件の場合、普通、罠かけはしません。

現在設置中の罠にクマがかかってしまう前に、どなたか納得していただけるように担当部署に声を届けていただけないでしょうか。それとも担当者が言うように、もっと上の人に言うべきでしょうか。

前橋市農政部農林課 東部農林事務所

〒371-0217 群馬県前橋市粕川町西田面216-1
電話番号 027-285-4116
FAX番号 027-285-5227

 

追加

7月26日、くまもり森山会長が、東部農林事務所の責任者と電話で約1時間話し合いました。

前日担当者がマニュアルに沿って対応していると言われたようなので、群馬県ではどのようなマニュアルになっているのかたずねると、個々の状況に応じたものはなく、群馬県クマ管理計画に書かれているものを現地市町村で判断して対応しているということでした。(群馬県の熊捕殺権限は市町村に移譲されている)

前橋市では、クマは保護しなければならない動物だと考えているので、イノシシ捕獲罠の上部に穴をあけて、クマがかかったら脱出できるように全部改造したと言われていました。

今回の事故が、山に入ったハイカーの場合だったら、クマの捕獲罠はかけないが、1軒屋とはいえ、住民の生活道路上で起きた事故なので、行政としては捕獲せざるを得ないということでした。(東部農林事務所の責任者の方から、今回の場所なら、ハイカーであっても捕獲罠を掛ける。奥山でハイカーが引っ掻かれた場合は掛けないという意味だったと訂正が入ったので、そのように訂正させていただきます)

 

捕獲罠に入れられた誘引物に引き寄せられて、関係のないクマがやってきて罠にかかる可能性があり、そのクマを殺処分しても人身事故は減らないなど、熊森の言うことはよくわかるが、行政としては住民感情を考えると、とにかく捕獲して、まず1頭、殺処分しなければならないということでした。(東部農林事務所の責任者の方から、とにかく捕獲して、まず1頭、殺処分しなければならないとは言っていないと訂正が入りました。どこが違うのか尋ねると、捕獲されたら、まず県庁に電話して相談してみるのだそうです。しかし、群馬県庁は今クマの放獣体制がない上、前橋市が決めることと言われています。前橋市の担当者の方は、罠にかかったら殺処分しますと言われていたので、まとめるとこの記述でいいと思うのですが・・・訂正してほしいと言われた事実はお伝えします。)

熊森から:もし罠にかかったクマを放獣してやる気があるのなら、かかってから相談では遅くて、一刻も早く対処してやらないと、この暑い中ドラム缶檻の中でクマは死んでしまいます。かかる前から放獣場所、放獣人員、放獣法の確認など、いろいろと準備しておかなければなりません。そういうことを一切していないということは、選択肢に放獣はないというのと同じであり、かかったら殺処分しますの担当者の言葉からはこれでいいのではないかとおもいます)

 

何人かの方が、今回のような場合、罠をかけてクマを捕殺することは無用の殺生になるだけで、新たな人身事故の防止にならないと電話をしてくださったようで、ありがとうございました。熊森としては、言うべきことはもう十分お伝えしたと思います。後は、前橋市の担当事務所が私たちの声を聴いてどう判断するのか見るしかありません。

 

再度追加

本部に入った情報では、赤城山でクマが捕獲された場合、殺処分するとも別の場所に放つとも、前橋市農政部農林課東部農林事務所ではまだ結論を出しておらず、事務所責任者は、麻酔銃がないので、捕獲後に群馬県と協議して結論を出すと言っておられるそうです。

新聞報道の写真を見ると、ドラム缶型檻ですから、この暑い時期、かかったらすぐに対応しないとクマが弱って死んでしまいます。かかったらどうするかその時になって県と相談するというのはどう考えても、間に合いません。

麻酔銃がなくてもその場でふたを開けて放してやればいいことですし、何よりも捕獲すること自体が間違っています。

群馬県庁にも声を届けた方がいいかもしれませんね。人間側の道徳観の喪失、生命軽視にははなはだしいものがあります。人間たち同士で正していかねばなりません。

 

 

環境省がオオタカの国内希少種指定の解除を予定、開発工事がより容易に パブコメ8月3日〆切 多くの反対意見を環境省に届けてください

オオタカは体長50~60cm程度の猛きん類の一種で、国内では北海道から本州まで広い範囲に生息する鳥です。

オオタカは、一時400羽にも激減し、絶滅が危ぶまれました。そのため、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」(種の保存法)で国内希少種に指定され、販売・頒布目的の陳列・広告、譲渡し、捕獲・採取、殺傷・損傷、輸出入等が原則として禁止されてきました。

 

 

また、これまで、開発予定地にオオタカの営巣が発見されたことで開発に歯止めがかかった例が過去いくつもあり、自然保護のシンボル的な役割を果たしてきました。

 

この度、環境省は!オオタカの生息数が改善傾向にあるとして、その指定の解除を予定しています。

 

生息数が本当に増えたのか、人が見かけることが多くなっただけなのか、自然界の事はわからないことでいっぱいです。国内の自然環境が悪化の一途をたどる中、もし指定が解除されれば、再び絶滅が危ぶまれる事態に陥ることが予想されます。また、オオタカがいることでかろうじて開発が止まってきた場所で、一斉に開発計画が復活することも予測されます。名古屋~大阪間のリニア計画も、推進しやすくなります。

 

オオタカの国内希少種指定の解除をしないように、環境省に多くの国民の反対の声を送ってください。

 

 

<環境省パブリックコメントは以下の2つあります>

鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律施行規則の一部を改正する省令案

及び鳥獣の保護及び管理を図るための事業を実施するための基本的な指針の一部改正案に対する意見の募集(パブリックコメント)について

 

  http://www.env.go.jp/press/104268.html

「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律施行令の一部を改正する政令(案)」

に対する意見募集(パブリックコメント)について(国内希少野生動植物種の指定及び解除)

 

  http://www.env.go.jp/press/104252.html

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