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2018-01-19

1月15日 熊森本部で兵庫県新温泉町に計画されている風力発電に関する勉強会を実施

くまもりは、兵庫県新温泉町東部で県内最大級の出力となる計9万2千キロワットの風力発電施設を建設する計画が進められていることを知り、大きなショックを受けました。

予定される風車自体の大きさは3枚羽根の直径約130メートル、高さは約150メートル、国内の陸上では最大級なのだそうです。

 

(計画では、4千5百kW発電程度の風車21基を山の尾根<下図赤線状のどこか>に設置する予定。事業実施区域面積 約2千8百ha。下図斜線部分は集落のある谷の部分で、風力発電機の設置対象外となります)

神戸新聞NEXT

 

 

熊森から

新温泉町の冷温帯に位置する落葉広葉樹林帯は、兵庫県のクマ生息地のなかでも唯一、下層植生がまだ残されている自然豊かなところで、くまもりがシンボルとしているクマをはじめ、多様な生物の安定生息地です。

 

温泉町の尾根筋に膨大なコンクリートを流し込むことで、セメントから出る灰汁によって渓流魚が全滅することが考えられます。もちろん、山の命である尾根筋をコンクリートで固めて破壊することで、万里の長城現象が起き、森は劣化し始め、二度と生物の多様性が保たれた保水力豊かな森は復元できません。

 

兵庫県のクマたちの最後の聖地が破壊される!やめてほしいとお願いしよう!

 

調べてみると、事業者は合同会社NWE-09インベストメントという聞きなれない会社です。インベストメントというのは、投資という意味だそうです。誰かがこの事業に投資して儲けようとしているのでしょう。

 

ネットで調べてみると、合同会社NWE-09インベストメントというのは従業員が居ない会社で、実質的には、合同会社の業務執行社員である日本風力エネルギー株式会社が事業を実施し、その大部分は他社との委託契約等により行われるそうです。

合同会社NWE-09インベストメントは、新温泉町以外にも、鳥取県鳥取市、和歌山県海南市、島根県浜田市、佐賀県唐津市、青森県八森でも同様の発電事業を一気に進めようとしています。

 

日本風力エネルギー株式会社というのを調べてみると、資本金が10万円で、社長さんにあたる職務執行者はアダム・ベルンハード・バリーン(本部シンガポール)という方だそうです。どこの国の方か、なぜシンガポールに本部があるのか、これ以上の情報は、ネットから得られませんでした。グローバル経済ということなのでしょうか。

事業理念には、「すべての風力発電プロジェクトが日本全体、地域コミュニティー、環境にウィン-ウィンの関係をもたらすことを約束します」と書かれていますが、そんなこと言われても、山の尾根筋に風車を建てられて、環境にウィン-ウィンなどありえません。

 

今回、日本の風力発電開発に20年間取り組んでこられた方に、勉強会を持っていただきました。とても参考になりました。その方は、原発は良くないので、使命感を持って風力発電を広めているということでした。

 

以前、経済産業省が風力発電業者に補助金を出していたそうですが、2011年3月11日の原発事故以来、風力への補助金がなくなり、代わりに、太陽光(ソーラー)発電に1kwh55円というすごく高い買取価格がついたそうです。これによって、太陽光発電が投機の対象になりました。シャープや京セラなど国産ソーラーパネルが大量に生産され、経済が活性化しました。しかし、現在政府は、太陽光発電の買取価格を1kwh20円にまで落としました。

(ちなみに、現在、風力1kwh22円、バイオマス1kwh28円)

 

このような経緯があったため、風力発電の機材は、現在、国産が育っておらず、ほとんどが外国製だそうです。ということは日本で風力発電が広まれば、外国の企業がもうかるということです。外国人の投機対象となるのでしょうか。風力発電の建設は、山の尾根か海上です。どちらも耐用年数はたった20年で、20年後には、土台のコンクリートを破壊して、また1から新しく造り直さねばならないのだそうです。

 

尾根の風力発電は、頭打ちになってきているそうです。いい風が吹くところは各地にあるのですが、山奥には送電線がありません。といって、自費で送電線を作るとなるとそれはそれで大変で、費用対効果の面で成り立たないのだそうです。環境ではなく、全て、経済で回っているのが今の人間社会だと、話を聞いてつくづく思いました。

 

そんな中、ドイツの素晴らしい規制を教わりました。ドイツでは、地元住民自らが風力発電に取り組む場合のみ風車設置許可がおります。外資や、国内であっても外からその町に資本が入ってきて風力発電事業を起こすことは禁止されました。これによって、大きな被害を地元に及ぼすような事業がなくなってきたそうです。

 

我が国の開発事業は4段階において実施されます。①配慮書、②方法書、③準備書、④評価書。

合同会社NWE-09インベストメントの日本における風力発電事業は、いずれもまだ①が終わった段階で、環境アセスまでは行っていません。一刻も早く声を上げようと思い、さっそく日本風力エネルギー株式会社に、日本語で、コメントを送りました。以下。

 

自然保護団体へのヒヤリング(日本熊森協会)専門 奥山生態系保全

計画地は、環境省のレッドデータブックで絶滅のおそれのある地域個体群に選定されている東中国山地ツキノワグマの恒常的な生息地である。ツキノワグマは冷温帯の落葉広葉樹林に生息する動物だが、近年、兵庫県の落葉広葉樹林帯では下層植生の衰退が著しく、ツキノワグマが生息することが難しくなっている。そんななかで、新温泉町の生息地は、唯一、今も下層植生が保たれており、ツキノワグマの生息が保障される貴重な場所である。尾根筋への風車設置は、ツキノワグマの生存をはじめ渓流魚など豊かな奥山生態系に深刻な影響を与えると考えられる。

 

他の5つの地域における合同会社NWE-09インベストメントの日本における風力発電事業に対して、声は上がっているのでしょうか。ヨーロッパと違って、自然保護団体がほとんど育っていない日本で、どれくらいの声がこれらの事業に上がるのかとても心配です。いずれの事業においても、声を上げる権利は居住しているいないにかかわらず、日本国民全員にあるそうです。みなさん、声を上げていきましょう。

原発を認めない熊森は、エネルギーをどうするのかとよく聞かれます。自然再生エネルギーを利用するのは大切ですが、それによって現在せっかく残されている貴重な自然を破壊するのなら、何をしているのかです。

熊森は、すでに自然が完全に破壊されてしまっている都市部で、自然再生エネルギーが得られるように技術革新がなされることを願っています。

1月26日28日大阪上映 映画「日本と再生」 世界はすでに、自然再生エネルギーで動いている!

1月26日(金)、1月28日(日)大阪市で映画「日本と再生」<光と風のギガワット作戦>の上映会があります。

 

太陽がいっぱい。

風がいっぱい。

世界はすでに、自然再生エネルギーで動いている!

 

この映画は、『日本と原発』『日本と原発4年 後』を監督された河合弘之弁護士が製作・監督されました。

(企画・監修:飯田 哲也 制作協力:木村結 音楽:新垣隆 エンディングテーマ:坂本龍一脚本・編集・監督補: 拝身風太郎 撮影:中島喜一)

 

■ 2018/1/26 大阪府大阪市(上映1回) ※「日本と再生」

■ 主催:原発に依存しない社会の実現を目指す委員会

○ 上映日時:2018年1月26日(金)       17 時 ~  

※上映後に河合監督ご挨拶予定

○ 会場名:真宗大谷派 大阪教務所 難波別院 同朋会館 講堂 (大阪市中央区九太郎町4-1-11)

○ 定員:130名

○ 問合せTEL: 06-6251-4720(中嶋)

○ 問合せメール:担当(中嶋)宛メール

 

2018/1/28 大阪府大阪市(上映2回) ※「日本と再生」

■ 主催:生活協同組合エスコープ大阪

○ 上映日時:2018年1月28日(日)       10 時 ~ / 13 時 ~ 

○ 会場名:住吉区民センター (大阪市住吉区南住吉3-15-56)

○ 各回定員:30名  ※応募者多数の場合、エスコープ大阪の組合員優先となります。

○ 問合せTEL: 072-293-4660(伊藤)

○ 問合せメール:担当(伊藤)宛メール

 

 

(熊森から)

 

日本熊森協会は、他生物やわれらの子々孫々に、かれらが生存できる自然豊かな地球環境を残すという、人間としての最低限の倫理観から、原発を認めていません。

 

といって、山の命である尾根筋に風車建設のためのコンクリートを流し込むなど、新たに重篤な自然破壊となるような自然再生エネルギーの開発も、認められません。

 

自然再生エネルギーは、すでに完全に自然が破壊されてしまっている都市部でこそ開発されるべきでしょう。そのような技術開発を待ち望んでいるところです。

 

まだまだ自然再生エネルギーにも難しい多くの問題が残されてはいますが、それでもこの映画は、今後の人類のエネルギー利用を考えていく上で、国民必見だと思います。

 

現在、全国で上映会が展開されていますので、ネットで調べられて、ぜひ皆さんにもご覧になっておいていただきたいです。

 

今後の自然再生エネルギーの開発問題について、みなさんと大いに議論していきたいです。

 

 

 

 

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